続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜イルツク〜

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「ギロック伯爵。
 お初にお目にかかります。
 アレックスと申します。
 こちらは相棒のロジャーです。
 伯爵のお言葉、我がダグスクのギルドマスターも喜ぶことでしょう。」

 アレックスが騎士の挨拶をすれば、アナスタシアは微笑んだ。

「ダグスクのギルドマスターはアレックス殿の母君でしたね。
 確か、父君がダグスク侯爵家の騎士団長をなされているか?」

「はい。
 父も若い頃は冒険者として母と腕を鍛えていた事もあり、私にも経験せよ、との言いつけなのです。
 お陰で、相棒と様々な経験をしております。」

 流石のロジャーも領主を目の前にして子供達と食べ物で争っている場合ではない。
 大人しくアレックスと並んで愛想笑いをしていた。

 アナスタシアの目が向けられるとイオリは深呼吸をして挨拶をした。

「初めまして、冒険者をしています。
 イオリと申します。
 こちらから従魔のゼンにアウラ、ソル。
 双子のスコルとパティ、ナギと兄妹のヒューゴとニナです。
 本日はお招き、有難うございます。」

 イオリに習うように家族が頭を下げるとアナスタシアは目を細めて微笑んだ。

「まぁ、小さな冒険者さんもいらっしゃるのね?
 ようこそイルツクへ。
 
 改めまして、今回の働きに感謝します。
 報告は騎士団長から受けていますが、皆さんからも聞かせて下さい。」

 アナスタシアは一同を座らせるとギルマスを含めて報告を聞いた。
 アレックス視点やイオリ視点、ヒューゴやロジャーに子供達までもが話を聞かれた。
 最後まで聴き終えたアナスタシアは溜息を吐くと納得したように頷いた。

「ご苦労様でした。
 我らの地を遥か昔から守っている方がいらっしゃったとは・・・。
 このことは王都へ報告し、情報は秘匿いたします。
 報酬はお帰りの際にお渡し致しましょう。」

 落ち着きを取り戻したイオリは手をあげてアナスタシアに質問した。

「事件は終わったとはいえ、仰る通り“深淵のダンジョン”の奥にはオリオンさんがいます。
 再び襲われる可能性もありますよね?」

 アナスタシアは真剣な顔で頷いた。

「今回、救援要請を出した際に王都より騎士団の精鋭を派遣してくださることになりました。
 魔法兵団もいらっしゃるとかで、ダンジョンに強力なシールドを貼っていただいております。
 悪意のある者は何人も入る事ができなくなりました。
 これからは“深淵のダンジョン”への挑戦する者は選別されてしまう事でしょう。」

「そうでしたか、それを聞いて安心しました。
 オリオンさんが迷惑しないか心配していたんです。」

 するとディエゴ・ギロック騎士団長が苦笑した。

「どうやら、王立騎士団のザックス・ヒル将軍が出張られると言われたそうだが、国王陛下や副官殿に止められ大揉めしたらしい。
 我々としても伝説のヒル将軍に来られても恐縮するばかりだ。
 それでも派遣された来た騎士達も、皆が優秀なために安心して任せている。」

 懐かしのザックス・ヒルの名が出た事でイオリ達は笑い出した。
 
「そのヒル将軍て?」

 1人、軍と言うものに疎いロジャーに騎士の息子であるアレックスが説明をした。

「ザックス・ヒル将軍は国王陛下の信任が厚い、根っからの軍人だ。
 しかし、豪快な性格も相まって問題を起こす常習犯でもあるらしい。
 俺もお会いした事はないが、相当な腕の持ち主だと知られている。
 アースガイル軍の英雄だよ。」

「へー。
 強いんだな。
 一度は戦ってみたいもんだぜ。」

 感心するロジャーであったが、パティが眉間に皺を寄せて言った「ザックスは煩くて面倒だよ。」の言葉に口をつぐんだのであった。
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