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1年
ギルド訓練場3
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初めて来たギルド訓練場はとても広かった。今僕たちがいるのは第二訓練場で、屋内訓練場は第五まであるそうだ。もちろん屋外にも広いスペースが確保されてるんだって。ちなみに第三から第五は小さな個室タイプの訓練場で、この三部屋だけは予約制で有料なんだそうだ。
「個室の方はどんな時に利用するんですか?」
「思う存分仲間をぶちのめす時だな」
「ええっ!」
「と言うのは冗談で、まあいろいろだ。チームの連携を確認するときとか、新人を受け入れるときとかだな」
リロイさんの冗談は心臓に悪いと思うよ。
ギルドでは剣術講習なんかを定期的に開催してて、そんなときは個室の訓練場を使うんだって。数日間かけて、かなり厳しい訓練を行うそうだよ。冒険者になってから、初めてまともに剣を握ったって人もいるからね。でもって、あまりの厳しさに冒険者を断念する人もいるとか。ちなみにリロイさんは講師を務めることもあるそうだよ。すごいね。
「どんなだ?」
「次の次だ」
「そっちじゃなくて」
「そっちじゃない方は負け。残念だったな」
「げっ! スッカラカンかよ」
リロイさんに案内されて来た場所には、同じチームのウィードさんとクラスティさんが待っていて、ちゃんと僕たちのスペースも確保されてあった。もちろんここにはリロイさんたち以外にも大勢の冒険者たちが集まってるよ。そして中央では、冒険者同士の試合が行われてたんだ。
これは数年前からのギルドの恒例行事で、お祭り期間に冒険者同士の親睦を兼ねて試合をするようになったそうなんだ。学園祭の剣術大会を見て、自分たちもやりたくなっちゃったってカンジなのかな? ついでに言うと、大人同士の試合だから、勝敗は賭けの対象になってるみたいだね。今のリロイさんとクラスティさんの会話で、何となくそう思った。
「次の次の試合にミンツが出る」
「皆さんは出ないんですか?」
「どっちかって言うと、若手の腕試しだからな。ベテランは出場させてもらえないんだ」
そんな決まりがあったとは。でも実際目の前で試合してる人たちは、どちらもまだ若いんだ。もちろん今の僕たちよりは年上だよ。成人したかしないかって年齢じゃないかと思うな。ちなみにこの国の成人年齢は十七歳だ。
「ギルドの試合は、学園のヤツより迫力もあって面白いぞ。なんせ剣だけじゃなく、魔法も普通に出るからな」
リロイさんの言葉に、思わず僕の目が輝いたのは言うまでもない。そんな僕を見ていたマシューは、もちろん苦笑いだ。
冒険者同士の試合は、学園の剣術大会と違って持ってる武器もいろいろだ。一番多いのは剣だけど、他には短槍や短剣、バトルアックスなんてのもあるそうだ。もちろん剣の種類もいろいろだろうね。そしてそして、当然魔法もあるみたい。今は攻撃用の魔道具なんて便利なものがあって、魔力が無い人でも使えるようになってるんだよ。ただし攻撃は決まった方向に、ひとつの魔道具から出せる攻撃は一種類のみだけど。こう言う魔道具は、最近の冒険者ならひとつくらいは所持してるって話だ。実は今日初めて知ったことだけど。
基本的に冒険者は攻撃用の魔道具は持ってるけど、防御用の魔道具は持ってる人が少ないそうで、今回の試合では、出場する人全員にギルドから防御用の魔道具が貸与されてるんだって。使うかどうかは本人次第だ。
僕たちが行うアルバイトは、この防御用の魔道具にセットしてる魔石とかに魔力を籠める仕事だそうだよ。今日中に空の魔石が出るってこのことだったみたい。
「次の試合が始まるな。向かって左側のひょろいヤツは今年冒険者になった新人だ。剣の腕は立つし、しかも土魔法が使える」
「学園卒業者ですか?」
「いいや。別のところで個人的に教えて貰ってたらしい」
「アイツかぁ。剣術講習でクラスティが負けそうになってやんの」
「あっ、テメッ、それは内緒だ!」
ウィードさんのチャチャ入れにクラスティさんの耳が赤くなってたけど、気付かなかったことにしたよ。一応僕って空気が読める子だからね。
それにしても剣も魔法も出来るってスゴイね。彼は、前世のジェラルドさんの様な人なのかもしれないな。試合がすっごく楽しみ。
試合の場所は結界で囲ってあって、審判も結界の外にいるんだ。この場所では二つの試合が行われてるよ。僕たちはそれを囲むように立っていて、僕とマシューは身長の関係から最前列だ。
審判の笛の合図で試合が始まった。名前を知らない彼は、笛と同時に地面に穴を開けてたよ。相手の人はそれに反応できず、そのまま転んで試合終了。受け身を上手くとれなかったらしく、腕を骨折したみたいだ。
「土魔法ってすげぇな。開始の笛が鳴り終わった途端に試合終了かよ」
「嗚呼。でも次の試合では上手く使えないかもな。相手も警戒するだろうし」
「次の相手決まってたか? オレどっちに賭けようかな」
「オレはリロイと反対側に賭るわ。そしたら絶対勝つ」
「うわっ、ひでぇ」
頭上ではリロイさんたちが楽しそうに会話してる。その話から分かったのは、リロイさんは賭け事に向かないってことだね。負けを嗅ぎつけるのが上手いみたい。
「無詠唱だったな」
「そうだね。土魔法の無詠唱はちょっと羨ましいな」
「セインは落とし穴とか好きだもんな」
「その表現はちょっと語弊があるような気がするな。でも戦術的に落とし穴は便利だよ」
僕は土系統の魔法の素質が無いから、陣を使うしか無いんだよね。紙にしろ魔石にしろ、無詠唱より時間がかかるから、咄嗟のタイミングで出すのは難しいんだ。きっと彼は実戦で土魔法を使ってるんだろうな。穴の深さとか大きさとかもちゃんと考えられていて、使い慣れてるってカンジがした。ちなみにそんな彼は、今は魔法で穴を埋めてるところだ。
「セインだったらどうする? 彼が相手で、今のと同様試合開始早々に落とし穴の場合」
「うーん……。そもそも僕の場合、最初は後ろに下がるのが常だからね。風魔法で大きく離れるから、彼の落とし穴は不発に終わると思うな」
「そう言や、セインは一対一のときは最初は下がってたな」
「うん。前々世の頃なんか魔法オンリーだったからね、安全マージンを取ってから攻撃してたよ」
前々世の頃も短剣くらいは持ってたよ。ちなみに。
もし僕が土魔法使いの彼と試合した場合、どうするだろう? 今思いつく案としては、シールドに乗って上に逃げるか、もしくは氷魔法で地面を凍らすかかな。氷で覆った地面に土魔法で穴を開けるのはかなり大変なんだ。だからこれが一番かもしれない。ちょっと魔力を多めに使うけど、僕の魔力量からしたらさほど問題無いし。
これは僕の個人的見解だけど、試合形式の場合、土魔法が一番やっかいだと思うんだ。だって突然地面に穴が開くんだよ。対処できる人は少ないと思う。幸いなことに僕は風魔法が使えるから、転んで骨折なんてことにはならないと思うけど。
そうそう、前々世の僕の師匠は土魔法の達人だったんだ。育ての親でもあったよ。そして僕が小さい頃、たまに師匠の作った落とし穴に落ちてた。当時はまだ師匠がやったってのは知らなくて、落ちた後泣きながら師匠に抱きついてたんだ。それが嬉しくてやらかしてたらしい。成長して真実を知ったときは、思わず師匠に小言を言っちゃったし。
目の前の試合から、全然関係無いことを思い出しちゃったよ。でも懐かしい思い出だ。
※※※(余談)
セインの前々世の師匠(養い親)は、セインが可愛くて堪らないのです。
穴に落ちた後泣きながら縋ってくるセインに、師匠の顔はデレンデレンになってました。
大人になった後は普通に落とし穴を避けられたので、師匠は部屋の隅でいじけてたらしいです。当時のセインが呆れてました。
「個室の方はどんな時に利用するんですか?」
「思う存分仲間をぶちのめす時だな」
「ええっ!」
「と言うのは冗談で、まあいろいろだ。チームの連携を確認するときとか、新人を受け入れるときとかだな」
リロイさんの冗談は心臓に悪いと思うよ。
ギルドでは剣術講習なんかを定期的に開催してて、そんなときは個室の訓練場を使うんだって。数日間かけて、かなり厳しい訓練を行うそうだよ。冒険者になってから、初めてまともに剣を握ったって人もいるからね。でもって、あまりの厳しさに冒険者を断念する人もいるとか。ちなみにリロイさんは講師を務めることもあるそうだよ。すごいね。
「どんなだ?」
「次の次だ」
「そっちじゃなくて」
「そっちじゃない方は負け。残念だったな」
「げっ! スッカラカンかよ」
リロイさんに案内されて来た場所には、同じチームのウィードさんとクラスティさんが待っていて、ちゃんと僕たちのスペースも確保されてあった。もちろんここにはリロイさんたち以外にも大勢の冒険者たちが集まってるよ。そして中央では、冒険者同士の試合が行われてたんだ。
これは数年前からのギルドの恒例行事で、お祭り期間に冒険者同士の親睦を兼ねて試合をするようになったそうなんだ。学園祭の剣術大会を見て、自分たちもやりたくなっちゃったってカンジなのかな? ついでに言うと、大人同士の試合だから、勝敗は賭けの対象になってるみたいだね。今のリロイさんとクラスティさんの会話で、何となくそう思った。
「次の次の試合にミンツが出る」
「皆さんは出ないんですか?」
「どっちかって言うと、若手の腕試しだからな。ベテランは出場させてもらえないんだ」
そんな決まりがあったとは。でも実際目の前で試合してる人たちは、どちらもまだ若いんだ。もちろん今の僕たちよりは年上だよ。成人したかしないかって年齢じゃないかと思うな。ちなみにこの国の成人年齢は十七歳だ。
「ギルドの試合は、学園のヤツより迫力もあって面白いぞ。なんせ剣だけじゃなく、魔法も普通に出るからな」
リロイさんの言葉に、思わず僕の目が輝いたのは言うまでもない。そんな僕を見ていたマシューは、もちろん苦笑いだ。
冒険者同士の試合は、学園の剣術大会と違って持ってる武器もいろいろだ。一番多いのは剣だけど、他には短槍や短剣、バトルアックスなんてのもあるそうだ。もちろん剣の種類もいろいろだろうね。そしてそして、当然魔法もあるみたい。今は攻撃用の魔道具なんて便利なものがあって、魔力が無い人でも使えるようになってるんだよ。ただし攻撃は決まった方向に、ひとつの魔道具から出せる攻撃は一種類のみだけど。こう言う魔道具は、最近の冒険者ならひとつくらいは所持してるって話だ。実は今日初めて知ったことだけど。
基本的に冒険者は攻撃用の魔道具は持ってるけど、防御用の魔道具は持ってる人が少ないそうで、今回の試合では、出場する人全員にギルドから防御用の魔道具が貸与されてるんだって。使うかどうかは本人次第だ。
僕たちが行うアルバイトは、この防御用の魔道具にセットしてる魔石とかに魔力を籠める仕事だそうだよ。今日中に空の魔石が出るってこのことだったみたい。
「次の試合が始まるな。向かって左側のひょろいヤツは今年冒険者になった新人だ。剣の腕は立つし、しかも土魔法が使える」
「学園卒業者ですか?」
「いいや。別のところで個人的に教えて貰ってたらしい」
「アイツかぁ。剣術講習でクラスティが負けそうになってやんの」
「あっ、テメッ、それは内緒だ!」
ウィードさんのチャチャ入れにクラスティさんの耳が赤くなってたけど、気付かなかったことにしたよ。一応僕って空気が読める子だからね。
それにしても剣も魔法も出来るってスゴイね。彼は、前世のジェラルドさんの様な人なのかもしれないな。試合がすっごく楽しみ。
試合の場所は結界で囲ってあって、審判も結界の外にいるんだ。この場所では二つの試合が行われてるよ。僕たちはそれを囲むように立っていて、僕とマシューは身長の関係から最前列だ。
審判の笛の合図で試合が始まった。名前を知らない彼は、笛と同時に地面に穴を開けてたよ。相手の人はそれに反応できず、そのまま転んで試合終了。受け身を上手くとれなかったらしく、腕を骨折したみたいだ。
「土魔法ってすげぇな。開始の笛が鳴り終わった途端に試合終了かよ」
「嗚呼。でも次の試合では上手く使えないかもな。相手も警戒するだろうし」
「次の相手決まってたか? オレどっちに賭けようかな」
「オレはリロイと反対側に賭るわ。そしたら絶対勝つ」
「うわっ、ひでぇ」
頭上ではリロイさんたちが楽しそうに会話してる。その話から分かったのは、リロイさんは賭け事に向かないってことだね。負けを嗅ぎつけるのが上手いみたい。
「無詠唱だったな」
「そうだね。土魔法の無詠唱はちょっと羨ましいな」
「セインは落とし穴とか好きだもんな」
「その表現はちょっと語弊があるような気がするな。でも戦術的に落とし穴は便利だよ」
僕は土系統の魔法の素質が無いから、陣を使うしか無いんだよね。紙にしろ魔石にしろ、無詠唱より時間がかかるから、咄嗟のタイミングで出すのは難しいんだ。きっと彼は実戦で土魔法を使ってるんだろうな。穴の深さとか大きさとかもちゃんと考えられていて、使い慣れてるってカンジがした。ちなみにそんな彼は、今は魔法で穴を埋めてるところだ。
「セインだったらどうする? 彼が相手で、今のと同様試合開始早々に落とし穴の場合」
「うーん……。そもそも僕の場合、最初は後ろに下がるのが常だからね。風魔法で大きく離れるから、彼の落とし穴は不発に終わると思うな」
「そう言や、セインは一対一のときは最初は下がってたな」
「うん。前々世の頃なんか魔法オンリーだったからね、安全マージンを取ってから攻撃してたよ」
前々世の頃も短剣くらいは持ってたよ。ちなみに。
もし僕が土魔法使いの彼と試合した場合、どうするだろう? 今思いつく案としては、シールドに乗って上に逃げるか、もしくは氷魔法で地面を凍らすかかな。氷で覆った地面に土魔法で穴を開けるのはかなり大変なんだ。だからこれが一番かもしれない。ちょっと魔力を多めに使うけど、僕の魔力量からしたらさほど問題無いし。
これは僕の個人的見解だけど、試合形式の場合、土魔法が一番やっかいだと思うんだ。だって突然地面に穴が開くんだよ。対処できる人は少ないと思う。幸いなことに僕は風魔法が使えるから、転んで骨折なんてことにはならないと思うけど。
そうそう、前々世の僕の師匠は土魔法の達人だったんだ。育ての親でもあったよ。そして僕が小さい頃、たまに師匠の作った落とし穴に落ちてた。当時はまだ師匠がやったってのは知らなくて、落ちた後泣きながら師匠に抱きついてたんだ。それが嬉しくてやらかしてたらしい。成長して真実を知ったときは、思わず師匠に小言を言っちゃったし。
目の前の試合から、全然関係無いことを思い出しちゃったよ。でも懐かしい思い出だ。
※※※(余談)
セインの前々世の師匠(養い親)は、セインが可愛くて堪らないのです。
穴に落ちた後泣きながら縋ってくるセインに、師匠の顔はデレンデレンになってました。
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