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第一章
魔力操作が壊滅的……だと!?
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『う~ん…。それにしてもなぁ…』
ローレンス王子も馬鹿だなと思う。
ユキヤには劣るが見た目だけはかなり良いのだ。テオの前ではしおらしくして、逆にユキヤを誉めてさえいれば、まだ脈があったかもしれないのに。
…いや、それはないか。
テオの理想はユキヤなのだから、見た目が良いという以外共通点がまるで無い王子様には、万が一でも勝ち目などないだろう。そう考えると、少しだけローレンス王子が気の毒になってしまう。
...いや、こんだけアホなことをやらかしてくれたので、同情はこれっぽっちもないけど。
テオは生まれた時からずっと傍にいたユキヤをそれはそれは慕っている。
学院に入ってからは、なんとか兄離れをしようと頑張っているようだが、あまり上手くいってない。ユキヤにもただの反抗期ととらえられているようだ。
俺らからしてみれば、存分に甘えられる弟という美味しいポジションなんて、超絶羨ましい限りだが。根が真面目な奴だし、当のユキヤが危機感が薄く割と抜けているので、自分がしっかりしなければと思っているのかもしれないな。
と、そこで自分と同じく謹慎させられていたアドルファスとキーランが息を切らせながらこちらへやって来るのが見えた。
「テオ!エイトール!」
「ユキヤは!?」
「安心しろ。まだ来てない」
「そうか…。だが、ユキヤは大丈夫なのか?テオ、セオドア様かウェズレイ公爵から、何か連絡があったりしなかったか?」
アドルファスの言葉に、テオが首を横に振る。
「いや。パーティーが終わるまでは、俺を含めた全生徒が外部との接触禁止だったから」
「じゃあ、ユキヤがどう対策を立てているのかは分からないか…」
「ああ。兄上はセオドア母上と御生母のベハティ様に鍛えられているから、武術全般でいけば多分俺より強い筈…。問題は魔力を使った戦いだ。なにせ兄上、魔力はあるけど魔力操作が壊滅的だから…」
溜息交じりにサラリと呟かれたテオの言葉に、その場の三人の目が点になる。
そこでハッとして『あ、しまった』と言った様に慌てて口に手を当てたテオを、エイトール達はジト目で睨み付けた。
「…は?何だ今の台詞?」
「…ユキヤの魔力操作が壊滅的…?」
「おい、テオ。それ俺達初耳なんだけど?」
「…秘密にしていたんだから、知らなくて当然だろ。だいたい、知ればお前達の事だ。即、兄上に決闘申し込むに決まってるだろうが!」
もはや言い訳不可能だと悟ったのだろう。開き直ったようにそう言い放つテオに、三人がブチ切れた。
「当たり前だ!んな美味しい…いや、重要な事知ってりゃ、何が何でも決闘にこぎつけていたわ!!」
「そうだ!こんなどうしようもない状態になる前に手を打てただろうが!」
「魔力が使えないなら、武術がどれだけ強くても勝てていたのに…!」
「だから内緒にしてたんだよ!だいたいお前らに奪われるぐらいなら、俺が決闘申し込んで兄上を守る!」
「娶るの間違いだろが!」
「大体、お前の父上は魔力操作の達人だろ!?セオドア様との決闘もそれで勝利したって聞いたぞ!なのになんで、ユキヤに魔力操作を教えてなかったんだ!?」
「それは…」
口ごもり、視線を反らしたテオの目に、見慣れた家紋が彫られた馬車が正門を抜けてくるのが映った。
「兄上!」
テオがその場から走り出す。
エイトール達も慌ててテオを追うが、その周囲にいた者達は一斉に、たった今到着した重厚な造りの馬車に視線を向けた。
「おい!あれ…!」
「アスタール公爵家の家紋。じゃあ…あの馬車の中に…」
話題の人が乗る馬車の登場に、場が騒然となる、
そうして開け放たれた馬車のドアから一人の青年が出てくると、今迄騒がしかった場が一転、水を打ったように静まり返った。
ローレンス王子も馬鹿だなと思う。
ユキヤには劣るが見た目だけはかなり良いのだ。テオの前ではしおらしくして、逆にユキヤを誉めてさえいれば、まだ脈があったかもしれないのに。
…いや、それはないか。
テオの理想はユキヤなのだから、見た目が良いという以外共通点がまるで無い王子様には、万が一でも勝ち目などないだろう。そう考えると、少しだけローレンス王子が気の毒になってしまう。
...いや、こんだけアホなことをやらかしてくれたので、同情はこれっぽっちもないけど。
テオは生まれた時からずっと傍にいたユキヤをそれはそれは慕っている。
学院に入ってからは、なんとか兄離れをしようと頑張っているようだが、あまり上手くいってない。ユキヤにもただの反抗期ととらえられているようだ。
俺らからしてみれば、存分に甘えられる弟という美味しいポジションなんて、超絶羨ましい限りだが。根が真面目な奴だし、当のユキヤが危機感が薄く割と抜けているので、自分がしっかりしなければと思っているのかもしれないな。
と、そこで自分と同じく謹慎させられていたアドルファスとキーランが息を切らせながらこちらへやって来るのが見えた。
「テオ!エイトール!」
「ユキヤは!?」
「安心しろ。まだ来てない」
「そうか…。だが、ユキヤは大丈夫なのか?テオ、セオドア様かウェズレイ公爵から、何か連絡があったりしなかったか?」
アドルファスの言葉に、テオが首を横に振る。
「いや。パーティーが終わるまでは、俺を含めた全生徒が外部との接触禁止だったから」
「じゃあ、ユキヤがどう対策を立てているのかは分からないか…」
「ああ。兄上はセオドア母上と御生母のベハティ様に鍛えられているから、武術全般でいけば多分俺より強い筈…。問題は魔力を使った戦いだ。なにせ兄上、魔力はあるけど魔力操作が壊滅的だから…」
溜息交じりにサラリと呟かれたテオの言葉に、その場の三人の目が点になる。
そこでハッとして『あ、しまった』と言った様に慌てて口に手を当てたテオを、エイトール達はジト目で睨み付けた。
「…は?何だ今の台詞?」
「…ユキヤの魔力操作が壊滅的…?」
「おい、テオ。それ俺達初耳なんだけど?」
「…秘密にしていたんだから、知らなくて当然だろ。だいたい、知ればお前達の事だ。即、兄上に決闘申し込むに決まってるだろうが!」
もはや言い訳不可能だと悟ったのだろう。開き直ったようにそう言い放つテオに、三人がブチ切れた。
「当たり前だ!んな美味しい…いや、重要な事知ってりゃ、何が何でも決闘にこぎつけていたわ!!」
「そうだ!こんなどうしようもない状態になる前に手を打てただろうが!」
「魔力が使えないなら、武術がどれだけ強くても勝てていたのに…!」
「だから内緒にしてたんだよ!だいたいお前らに奪われるぐらいなら、俺が決闘申し込んで兄上を守る!」
「娶るの間違いだろが!」
「大体、お前の父上は魔力操作の達人だろ!?セオドア様との決闘もそれで勝利したって聞いたぞ!なのになんで、ユキヤに魔力操作を教えてなかったんだ!?」
「それは…」
口ごもり、視線を反らしたテオの目に、見慣れた家紋が彫られた馬車が正門を抜けてくるのが映った。
「兄上!」
テオがその場から走り出す。
エイトール達も慌ててテオを追うが、その周囲にいた者達は一斉に、たった今到着した重厚な造りの馬車に視線を向けた。
「おい!あれ…!」
「アスタール公爵家の家紋。じゃあ…あの馬車の中に…」
話題の人が乗る馬車の登場に、場が騒然となる、
そうして開け放たれた馬車のドアから一人の青年が出てくると、今迄騒がしかった場が一転、水を打ったように静まり返った。
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