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お誘い
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次の日、樹は三年生の教室があるフロアにいた。
三年生とはあまり接点がないので困っていると、向こうから渚がやってくるのが見えた。
「樹くん」
渚に駆け寄ると彼も気が付いたらしい。
笑ってくれた。
「あ、あの渚先輩。昨日はすみませんでした」
ぺこっと頭を下げると、渚が笑う。
「そんなに気にしないで。
君を誘いたくてたまたま部屋に行っただけなんだ」
樹が首を傾げると、渚が何かを懐から取り出す。
「これ、今度の日曜にやる演奏会のチケットなんだ。一緒にどうかな?」
「わ、わぁ。この楽団すごく人気ですよね!
でも俺でいいんですか?」
「君だから誘ってる」
そんな言葉が嬉しい。
「あの、ドレスコードとかやっぱりあるんですよね?」
あぁ、と渚は頷いた。
「大丈夫。僕のお下がりで良ければ貸すよ。
オーディション受けるんだよね?
少しでもヒントになればって」
「ありがとうございます」
予鈴のチャイムが鳴っている。
樹は再び渚に頭を下げて、教室に戻った。
(渚先輩に何かお礼しなくちゃ)
だがどうやってお礼をすればいいのか分からない。
(お菓子とかがいいかなぁ?でも…)
渚が甘いものを好きかどうかも知らないのだ。樹は困ってしまった。
午後の授業が終わり、談話室に行くと健悟がいた。今日ここでオーディションについて話し合うことになっている。
「樹、来たか。これからミーティングやるぞ」
克樹や風もやってきた。
楓、真城の姿もある。
「で、オーディションって何すんのー?」
真城が眠たそうに言う。
「オーディションの一次審査はMVを作ることらしい。
真城、お前カメラマンやれ」
「え、いいけどさ」
真城の言葉に健悟が頷く。
「衣装は風の案で行く。
時間もあんまりねえし、すぐ作れそうだからな。
樹、お前はもちろん俺達の様子を全体的に見て動かせよ?」
「は!はい!」
プロデューサーのあり方で一つのユニットの方向性が変わってしまう。
気を付けなければいけないと樹は拳を握った。
「パフォーマーって櫻木先輩と秋月先輩と俺の三人だけ?」
「いや、もう一人呼んでる。
疾風来いよ」
「え、疾風も?やった!」
克樹が嬉しそうに笑う。
早速やって来た疾風の肩に腕を回している。
彼は長い艶のある髪を後ろで束ねていた。
「いっくん!紹介遅くなったけど、俺のルームメイトの坂下疾風だよ!」
「お前は自分の部屋より樹殿の部屋にいる方が長いではないか」
疾風がムスッとしながら言う。
樹は彼を見た事があった。というより、同じクラスである。
今まで話したことすらなかった。
なんとなく怖そうだなと思って、敬遠していたためだ。
だが、克樹とやり合っている彼になんだか親近感を覚える。
「疾風くん、よろしくね」
「疾風でいい。こちらこそよろしく頼む」
「うん、よろしく。疾風」
「というわけでメンバーはこんな感じだ。
で、プロデューサー様、あとは任せるぜ?」
健悟の言葉に樹は驚いた。
だが、やるしかない。
「えーと、じゃあユニットの名前を…」
「ああ。大事だな」
それから自習学習の時間まで話し合いは続いた。
三年生とはあまり接点がないので困っていると、向こうから渚がやってくるのが見えた。
「樹くん」
渚に駆け寄ると彼も気が付いたらしい。
笑ってくれた。
「あ、あの渚先輩。昨日はすみませんでした」
ぺこっと頭を下げると、渚が笑う。
「そんなに気にしないで。
君を誘いたくてたまたま部屋に行っただけなんだ」
樹が首を傾げると、渚が何かを懐から取り出す。
「これ、今度の日曜にやる演奏会のチケットなんだ。一緒にどうかな?」
「わ、わぁ。この楽団すごく人気ですよね!
でも俺でいいんですか?」
「君だから誘ってる」
そんな言葉が嬉しい。
「あの、ドレスコードとかやっぱりあるんですよね?」
あぁ、と渚は頷いた。
「大丈夫。僕のお下がりで良ければ貸すよ。
オーディション受けるんだよね?
少しでもヒントになればって」
「ありがとうございます」
予鈴のチャイムが鳴っている。
樹は再び渚に頭を下げて、教室に戻った。
(渚先輩に何かお礼しなくちゃ)
だがどうやってお礼をすればいいのか分からない。
(お菓子とかがいいかなぁ?でも…)
渚が甘いものを好きかどうかも知らないのだ。樹は困ってしまった。
午後の授業が終わり、談話室に行くと健悟がいた。今日ここでオーディションについて話し合うことになっている。
「樹、来たか。これからミーティングやるぞ」
克樹や風もやってきた。
楓、真城の姿もある。
「で、オーディションって何すんのー?」
真城が眠たそうに言う。
「オーディションの一次審査はMVを作ることらしい。
真城、お前カメラマンやれ」
「え、いいけどさ」
真城の言葉に健悟が頷く。
「衣装は風の案で行く。
時間もあんまりねえし、すぐ作れそうだからな。
樹、お前はもちろん俺達の様子を全体的に見て動かせよ?」
「は!はい!」
プロデューサーのあり方で一つのユニットの方向性が変わってしまう。
気を付けなければいけないと樹は拳を握った。
「パフォーマーって櫻木先輩と秋月先輩と俺の三人だけ?」
「いや、もう一人呼んでる。
疾風来いよ」
「え、疾風も?やった!」
克樹が嬉しそうに笑う。
早速やって来た疾風の肩に腕を回している。
彼は長い艶のある髪を後ろで束ねていた。
「いっくん!紹介遅くなったけど、俺のルームメイトの坂下疾風だよ!」
「お前は自分の部屋より樹殿の部屋にいる方が長いではないか」
疾風がムスッとしながら言う。
樹は彼を見た事があった。というより、同じクラスである。
今まで話したことすらなかった。
なんとなく怖そうだなと思って、敬遠していたためだ。
だが、克樹とやり合っている彼になんだか親近感を覚える。
「疾風くん、よろしくね」
「疾風でいい。こちらこそよろしく頼む」
「うん、よろしく。疾風」
「というわけでメンバーはこんな感じだ。
で、プロデューサー様、あとは任せるぜ?」
健悟の言葉に樹は驚いた。
だが、やるしかない。
「えーと、じゃあユニットの名前を…」
「ああ。大事だな」
それから自習学習の時間まで話し合いは続いた。
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