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MV撮影!
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「わぁ!夢プロの中に、こんなとこあるんだ!」
目を輝かせた克樹が真っ先に走り出す。
「かっちゃんってば、待ってよ!」
「いっくぅーん!早く早くー!」
「seasons」一行は夢プロの敷地内にある広場に来ていた。
そこには簡易的だがステージと照明がある。
真城の提案からMVはそこで撮ることになった。
パフォーマーの全員が今日は作ったばかりの衣装を着ている。
みんな、スタイルがいいのでとてもカッコいい。パンツにはそれぞれのイメージカラーが映えている。
風がこだわって作ったものだ。
今は早朝。撮影は半日がかりになりそうだ。気温が上がる前になるべく早く終わらせたい。
日本の夏の暑さは年々厳しくなってきている。
「じゃ、とっとと撮影始めるからね」
真城がパンパンと手を叩く。
「樹P、司令よろしくね!」
「はい!」
真城がこちらに向かって手をひらひら振っている。彼は今日カメラマンをやってくれる。
風がメイクや衣装の調整、その他雑務などをしてくれるそうだ。他にも手伝いとして、マネジメント科の生徒が数名来てくれている。
そして今日の樹はプロデューサーとして動かなければならない。
ここまで皆で頑張ってきた。
その成果を見せる時が来たのだ。
樹は皆の前で言った。
「皆さん、今日はよろしくお願いします。
一生懸命頑張ります」
ぱちぱちと拍手が起きる。
樹はステージがよく見える場所に立った。
まずは通しで一曲踊ってみることになっている。今時のMVはドローンを使用したりCG加工をしたりと映像に凝ったものが多いが、予算の関係上それは難しい。
シンプルにフルコーラスで踊り、その他で一人ひとりの歌唱シーンを撮り、編集で繋げる形になりそうだ。
カメラの準備が整ったようだ。
マイク音声、その他諸々も準備が完了している。
「ではいきます!」
曲が流れ始める。
パフォーマーの4人は今までの練習を遥かに超えるパフォーマンスをしてくれた。
やはりカメラの前では本気度も変わるのだろう。
「OK!」
樹は映像を確認するため、真城のそばに向かった。真城は樹のために映像を用意してくれている。
「うん、皆ダンスキレキレだったね!」
「わぁ、カッコいい!」
樹は映像を観ながら感激していた。自分がこうしてアイドルと関われるだけでもすごいのに、作り上げる側にいる。ずっと願っていたことなのに、まだまだという気持ちも湧いてくる。
もっと経験を積みたい。色々なことに挑戦したいと思う。
「いっくーん、どう?」
克樹はペットボトルの水を飲んでいる。
水分補給は欠かさずするように、樹は関わる者全員に厳しく伝えていた。
「うん、皆よかった。
次はサビの歌唱シーンを撮るね」
「俺、ダンスの練習頑張ったよ!後でご褒美頂戴ね!」
克樹がウインクしてくる。
克樹のことだから、お菓子やジュースだろうと思い、樹は気にせず頷いていた。
撮影は無事に完了した。
あとは編集作業だけだ。
これは樹自身がすることになった。
夏休みも、もう半ばだ。
課題も皆とやったおかげで大分片付いて来ている。
「おし、じゃああとは樹に任せるわ。
真城と俺が援護する。
何かあったらすぐ言えよ?」
「はい!」
「MVの完成、楽しみにしている」
楓に肩を叩かれた。
この動画は色々な人が関わって作られた、大事なものだ。
樹はデータの入ったSDカードを優しく撫でた。
目を輝かせた克樹が真っ先に走り出す。
「かっちゃんってば、待ってよ!」
「いっくぅーん!早く早くー!」
「seasons」一行は夢プロの敷地内にある広場に来ていた。
そこには簡易的だがステージと照明がある。
真城の提案からMVはそこで撮ることになった。
パフォーマーの全員が今日は作ったばかりの衣装を着ている。
みんな、スタイルがいいのでとてもカッコいい。パンツにはそれぞれのイメージカラーが映えている。
風がこだわって作ったものだ。
今は早朝。撮影は半日がかりになりそうだ。気温が上がる前になるべく早く終わらせたい。
日本の夏の暑さは年々厳しくなってきている。
「じゃ、とっとと撮影始めるからね」
真城がパンパンと手を叩く。
「樹P、司令よろしくね!」
「はい!」
真城がこちらに向かって手をひらひら振っている。彼は今日カメラマンをやってくれる。
風がメイクや衣装の調整、その他雑務などをしてくれるそうだ。他にも手伝いとして、マネジメント科の生徒が数名来てくれている。
そして今日の樹はプロデューサーとして動かなければならない。
ここまで皆で頑張ってきた。
その成果を見せる時が来たのだ。
樹は皆の前で言った。
「皆さん、今日はよろしくお願いします。
一生懸命頑張ります」
ぱちぱちと拍手が起きる。
樹はステージがよく見える場所に立った。
まずは通しで一曲踊ってみることになっている。今時のMVはドローンを使用したりCG加工をしたりと映像に凝ったものが多いが、予算の関係上それは難しい。
シンプルにフルコーラスで踊り、その他で一人ひとりの歌唱シーンを撮り、編集で繋げる形になりそうだ。
カメラの準備が整ったようだ。
マイク音声、その他諸々も準備が完了している。
「ではいきます!」
曲が流れ始める。
パフォーマーの4人は今までの練習を遥かに超えるパフォーマンスをしてくれた。
やはりカメラの前では本気度も変わるのだろう。
「OK!」
樹は映像を確認するため、真城のそばに向かった。真城は樹のために映像を用意してくれている。
「うん、皆ダンスキレキレだったね!」
「わぁ、カッコいい!」
樹は映像を観ながら感激していた。自分がこうしてアイドルと関われるだけでもすごいのに、作り上げる側にいる。ずっと願っていたことなのに、まだまだという気持ちも湧いてくる。
もっと経験を積みたい。色々なことに挑戦したいと思う。
「いっくーん、どう?」
克樹はペットボトルの水を飲んでいる。
水分補給は欠かさずするように、樹は関わる者全員に厳しく伝えていた。
「うん、皆よかった。
次はサビの歌唱シーンを撮るね」
「俺、ダンスの練習頑張ったよ!後でご褒美頂戴ね!」
克樹がウインクしてくる。
克樹のことだから、お菓子やジュースだろうと思い、樹は気にせず頷いていた。
撮影は無事に完了した。
あとは編集作業だけだ。
これは樹自身がすることになった。
夏休みも、もう半ばだ。
課題も皆とやったおかげで大分片付いて来ている。
「おし、じゃああとは樹に任せるわ。
真城と俺が援護する。
何かあったらすぐ言えよ?」
「はい!」
「MVの完成、楽しみにしている」
楓に肩を叩かれた。
この動画は色々な人が関わって作られた、大事なものだ。
樹はデータの入ったSDカードを優しく撫でた。
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