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おかしい。お愛想で可愛いと言われてただけなのにドキッとするなんて
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ノアの足の裏に触れているアシェルの手つきは、恐ろしいほど優しい。生まれたての子ウサギに触れるよりもっと慎重な手つきだ。
そりゃあ皮が破れた足の裏に触っているのだから、乱暴に扱うなんて言語道断である。
たがしかし、傷口ではない部分にも長い指を這わせ、そんでもって土踏まずの部分を時折くすぐるように動かすのは如何なものかと思う。絶対に医療行為以外の邪な考えがあるに違いない。
対してノアは、殿上人に傷の手当てをされているという現実に、申し訳なくて仕方がない。
そして現在進行形で辞退する台詞を吐き続けているけれど、どうしてなのかわからないが盲目王子にだけそれが伝わってくれない。
(……どうしよう。運んでもらった時に無理させちゃって、具合が悪いのかなぁ)
ノアは真剣に耳が遠くなってしまったアシェルの体調を心配する。
心配するべきなのは、好き勝手にアシェルに足を触らせている現状なのだが、ノアの頭の中にはこの手の持ち主がいかがわしいことをするなんていう発想は、これっぽっちも無い。
ちなみにこの光景は、年後の、しかも未婚の男女がイチャイチャしているようにしか見えない。
だから傍から見れば胸焼けするほど甘い空気が充満している。3日はスウィーツなんて見たくない程に。
そんな中、アシェルがため息交じりに口を開いた。
「───……ノア、頑張ることと、無理をすることは違うんだよ」
ポツリと呟いたアシェルのそれは、暗にもうレッスンをやめろと言っているように聞こえてしまう。
しかし、雇用主の命令とてノアは頷けない。
傷口に丁寧に薬を塗りこんでくれるアシェルには感謝してる。でも欲しい言葉はそんなんじゃ無い。「頑張れ」という背中を押す類のもの。
「んー……殿下、そうは言っても、できないことをしようとしているんですから、多少の無理は必要ですよ」
読み書きだって、料理だって、お裁縫だって。これまで身に着けてきたものは、楽しみながら覚えたものではない。
暗記は苦痛だったし、使い慣れないフライパンで火傷だってしたし、針で指を刺したことなんて数えきれないほど。
まぁ、手先が器用で要領が良い人間なら片手間で覚えることができるのかもしれない。しかしながら、ノアはそういう類の人種ではないことをちゃんとわかっている。
なのにアシェルは、ノアの気持ちにちっとも気付いてくれない。
「でもね、こんな足の怪我をしてまで頑張るものじゃない。ダンスを踊れなくっても私はノアが一緒に夜会に出てくれるならそれで良いんだ」
「そんなこと言わないでくださいよぅ」
思わず拗ねた口調で反発したノアに、アシェルは弾かれたように顔を上げた。
その表情は、気遣いを無下にしやがってという不機嫌なものではなく、何かを期待するようなそれだった。
そりゃあ皮が破れた足の裏に触っているのだから、乱暴に扱うなんて言語道断である。
たがしかし、傷口ではない部分にも長い指を這わせ、そんでもって土踏まずの部分を時折くすぐるように動かすのは如何なものかと思う。絶対に医療行為以外の邪な考えがあるに違いない。
対してノアは、殿上人に傷の手当てをされているという現実に、申し訳なくて仕方がない。
そして現在進行形で辞退する台詞を吐き続けているけれど、どうしてなのかわからないが盲目王子にだけそれが伝わってくれない。
(……どうしよう。運んでもらった時に無理させちゃって、具合が悪いのかなぁ)
ノアは真剣に耳が遠くなってしまったアシェルの体調を心配する。
心配するべきなのは、好き勝手にアシェルに足を触らせている現状なのだが、ノアの頭の中にはこの手の持ち主がいかがわしいことをするなんていう発想は、これっぽっちも無い。
ちなみにこの光景は、年後の、しかも未婚の男女がイチャイチャしているようにしか見えない。
だから傍から見れば胸焼けするほど甘い空気が充満している。3日はスウィーツなんて見たくない程に。
そんな中、アシェルがため息交じりに口を開いた。
「───……ノア、頑張ることと、無理をすることは違うんだよ」
ポツリと呟いたアシェルのそれは、暗にもうレッスンをやめろと言っているように聞こえてしまう。
しかし、雇用主の命令とてノアは頷けない。
傷口に丁寧に薬を塗りこんでくれるアシェルには感謝してる。でも欲しい言葉はそんなんじゃ無い。「頑張れ」という背中を押す類のもの。
「んー……殿下、そうは言っても、できないことをしようとしているんですから、多少の無理は必要ですよ」
読み書きだって、料理だって、お裁縫だって。これまで身に着けてきたものは、楽しみながら覚えたものではない。
暗記は苦痛だったし、使い慣れないフライパンで火傷だってしたし、針で指を刺したことなんて数えきれないほど。
まぁ、手先が器用で要領が良い人間なら片手間で覚えることができるのかもしれない。しかしながら、ノアはそういう類の人種ではないことをちゃんとわかっている。
なのにアシェルは、ノアの気持ちにちっとも気付いてくれない。
「でもね、こんな足の怪我をしてまで頑張るものじゃない。ダンスを踊れなくっても私はノアが一緒に夜会に出てくれるならそれで良いんだ」
「そんなこと言わないでくださいよぅ」
思わず拗ねた口調で反発したノアに、アシェルは弾かれたように顔を上げた。
その表情は、気遣いを無下にしやがってという不機嫌なものではなく、何かを期待するようなそれだった。
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