壁越しの饗宴

おもちDX

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幸いにも道具は揃っている。おれは歩を迎え入れるため、ディルドでの拡張に余念がなかったのだ。
あえて声を聞かせた初日に、歩がおれを訪ねてきたのには焦ったけど……作戦は功を奏していた。

歩がおれの声を聞いて自慰に励むのを、モニター越しに見つめる。
引っ越してくる前、部屋に小型カメラを設置したのだ。さすがに罪悪感があってあえて低性能なものにしたから、ぼやぼやとシルエットくらいしかわからない。

でも……歩がおれに興奮してくれているとわかって嬉しかった。おれが誰なのか、全然気づいていないのはムカつくけど。

久しぶりに直接見た歩は、いかにも疲れたサラリーマンという感じだった。スーツ姿はかっこいいけど。体格は悪くないのに、なんかヨレっとしている。モテると心配だからちょっと安心してしまった。

実は、もう攻めあぐねていた。歩のSNSにゲイ向けの広告が表示されるように調整してみたけど、そんなの気休めだ。

歩の元へ地元の同窓会の知らせが届いたのをきっかけに、おれは行動に出た。同窓会に歩を行かせるなんて、ハイエナの巣に餌を投げ込むのと同義だ。
学生時代の歩はキラキラしてて憧れていた人も多いはずだから、年を取って取っつきやすくなったサラリーマンなんてすぐに掻っ攫われてしまうだろう。



歩が寝静まった夜中、隣の部屋に忍び込む。ピッキングの道具も用意してあったけど、ベランダの鍵をかけない人でよかった。

ベッドサイドのランプをつけると、歩は上半身裸ですぅすぅと寝息を立てていた。その顔はどことなくあどけない。こうして見ると、おれと同年代の男ともそう変わらなく思える。
かっこいいなぁ。やっぱり歩はおれの王子様だ。

部屋は荷物が少なく、生活感は感じられるものの整然としている。安アパートに住んでいるわりに、置いてある家電や家具はいいものに見えた。サイドランプもスタイリッシュな形をしていて高そうだ。

目線をベッドへ戻し、服を脱いで、ベビードールだけの姿になる。水色のベビードールは、歩のためにずっと前から用意していたものだ。お姫様に見えるかな?
布団を剥ぎ、歩の大事な部分を撫でる。ささいな刺激でも、すぐ半勃ちになってくれたから嬉しくなった。

下着ごと服を下ろして性器を露出させると、ちょっと浅黒くて重そうなペニスがまみえた。これが、歩の……
他人の性器なんて触るのは初めてだけれど、同じ男だから良いところはだいたい分かる。そっと手を添えて、徐々に力を入れながら擦り上げればすぐに大きく成長した。

「や……やめ……んんっ…………」

歩は夢でも見ているのか、抵抗するようなことを言いながらも気持ちよさそうだ。勃起したことで思ったよりも太く大きくなった屹立に、おれも興奮してきた。口内に唾液が溜まってくる。

「はあっ」

無意識に顔を近づけ、勢いのままつるりとした先端を口に含んだ。

「うわ!!!」
「はれ、やっとおひた?」

さすがに目覚めたらしい。歩は顔を上げ、目を丸くしておれを見ている。

おれは萎えられるのを危惧して、そのあいだも口と舌で直接的な刺激を与え続けた。
頑張っても半分ほどしか入らない陰茎は口の中のほとんどを占めてしまって苦しいし、熱くて、硬い。でもその感覚に興奮はすれど、嫌悪感は全くなかった。

「はぁっ?なんで……あっ、ちょっと!やめろ!」

カリの段差に舌を這わせ、これがおれの中を擦ったら……なんて思わず想像する。準備してきた尻の中がきゅんと疼いた。
歩もなんだかんだ抵抗が弱くて、これ幸いと両手も駆使して猛攻を仕掛けた。頭と手を連動して上下させれば、すぐにイきそうになってくれる。

そこで動きを止める。歩の顔を見上げると、性欲に支配された、情欲に濡れた瞳と目が合った。
あぁ、いまはおれのことしか見えていない。そのことが幸せで、思わずにこにこと笑ってしまう。

おれは起き上がって、ディルドで練習したように歩の猛りにコンドームをつけた。腰を上げる。受け入れる蕾は、もう期待でひくひくとしているのが自分でもわかった。

歩がおれの身体をじっくりと見ようとするから、視界を覆い隠すようにキスをした。この夢みたいな時間に、男が相手だと実感してガッカリされたくない。

はじめてのキスは、フェラをするときなんかよりもよっぽど緊張した。歩の唇に触れただけで、自然と勃っていた自分のペニスに先走りがにじむ。
キスをされたことでちょっと間抜けな顔をしている歩に愛おしさを感じて、おれは名前を呼びながら腰を落としていった。

「あゆ……」
「わっ」
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