神の使徒は闇を走り、道化師は戯れる。ー 異世界、世直し道中記 ー

久遠 れんり

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依頼者シュザンヌ嬢は微笑む

第9話 オークの巣

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 俺は、周囲探査をしながら、森の中を走る。
 生意気にも、オーク達は周囲に索敵なのか、うろうろしている様だ。

 会わないようなルートを選択するが、躱せないものは倒していく。
「一匹倒すと、幾らなんだろう?」
 だがでかいので、何匹も引きずっていくのは無理だ。
 無論、後で倒したことも、置いてきたことも怒られた。

 こいつらは、ソロで倒すなら銅級が適正とか、知らんがな。

 適当に壁が作られた村。
 なんか、人間の村をまねたのか?
 だがこの辺りに、壁を持っている村はない。

 壊れかけ、隙間だらけの壁を抜けると、いくつか小さいが家がある。
 そして畑まで。

 そんな知識があるのか?
 疑問だらけで考えていると、男が一人、小屋から引きずり出されて、引っ張って行かれる。
 騒いでいると、簡単に首がひねられて…… 当然おとなしくなる。

 問題は、男の格好……
 農民なのか盗賊なのか?
 判断がつかねえ、森から出て街へ到着する間に農民は会ったけれど、なんかおずおずして、すぐに逃げて行ったんだよな。
 盗賊討伐を受ければ良かったが、レーナにまだ駄目でーすと言われて受けてねえ。
 黄銅級になれば補助的に受けられて、銅級から一人前なんだよな。
 多くの冒険者は、銀級が最後だし。

 薬はギルドを通してないから、評価にならねえし。
 まあ今は、そんな事を言っていても仕方がない。

 さっき、男が引っ張り出された小屋に張り付き、様子をうかがう。
 隙間から中を見るが、薄暗くハッキリしない。
 気配では、オークさんが一匹、奥さんじゃないよ。
 
 人間が、五人くらい?

 こそっと中に入り、オークの首をはねる。
 で、まじまじ見ると、男ばかり。
 それにどう見ても盗賊だ。

「おお、てめえなんだ? 助けか。早くなんとかしろ」
 そして偉そう。

「ほかに誰か捕まっているのか?」
「女がいるはずだ」
「別の小屋かな?」
「ああ、せっかく造った村にオークめ」
 そう言って文句たらたら、だが彼ら別に縛られているわけではない。
 見たところ、腕の一本くらい折れている奴もいるが、他はまともそう。
 見張りは倒したし、問題ないだろう。

 当然、話しは聞いたし小屋を出て行く。
「おい、ちょっと待てよ」
 背後から声が掛かるが、当然無視。

 人が居る小屋。
 あれだな。
 だが、以外とオークの出入りが多い。

 外で一匹倒し、中だが内部に五匹も居る。
 ええい。
 いけ。

 うりゃあと気合いを入れるが、行動は当然だがこそこそ、そっと戸を開ける。
 忍び込むが、こちらなど気にせず、オークさんブモウと言いながら腰振っているし……

 スカッと、首をはねる。
 みんな、そんな惨劇でも何も言わない。
 少し精神的な物がキツかったのか、心を閉ざし、うつろな目だった。

 とりあえず、覚えた光魔法を皆に掛ける。
 浄化に、治癒。
 少し正気になったところで、声をかける。
「大丈夫か? 立てるなら逃げよう」

 捕まっていた女の人は、残り七人。

 テューニは、銅級冒険者チームの一員だった。
 街道を通る、商人の護衛としてついていた。
 そこに盗賊が現れて、商人達と共に捕まり、仲間のエルサ達と共に盗賊達に犯される。
 同じチームのライナルトは恋人だったが、その目の前で幾度も……

 そしてある日、外が騒がしくなり、助けなら…… その地獄が終わるかと思ったが、相手がオークに変わった。 
 そして、順に人が減っていった。
 同じ時に捕まった商人の娘、エマもまだ生き残っていた。

 そして、ボーとしていた世界が、急にクリアになっていく。
「ここは?」
 見たことない男の人が、声をかけてきている。

「大丈夫か? 立てるなら逃げよう」
 ふと見回すと、首のないオーク達。
 彼がやったのなら、凄腕だ。
 オークは人間よりも一廻り大きく、筋肉質。
 皮膚も丈夫で、よほどの腕じゃないと一太刀で切ることなどできない。


「ありがとうございます」
 やっと解放される。
 そう思って喜んだ、だがもう、人並みの幸せは得ることがないだろう。
 盗賊に犯され、モンスターに犯され……

「とりあえず、皆その辺りの服を着て」
 彼が照れたようにそう言って、私たちは服を着ていないことに気がつく。
 あたふたと、皆が動き始めるけれど、あれ? 体がいたくない。

 見ると皆、体が綺麗になっている。
 適当に良さそうな服を着て、外に出る。
 すると、盗賊達がオークと戦っているようで騒ぎになっている。
「丁度良い。逃げるぞ」
 その人は、躊躇無く盗賊を囮にして逃げた。

 まあ私たちは、足手まといになる。
 盗賊達なら、心は痛まない。

 奇妙にくねくねと、移動をしながら逃げていく。
「もしかして、周辺探査が出来るの?」
「ああ、できる。こっちだ」

 彼は暗く鬱蒼とした森の中を、まるで鳥瞰でもしているように走っていく。

 やがて、森が開け崖へと到着。そこには仲間なのか女が一人…… て、姉御。
「おまえ、見てくるだけって言っただろ」
「いやあまあ、つい」
 ハンドサインを交わして、息ぴったりに山を下り始める。

「それでオークは?」
「いくつか倒した」
「倒したじゃなくて、追って来ては…… うん? 倒したぁ!!」
 倒したと聞いて、ユスティは叫んでしまう。

「ああ、大きな声を…… 気がつかれた、三匹ほど来る。ちょっと待って」

 三匹、それは絶望。
 私には無理。
 話しに聞くと、オークは女を捕まえると、ヤリながら噛みつくとか聞いた。
 この数日、人生の中で一番私は幸せだった……
 納得できるかぁ、いやだあ。
 
 そんな事を思っていると、カグラが森へと入って行く。
 すぐに、重い何かが倒れる音。
 すぐに出てきた。
「これで近くにはいない。帰ろう」
 そう軽く言って、街へと帰り始める。
 こいつ何者? 今更だが、わけが分からない……
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