身代わり吸魔が暴君騎士に思うこと

鹿音二号

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聖騎士コンラート

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第六の災禍。
とうとう、こんなところまで……
戸惑っている――予想を超えた、聖女の強さ。

災禍を討伐するために旅する聖女アエリアーナに付き従う傍ら、聖騎士の俺が教会から受けた密命は――聖女の死亡、および災禍討伐失敗を知らせること。

教会の尊き人々は、聖女を危険なものとみなした。
何も知らぬ、ただ浄化という特殊な能力を持つだけの小娘が、成人する目前までその力で敵を屠ってきた。
奇跡であり功績だと、一部からは熱烈な支持を受けている。
万が一、この罪に溢れた世を知らない、清らかすぎて人間の罪深さに耐えきれないだろう聖女が、教会を動かす力となったら?
そのうち神の聖なる家たる教会は、もろく崩れ去るだろう。
そんな恐ろしい未来を、実現させてはならない。

折しも、いにしえの強大な災禍がその封印を破るという。
聖女は、その役目を全うされるのが一番良い。
尊き人々は、そうおっしゃった。
俺は魔法と剣の才能を買われ、そして身も心も神に捧げた忠実なる羊として評価をいただき、この聖女の使命を全うする姿を見届けるお役目をいただいた。
だが――

「よっし、じゃあ作戦通りに!」

髪の長い、おそらく青年に年齢は達するだろうそれの、朗らかな声。
未知数があった。
こんなことがあっていいものか、神の采配か、それとも試練か。
災禍が、聖女の味方をした。
人間のように話し、聖女を身を挺して助け、災禍を討伐するための知恵を授けた。
聖女のように神託を受けたという。
……まるで、それに導かれるように、この第六の災禍まで、聖女はその役目を正しく全うしている――尊き人々の、意志とは裏腹に。

俺は、そのおかしな災禍について報告した。
だが、うまく事態が伝わらなかったのか、返ってきたのは聖女の失敗だけを報告せよと、それだけだった。
以来、失敗はなく……残る災禍はふたつ。

第六の災禍は難しい、とその第一の災禍は言った。
亜空間というものを作るという。
区切られた部屋のような空間に閉じ込められ、出られなくなるという。
だが、何かしら条件を満たせば、脱出は可能でないか……という曖昧な知識だったが、かの災禍は自信を持って語った。

どうして、そのようなことを知り得ているのか……神託というが、まるで見てきたかのような語り口だ。それは、ほとんど当たっている。
得体のしれなさに、何度も怖気を覚えるのは、隊の中では俺だけのようだが。
まあ、今に至るまでついぞこちらに危害を加えようというそぶりはなかった。
それどころか、その身を犠牲にして……いや、まさか過去の聖人らと同じに語るわけにはいかない。

聖女は第一災禍を最初から信用し、今もすっかり彼の者の口車に乗せられている。
……いや、それは、正しいことではないだろうか?
神託を受けたということは、天から遣わされたものということだ。
それを信じた聖女が、世界を滅ぼす災禍を討伐する――世界は救われるのだ。
そもそも、浄化の力は聖女以外に持ち合わせていない。聖女がいなければ……世界は滅びるのだ。

……おかしな話かもしれない。尊き人々は、まるで救世などどうでも良いと言っているのでは。
……いや、俺の浅慮では推し量れぬことなのだ、きっと。

「破れます!」

聖女の鋭い声に、はっと俺は目の前を見た。
封印が、破られる――
何もない荒野の真ん中で、ぐにゃりと宙が歪み……それが現れる。
大きな人間の顔だった。
人の背丈はあろうそれ。それがみっつ、固まってくっついている。
ひとつは見目麗しい女性。
ひとつは憤怒の形相の青年。
ひとつは悲哀の形相の翁。
そのそれぞれ耳のあたりから、鳥の翼のようなものが数枚生えている……まるで、古い聖典の挿絵にあった、天の御遣いのようだな。
だが、災禍なのだ。

それが現れたと同時に、魔道士が魔法を放つ。
瘴気を媒体にして魔法を使う災禍に、魔法を封じる効果がある魔法防壁。
そんなものをこんな短期間に作り上げる彼女は、間違いなく天才だろう。
その防壁を、いくつも作り上げ、その御遣いのような災禍の周りをぴったりと隙間なく囲む。

同時に、聖女と神院の僧侶が詠唱を始めた……すべてを清める聖域を作るために。
俺は、その前に立って、不測の事態に備えながら、場の聖属性を高める魔法『オラトリオ』の準備を始める。
同じように、魔道士のそばに、暴君騎士が立った。何かあれば、即座に魔道士を抱えて逃げられるよう、身体強化の魔法を自らにかけていた。
第一の災禍は、自分の髪を増幅していた。防壁が壊れる場合、瘴気が散る可能性があるからだ。

このまま、何も起こらなければ――第六の災禍を防壁で抑え込み、清めの魔法で瘴気を滅して討伐できる。
防壁が魔法を押さえて、亜空間とやらは作られないようだ……
このまま、何事もなく、終われば――
だが。
バリン、と大きなガラスが割れるような音がした。

「うそ――」

魔道士が、悲鳴をあげた。
防壁が、粉々に壊れた。
第一が、驚きながらも即座に髪を第六の周りに巻こうとして……
ふっと、目の前が、暗くなる。
……気づけば、真っ白な場所に、俺は立っていた。
はっと後ろを振り返っても、真っ白で、天地もない空間があるだけ。

「聖女!」

だが、彼女の返事はない。
代わりに――

「あれ?」

その声は。
再度前を振り返ると、第一の災禍が立っていた。いつの間に……
それは、困った顔をして自分の髪を手で持ち上げた。

「うーん間に合わなかった。やっぱり我慢して先に巻いとけばよかったな」

……大量の髪が、この白い空間で黒く広がっている。
それを戻しているのか、するするとまたたく間に減っていく。

「俺はあんたとか。他のみんなは大丈夫かなー」

アエリアーナとダインだったら大変、と呑気そうに言うが……俺は、一度聖女が暴君騎士に暴行されそうになったことを思い出した。
はやく、お助けせねば――

(……いや、これで、任務が達成するかもしれない)

この空間が亜空間とか言うものだろうというのは、事前の説明で分かっていた。第六災禍の攻撃だという。
閉じ込められるのは可能性としてはあったのだ、対処も考えてある。

だが――ここで、何か事件が起こっても、不可抗力だろう。
例えば、聖女が仲間の騎士に襲われ再起不能になるような。
例えば、敵に攻撃を受けて、聖女が信頼する災禍が消滅するような。

「じゃ、『通り道』を探すか」

ふんふんと、鼻歌交じりに周囲に髪を伸ばし始めた災禍の、死角にそっと立つ。
持っていた剣を、そっと構え直して――

「やめなって、コンラート」

災禍のその声にびくっと、震えてしまった。
剣の先がぶれた。
しまった、攻撃されたら防御できない……!
……なぜ、何もしない?

「アエリアーナにどう言い訳するんだ?俺を殺して」
「……敵の攻撃に倒れたと言っておこう」

喉が緊張で渇く。
こちらを見向きもせず、髪を張り巡らす、災禍――化け物。

「信じないよ。アエリアーナは全部知ってるから」
「は」

……なんだと?

「あんたが護衛じゃなくて、教会の命令を受けて、聖女が死ぬのを待ってるのをな」
「……ば、かな」

なぜ、だ。
なぜ、知っている。
何も知らない、無知な娘ではなかったのか。

「箱入り娘じゃないんだよ、そう見せかけてただけ。なあ、この作戦、あいつがほとんど考えたって言ったら?」
「……!?」
「嘘じゃないよ、俺そこまで頭良くない」

……嘘だ、きっと、俺を惑わすつもりだ。
呑まれてはいけない。

「だとしても、お前を殺せば、聖女の心を折ることができる」
「……あー、それは、考えてなかったな」

本当に思いもよらぬことを言われたとでも言いたげだな。
頭をこちらに巡らせた災禍。
ざわりと髪が蠢く……

「でも、殺せれば、だよね」

ぞっとした。
後ろに飛び退いたが……何も起こらない。
苦笑したような顔で、災禍は首をもとに戻した。

「俺は何もしないよ。ねえ、考えたことあるかな、もしアエリアーナが失敗して、聖女がいなくなったあとの世界のこと」

それは……
考えようとして、考えられなかったことだ。

「浄化の力はすごいよ。今はアエリアーナしか持ってないんだ、それがなくなって、第六、第七の封印が解けて出てきたら……本当に世界が滅ぶよ」

軽い口調なのに、妙に真に迫るものだな。
騙されない、神は世界を人間を、見捨てるはずがない。

「神様……ね。もしかしたらだめになった世界は壊して、新しい世界を作り直すほうにいくかもな」

災禍が苦笑している。

「そのような罰当たりな……」
「ま、どう思っててもいいよ」

……神託を下されたという触れ込みだったな、この災禍、は……
背筋が、寒くなっていく。
ならば、なぜ、尊き人々は……この災禍を無視した。

「でも、本当にアエリアーナしかいないんだ、どうしてそれを殺したいんだ?教会は」
「……」
「バカな話だと思わないか?自分たちの都合で世界を滅ぼそうなんてな」
「災禍が言えることか」

とっさに言い返したが……論点が違う。

「……くく、それもそっか」

おかしそうに笑う声は、聞くだけなら好青年だな。
ただ、俺は、ずっと寒気が止まらない。

「でもまあ、俺はアエリアーナ……の味方だからね。っと、あったぞ、『通り道』だ」

ずらっと、災禍の黒紫の髪が一箇所に束ねられた。少し遠いところのようだが……キラリと、なにか光るものがあった。それに向かって、髪が伸びていく。

――亜空間とやらは、第六が獲物のエネルギーを吸い取るための部屋のようなものだという。
なら、部屋には第六が獲物のエネルギーを運ぶ通り道があるのでは、と。
それを壊せば、脱出できるのだろうと。
語ったのがこの災禍だったから、これが考えたのだろうと思っていた。

まさか、聖女が考案しただと?
たしかにふたりは、親密だ。ふたりきりになることも多い。……勘ぐって、だから放置した。

(作戦会議だとでも言うつもりか!?)

ありえない、ならば、俺は……いったい今まで何をしていた。

通り道を、災禍が壊した。
ぱあっとまばゆい光が目を灼き、とっさに目を閉じて――
ふと、頬に風を感じた。
目を開けると、元の場所だった。

「ちょっと我慢しろよ!」

災禍が叫んだ。
ざあああっと梢のような音がして、周囲が暗く……真っ暗になる。

「悪いけど、シェルター……防壁代わりな。今、第六の瘴気吸ってる」

瘴気がなければ、災禍の魔法は発動しない。
だから、吸魔の髪の中なら、魔法は発動しない。

俺は――座り込んだ。
無力感、後悔、疑念……そんなものが胸の中でぐるぐると渦巻いている……
何を、俺は今まで……全くの無意味だったのか。
それどころか、世界を滅ぼす手伝いを……

「お、アエリアーナたちが戻ってきたのか」

災禍は明るく言った。

「ん、クリスティナもか。お、防御壁大量に作ったな。これで完封だろ!強度の問題だったんだな」

うるさいな、分かっている、俺は役立たずだ。

「……よし、聖域が作られたぞ!あんたの出番だ!」
「え?」

ばっと、視界が明るくなる。
目の前に、純白のドームがそびえ立っていた。……『聖域』だ。今までにない大きさで、なんだか圧倒される……
その前でアエリアーナが、杖を構えて、魔法の強い風に髪をたなびかせている。
その青い目が、俺を見つけて、叫ぶ。

「コンラート!力が足りません!オラトリオを!」
「……」

震える手で、剣を掲げた。
聖属性の増幅魔法は、聖騎士の習得必須だ。
なにも、特別なことではない……

(だが、ここには俺しかいないのだな)

ともかく、災禍は倒さねばならないのだ。……知るか。
ありったけの魔力で、オラトリオを発動。
ぱあああ、とドームがますます光を増やして……ぱっと消えた。

「討伐成功です。いや、よかった」

アエリアーナの横に……お前いたのか、神院の僧侶。
聖域はふたりが揃わないと発動できないな……

「だ、ダイン……ちょっと、来て……」

近くで、よろよろと災禍が暴君騎士に向かって歩き出した。
なんだ?

「聖属性の力強くて……なんか痺れて……ふわ、やっぱりダイン瘴気作ってたな?」

いい匂いがしたから、って、お前は……
その今髪で捕まえてすり寄っている男に、散々な目に遭っているというのに。
全く懲りないどころか、嬉々として寄っていくのは……ああ、もう、知るか。

「ん……でも、なんでこんなに瘴気が?アエリアーナの魔法使ってもらう?」
「……いや」

ダインは無表情だが……災禍の髪に頬ずりしている。明らかに気に入っているな、それを。
俺は何を見せられているんだ。

「……リュート、そのけだものから離れなさい」
「ん?あれ?なんでアエリアーナ怒ってるんだ?」
「知りません」
「あー私、フレェイと一緒だったんだよねー……」

魔道士が目を逸らしながら。
え!?とギョッとして災禍が魔道士と僧侶を見比べ、それからハッとダインを見た。

「……喧嘩した?」
「喧嘩とも呼べませんよ」

答えたのはアエリアーナだ。……そんなつっけんどんな声を初めて聞いたな……

「あーえーと、仲良くな……?」
「知りません!」

アエリアーナが、ふんっ、とあっちの方を見る。
困った顔をしている災禍、お前が大方原因だろう、分かっているのか?
……本当に、俺は何を今までしていたんだ。

もう、ここまで来たからには、後戻りはできないのだ。
残る災禍は……あとひとつ。
聖女は聖女だ。

その聖女だが……やはり、災禍の言った通り、ただの無知な娘ではないようだ。

「……リュートに手ェ出したら……覚悟しろよ」

低い声で、耳元で囁かれた時には、この旅で一番の危機感を覚えた。
……本当に、俺は一体何をしてきたんだろうな。

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