【完結】幻姫と皇太子は身分を隠しお互いに惹かれ合う【全6話】

なつ

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幻姫…その言葉はこの国の公女を指す言葉。公女は社交界に顔を出さずにその容姿は不明である。いくら公女でも必ず参加しないといけないパーティーがある。それは王族の主催のパーティー。そのパーティーにも来ないことから病弱という噂が流れた。

でも実はパーティーにはいた。来ていないことになっていたが顔を知らない者たちに認知されることもなくひっそりと参加していたのだ。帰っていい時間になるとそそくさと帰っているが参加するたびに思う。

「どうしてあんな上辺だけの関係が大切なのか」と。

令嬢たちはマウントのとりあい、正直話す内容も似ているので誰が誰なのかも見極めれないほどそっくり。そんな中で生活するのは窮屈だった。

公女の名はカレン。仕事上の友人は沢山いるが社交界の友達はゼロ。下手に話しかけて身分が下だったら恥をかく社交界でカレンが誰かわからない以上下手に話しかけてくる令嬢は居なかった。カレンもめんどくさいと感じていたので友人が出来るわけがない。

カレンには弟がいる。弟がいるからカレンは世間的に言えばどこかに嫁がないといけない。でもカレンは違う。自分で事業を始め家を出た後も仕事があるように仕組んだ。それほど結婚はしたくない。いや、政略結婚をしたくない。でも自分が誰かを好きになるということも想像が出来なかった。

政略結婚などさせる訳もなく自由に生きればいいさと温かい言葉をかけてくれる家族。カレンにとってここが居場所だった。

カレンは人気店を3店舗持っておりオーナーとして多忙だった。そのため平民が住む町に出かける事も少なくない。町に行くときは貴族が着るような服などは着ない。とにかく動きやすい服装重視だった。その為周りの人からは貴族と思われずに店の評判を聞いたりする。

繁盛している店があるということは反対に繁盛していない店がある。そんな連中にオーナーだとバレて襲われることもあった。カレンは護衛を付けない。誰かに守られるか弱い女性が嫌いだから。カレンは幼いころから武道を習っており自分で撃退する。

メイドもあまりつけない。唯一のメイドはラン。メイドといってもオーナーとしての秘書みたいなものだ。ランも武道が得意で頼れる女性。

また今日も襲われた。今日は大人数で…。人通りの少ない所で剣を持っている男たちに囲まれる。この様子をみてカレンは笑う。

「そんな大人数で恥ずかしくないのか」と。

「見ての通り私は武器をもっていないがそんなに大勢で来るなど自分が弱いと認めているようなものだ。」その瞬間カレンが動く。皇太子が見ているとも知らずに…
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