嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第五章 ハタチ

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あれからトレーニングを2日で終わる予定だったが1日プラスでトレーニングしてもらって、おじいちゃん先生に日ごろやるといいというトレーニングを教えてもらい自宅トレーニングで体力回復を目指して頑張った。

そして20歳の前日。
俺がというよりは百々が楽しみにしていた京都旅館への旅行の日。
「廉ちゃん、体調は?」
「・・・・だいじょうぶ」
「廉くん、パーカーにしようね今日。人目が気になるならパーカーの方がフードもあるしね。」
「うん・・・。」
19歳最後の日にも俺はみんなにちびっこ扱いで世話をやかれている。
トレーニングが終わったので、約束通り今は一人の自分の部屋で寝ているのだけれど、親と寝るのに慣れてしまいぬいぐるみのピーターに依存している現状。
慣れというものは恐ろしい。というか19歳なのに親に依存してんだと自分で飽きれてしまう。
「ママ~!廉ちゃんのもの準備終わってる?」
「もちろん!廉ちゃんピーター手に持ってるけど持っていきたいの?」
あ・・・つい・・・。慌てて首を振る。
「ピーターかさばるからね」
「廉くん、今日は車で行くから持っていきたいなら持っていけるよ?」
「あら、新幹線辞めたの?知らなかったわ。」
「お土産とか考えたら車の方が楽だし、旅館までタクシーでってなんだかめんどくさくなってね。」
「そうなの?」
「翔と交代で運転するから安心して。」
「お願いね。」
直人さんの車、そういえば2台あるんだっけ。
今はやりの大型ワゴン車。あんまり乗ってるの見たことないけど、よく乗ってるのは外車だから。
「翔、どんどん荷物積んでって。」
「うん。廉くん、ピーター持っていくなら乗せるよ?」
「・・・・」
黙ってピーターを差し出すと笑顔で持っていってくれた。
ピーターも卒業しなくちゃなと思いつつも、あの肌触りもやみつきの理由なんだけね、と言い訳をする。

朝7時、全員車に乗って準備が完了した。
「じゃぁちょっと長いから皆眠たくなったら寝てね」
直人さんはお茶を飲みながら出発した。
2時間たってパーキングエリアに到着してトイレに降りる。
「廉ちゃん、帽子かぶったら?」
母親に言われてキャップを深めにかぶり直人さんの後ろに隠れながらパーキングエリアの中へ向かう。
普段なら隠れて歩かないけど、周りの人は旅行でテンション上がっていて大声で話したりしていて、なんだか怖くて。
「廉くん、翔、トイレ行っておきなさい。」
「百々ちゃんも行くよ~」
「はぁい。つかれたぁ~。外寒いね!」
「そりゃ12月だもの」
百々が母親と腕を組んで歩くのを後ろから見守る。
「廉くん酔ってない?」
直人さんに聞かれて頷く。
「じゃぁあのイカ焼き後で食べようか」
「おぉ懐かしい!!空も好きだったやつだ」
空くんって翔さんの弟か。きっと3人でいろんなところに行ってたんだろうな。
俺と百々はあまりそういう家族旅行の記憶はない。
祖父母の家に長期休暇は行くくらいだった。
空くんの話、いつかちゃんとしてくれるかな。どういう子だったとか聞いてみたいな。
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