ふれたら消える

明樹

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 俺には二つ上の兄がいる。
 名前はこう
 人形のようにとても綺麗きれいな顔をした、自慢の兄だ。



 俺がキッチンで皿を洗っていると、昊が冷蔵庫の水を取りに来た。
 その時伸ばした白い腕の内側に、赤い跡がついてることに気づく。
 俺は濡れたままの手で昊の腕を掴み「どうしたの、これ?」と聞く。

「なんでもない…触るな」

 そう冷たく言い放って、昊が俺の手を振り払う。
 目を合わすことも無くリビングから出て行った昊の華奢きゃしゃな背中を見て、深く息を吐いた。

 またかよ…。いつからあんな素っ気なくなったんだろ。俺は以前のように仲良くしたいのに。

 皿洗いを再開しながら、俺は昔の昊を思い返した。


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