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この世に生まれた瞬間の記憶なんて何一つ覚えてないけど、自分が何を思ったのかは想像できる。
あなたに会えて嬉しいーー。
ただその一つの感情がとめどなく溢れて、俺は大きな産声を上げたんだ。
「昊、今年も桜が咲き始めたよ。俺が弁当を作るからさ、二人で見に行こうよ…」
目の前で眠る綺麗な人に、静かに声をかける。
あまりにも動かないから、心配して眠る顔に耳を近づけた。
微かに聞こえる呼吸音を確認してホッと息を吐くことを、いったい何度繰り返しただろう。
目が隠れるほどに伸びた昊の前髪を撫でつけて、白い額に唇を寄せる。
「もう何も心配しなくていいんだ。俺が絶対に守るからさ…目を覚ましてくれよ…」
たまらず華奢な身体を抱きしめた。
ただ、生きてそこにいてくれるだけでいいと思っていたけど、俺の名を呼ぶ声を聞きたい。俺に向かって笑う顔を見たい。
昊の甘い匂いを嗅ぎながら目を閉じようとして、ポツポツという音に目線を上げた。
横殴りの雨が窓に当たっている。
「なんだよ、花びらが散ってしまうじゃねぇか…」
そう呟くと、再び昊の首に顔を伏せた。
あなたに会えて嬉しいーー。
ただその一つの感情がとめどなく溢れて、俺は大きな産声を上げたんだ。
「昊、今年も桜が咲き始めたよ。俺が弁当を作るからさ、二人で見に行こうよ…」
目の前で眠る綺麗な人に、静かに声をかける。
あまりにも動かないから、心配して眠る顔に耳を近づけた。
微かに聞こえる呼吸音を確認してホッと息を吐くことを、いったい何度繰り返しただろう。
目が隠れるほどに伸びた昊の前髪を撫でつけて、白い額に唇を寄せる。
「もう何も心配しなくていいんだ。俺が絶対に守るからさ…目を覚ましてくれよ…」
たまらず華奢な身体を抱きしめた。
ただ、生きてそこにいてくれるだけでいいと思っていたけど、俺の名を呼ぶ声を聞きたい。俺に向かって笑う顔を見たい。
昊の甘い匂いを嗅ぎながら目を閉じようとして、ポツポツという音に目線を上げた。
横殴りの雨が窓に当たっている。
「なんだよ、花びらが散ってしまうじゃねぇか…」
そう呟くと、再び昊の首に顔を伏せた。
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