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最悪な国、ニコ国
第34話 ヨウシア国 王都アルドリット
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「お嬢様、ご無事でしたか」
ミノヤキーノ商会店長テンダーは、クレメンスティーナだけが現れ、父親ターナボッターの姿も、荷物を積んでいたはずの荷車もないことに、当然だが気がついている。
「ごめんなさい。父も荷物も盗賊に……」
「ひょっとして、カモネギー様も?」
「ええ」
「そうでございますか」
テンダーはこの時、商品がなくて困っていたのだが、その事は顔に出さない。
とにかく、トリヤキー商会へと向かう。
店としては商売敵、だが店主同士が仲がよく、姉妹店のような感じであった。
「ソリレスさん」
「はい……」
そう答えてこちらを向いた顔は、やつれて死にそうだった。
だが……
「お嬢様、ご無事でしたかぁ」
そう言って飛びつき、躱されて転ぶ……
「いたた、ひどい」
だが顔は一瞬で血色がよくなっていた。
「こちらも、売り物がありませんね」
「ええ。この王都で材料を仕入れて作ると、同じ物でも値段が三倍ほどになってしまうのでしょう。うちも同じです」
二人ともそう言って悲しそうだ……
「材料出すから、二軒で分けて」
「ここじゃ駄目。出すなら部屋でゆっくり」
妙に色っぽい顔で、そんな事を言いながら、クレメンスティーナとセセリーが飛びついてくる。
「それもそうか」
納得したところで、ミノヤキーノ商会店長テンダーとトリヤキー商会、番頭ソリレスの目付きが厳しくなる。
それに気がついた二人は……
「旦那様です」
クレメンスティーナが、照れ照れしながら嘘を言う。
「ふざけないで」
セセリーが叫び、ディアナが割り込む。
「駄目です、カグラは私の」
とまあ、言い合いが始まる。
「私たちが盗賊に捕まっていたのを、助けてくださった方です」
収拾が付かないところを、トシュテン商会の娘イーリスが説明する。
彼女の家は、紙の卸と小売りだから、盗まれた損は出るが、この二軒のように商品がなくて困ることはないだろう。
心配なのは父親の容態くらいだが、それは見てあげることになっている。
早速店に入って行くと、奥の扉を開き、店を突き抜けて倉庫へ向かう。
「生糸と木綿で良いのか?」
「はい」
盗賊から奪ったものやなんやかや……
あの時、ダミアン王国王都ヴァハマーで情報収集したら、なぜか亜空間庫の中に増えていた商品達。
やっと捌ける。
ついでに、生地なども出していく。
娘二人は、やっぱりカグラさんとか言っているが、店主さんと番頭さんは、目が点……
「どうして何もないところから品物が……」
「そっちか、気にするな。こういう事もある」
ぶった切る。
そして、出てきた物を見て……
「どこの王家から持って来たのです?」
反物には、家紋が入っていたらしい。
「気になるならのけてくれ。もうなくなった国の物だ」
後で知ったが、家紋などは知られており、勝手にそれを使うと首が飛ぶそうだ。
「商売になりそうか?」
「ええ、ええっ? これは一体?」
俺が趣味で作ったタッパーと、おそろいで試しに作った白磁の器達。
「そう、それステキでしょ」
全セットを出すのは初めてだから、クレメンスティーナとセセリーが飛びついてくる。
「この透き通るような薄さ、そして白さ。そして金? この装飾が素晴らしい」
装飾をするときペイズリーが思い出せなくて、唐草みたいな、葛の葉っぱのような、要するに蔓草で葉っぱをハートにして装飾をした。金みたいなのは金だ。
比重は測っていないから本物か不明だが。
念じたら空間に出現をした。
ちなみに、金で形を作り、カップとは分子レベルで融合してある。
一般的な、王水で溶かした金を塗って、窯で焼く物とは強度が違う。
そうこの器を再現するために、俺は火山などを巡り、硫黄を探したり陶石鉱床を探したりした。無論硝石も……
んでまあ、硝石を見つけたら、黒色火薬を作りたくなるじゃない。
まあ、ワタはあるし、ニトロ化してその方が簡単だけどね……
皆高校生の時、化学実験室に忍び込んで、一度は作ったよね。火薬……
「ふははははぁ」
「どうされたのでしょうか?」
高笑いをしたら、かわいそうな目で見られた。
「やはり無理でしょうか?」
そう今まさに、ミノヤキーノ商会店長テンダーとトリヤキー商会、番頭ソリレスさんが、この器を作りたいと仰ったのだ。
「作るなら、土が必要です。この近くに火山か火山だったところはありませんか?」
試しに聞くと、即答で帰ってきた。
「あります」
それでまあ、数日間。死にそうだった商店を復活させて、ついでに、トシュテン商会へイーリスと共に向かう。
「おっおおっ、無事じゃったのかぁ」
そう言って、お父さんが走ってくるが、器用にひらりと身を翻し、お父さんは通りへ、顔から突っ込む事に。ナイススライディング。
顔中擦り傷、そして、血を吐く……
「お父さん」
流石に、心配してイーリスも駆け寄る。
「おや、無事だったのかい」
店の奥から、女将さん登場。
なんと言うか恰幅が良い。
イーリスも年を取ると、こうなるのかと少し想像。
「私のお母さんは、亡くなって、マーシーさんは後妻さんです」
「あっそうなんだ」
何かを読んだかのように、イーリスに突っ込まれた。
「どれ?」
お父さんの体をスキャン。
おやっさん、スキフネーさんは胃潰瘍。
その時、周囲が光ったぁ……
まあ、いつものあれです。
不思議そうな顔をする本人と、ニコニコ顔のイーリス。
「まあ中に入ってお茶でも」
なぜか俺がそう言って、店の中へ入る。
ミノヤキーノ商会店長テンダーは、クレメンスティーナだけが現れ、父親ターナボッターの姿も、荷物を積んでいたはずの荷車もないことに、当然だが気がついている。
「ごめんなさい。父も荷物も盗賊に……」
「ひょっとして、カモネギー様も?」
「ええ」
「そうでございますか」
テンダーはこの時、商品がなくて困っていたのだが、その事は顔に出さない。
とにかく、トリヤキー商会へと向かう。
店としては商売敵、だが店主同士が仲がよく、姉妹店のような感じであった。
「ソリレスさん」
「はい……」
そう答えてこちらを向いた顔は、やつれて死にそうだった。
だが……
「お嬢様、ご無事でしたかぁ」
そう言って飛びつき、躱されて転ぶ……
「いたた、ひどい」
だが顔は一瞬で血色がよくなっていた。
「こちらも、売り物がありませんね」
「ええ。この王都で材料を仕入れて作ると、同じ物でも値段が三倍ほどになってしまうのでしょう。うちも同じです」
二人ともそう言って悲しそうだ……
「材料出すから、二軒で分けて」
「ここじゃ駄目。出すなら部屋でゆっくり」
妙に色っぽい顔で、そんな事を言いながら、クレメンスティーナとセセリーが飛びついてくる。
「それもそうか」
納得したところで、ミノヤキーノ商会店長テンダーとトリヤキー商会、番頭ソリレスの目付きが厳しくなる。
それに気がついた二人は……
「旦那様です」
クレメンスティーナが、照れ照れしながら嘘を言う。
「ふざけないで」
セセリーが叫び、ディアナが割り込む。
「駄目です、カグラは私の」
とまあ、言い合いが始まる。
「私たちが盗賊に捕まっていたのを、助けてくださった方です」
収拾が付かないところを、トシュテン商会の娘イーリスが説明する。
彼女の家は、紙の卸と小売りだから、盗まれた損は出るが、この二軒のように商品がなくて困ることはないだろう。
心配なのは父親の容態くらいだが、それは見てあげることになっている。
早速店に入って行くと、奥の扉を開き、店を突き抜けて倉庫へ向かう。
「生糸と木綿で良いのか?」
「はい」
盗賊から奪ったものやなんやかや……
あの時、ダミアン王国王都ヴァハマーで情報収集したら、なぜか亜空間庫の中に増えていた商品達。
やっと捌ける。
ついでに、生地なども出していく。
娘二人は、やっぱりカグラさんとか言っているが、店主さんと番頭さんは、目が点……
「どうして何もないところから品物が……」
「そっちか、気にするな。こういう事もある」
ぶった切る。
そして、出てきた物を見て……
「どこの王家から持って来たのです?」
反物には、家紋が入っていたらしい。
「気になるならのけてくれ。もうなくなった国の物だ」
後で知ったが、家紋などは知られており、勝手にそれを使うと首が飛ぶそうだ。
「商売になりそうか?」
「ええ、ええっ? これは一体?」
俺が趣味で作ったタッパーと、おそろいで試しに作った白磁の器達。
「そう、それステキでしょ」
全セットを出すのは初めてだから、クレメンスティーナとセセリーが飛びついてくる。
「この透き通るような薄さ、そして白さ。そして金? この装飾が素晴らしい」
装飾をするときペイズリーが思い出せなくて、唐草みたいな、葛の葉っぱのような、要するに蔓草で葉っぱをハートにして装飾をした。金みたいなのは金だ。
比重は測っていないから本物か不明だが。
念じたら空間に出現をした。
ちなみに、金で形を作り、カップとは分子レベルで融合してある。
一般的な、王水で溶かした金を塗って、窯で焼く物とは強度が違う。
そうこの器を再現するために、俺は火山などを巡り、硫黄を探したり陶石鉱床を探したりした。無論硝石も……
んでまあ、硝石を見つけたら、黒色火薬を作りたくなるじゃない。
まあ、ワタはあるし、ニトロ化してその方が簡単だけどね……
皆高校生の時、化学実験室に忍び込んで、一度は作ったよね。火薬……
「ふははははぁ」
「どうされたのでしょうか?」
高笑いをしたら、かわいそうな目で見られた。
「やはり無理でしょうか?」
そう今まさに、ミノヤキーノ商会店長テンダーとトリヤキー商会、番頭ソリレスさんが、この器を作りたいと仰ったのだ。
「作るなら、土が必要です。この近くに火山か火山だったところはありませんか?」
試しに聞くと、即答で帰ってきた。
「あります」
それでまあ、数日間。死にそうだった商店を復活させて、ついでに、トシュテン商会へイーリスと共に向かう。
「おっおおっ、無事じゃったのかぁ」
そう言って、お父さんが走ってくるが、器用にひらりと身を翻し、お父さんは通りへ、顔から突っ込む事に。ナイススライディング。
顔中擦り傷、そして、血を吐く……
「お父さん」
流石に、心配してイーリスも駆け寄る。
「おや、無事だったのかい」
店の奥から、女将さん登場。
なんと言うか恰幅が良い。
イーリスも年を取ると、こうなるのかと少し想像。
「私のお母さんは、亡くなって、マーシーさんは後妻さんです」
「あっそうなんだ」
何かを読んだかのように、イーリスに突っ込まれた。
「どれ?」
お父さんの体をスキャン。
おやっさん、スキフネーさんは胃潰瘍。
その時、周囲が光ったぁ……
まあ、いつものあれです。
不思議そうな顔をする本人と、ニコニコ顔のイーリス。
「まあ中に入ってお茶でも」
なぜか俺がそう言って、店の中へ入る。
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