嵐は突然やってくる

白うさぎ

文字の大きさ
上 下
123 / 243
第四章 また一緒に。

しおりを挟む
「京都の旅館にお泊り!!?行く!!!」
「百々ちゃん落ち着いて」
百々の興奮振りに直人さんが落ち着かせる。
「廉ちゃんは?嫌じゃない?主役が嫌ならいく意味ないからね」
「・・・・どっちでもいい・・・」
「どっちでもいいじゃなくてどっち?」
こういうとき母親は俺の意思確認鋭くしてくるんだよね。
でも、百々が行きたいみたいだし、旅館なら確かに人とはあまり会わなくてもおいしいもの出てくるよね。
「ぃく・・・。」
「うん、わかったわ。じゃぁ決定ね!」
「廉くん、ゆっくり楽しもうね。」
そう言って翔さんが頭を撫でてきた。
一瞬ビクッとしたが悪意もないし受け入れる。
「さぁ、せっかくおいしいごはんなんだから早く食べちゃいなさい」
百々はお寿司にルンルン、旅行にルンルンでそわそわしながらどんどん食べていく。
「廉くん。たまごとかっぱ巻き好きでしょ?」
そう言って直人さんが小皿に乗せてくれて俺の前に置いてくれた。
「ポトフもちゃんと食べてね?」
「・・・ぅん」
ポトフは嫌いじゃない。でも、最初に食べるとお腹いっぱいになる。
でも、でも、お寿司食べてもお腹いっぱいになる。
どうしたらいいのだろう・・・。
前なら両方たくさん食べれたのにな・・・。
少し暗い気持ちになる。
俯いているとムシャムシャ口にお寿司を含んだまま鼻歌を歌い俺のポトフの器を持ったかと思ったら、デザート用のココットを持ってきてそれに入ってるものを移して、残りは自分の減っているポトフに足して元の食器をキッチンへ下げた。
そして、俺の前にココットに入ったポトフを置いてすぐに自分の席に戻った。
両親と翔さんはそれを見ないようにして会話を続けている。
量の減ったポトフ。
これくらいならきっと食べれる・・・。百々って昔から不思議と俺の困りごとや悩みを当ててくるんだよな。
減ったポトフを口に運ぶ。
優しい野菜とコンソメの味がした。お寿司もぱくりと食べる。たまご3つにかっぱ巻き二つ。
「そういえば廉ちゃん、oliveに行ったんでしょ?」
「あ、廉くんモデルはしばらくお休みになって。その代わりお家でお手伝いをしてもらうことになりました。だから、また一緒に頑張るんだよね?」
「・・・ぅん」
下を向いてモグモグしながら相槌を打つ。
そんな俺を見て翔さんが微笑む。
「そう」
母親もニコリと微笑みながら俺を見ていたようだ。
視線をあげると目線が合う。
「廉ちゃん、20歳の誕生日は盛大に祝おうね。」
「・・・・」
普通でいいよ、母親の盛大は怖いよ。
と思いながら食事を続けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

「今日でやめます」

悠里
ライト文芸
ウエブデザイン会社勤務。二十七才。 ある日突然届いた、祖母からのメッセージは。 「もうすぐ死ぬみたい」 ――――幼い頃に過ごした田舎に、戻ることを決めた。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

『 ゆりかご 』 

設樂理沙
ライト文芸
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

ご飯を食べて異世界に行こう

compo
ライト文芸
会社が潰れた… 僅かばかりの退職金を貰ったけど、独身寮を追い出される事になった僕は、貯金と失業手当を片手に新たな旅に出る事にしよう。 僕には生まれつき、物理的にあり得ない異能を身につけている。 異能を持って、旅する先は…。 「異世界」じゃないよ。 日本だよ。日本には変わりないよ。

処理中です...