嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第三章 二人の距離

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『すみません、お兄さん救護室へ後程お越しください。』
診察をしながら翔さんが「わかりました。」と返事をして百々と一緒にスタッフさんの誘導に従いついていった。
「廉ちゃん、呼吸大丈夫?吐く方を意識したほうが楽になるかも。大丈夫だからね。」
「ハァハァ・・・」
ずっと呼吸は収まらない。

しばらく歩き救護室についた。
『こんにちは。お姉さんすみません、この方は何か持病はありますか?』
「持病というか、トラウマによるパニックが・・・。あと、父と母が医者と看護師でもうすぐここに来ると思うので大丈夫かと・・・」
『なら安心ですね。そこのベッドで休んでてください』
そう言ってニコリと笑って対応された。
すぐに違うスタッフが来て『これお顔拭くのに使ってください。』と言って、濡れたタオルをくれた。
「廉ちゃん拭いちゃうね!」
ジュースで汚れた顔がすっきりした。
「びっくりしたね!ごめんねすぐ気づかなくて」
「ハァハァ・・・っ・・・」
「ママたちもうすぐ着くって!」
「・・・・っ」

5分もしないうちに直人さんと母親が走ってきた。
「廉くん、だいぶんもう落ち着いたかな?」
「外に出るとだめそうね・・・」
「翔は?」
「ぶつかった子の親がモンペでさ、その子が胸のとこが痛いっていうからその場で診察中。」
「謝ってくれてないってことね。最近の親は子供だからね。根性たたき直してやりたいわ。」
「百合さん、落ち着いて」
直人さんが笑っているがうちの母親結構強いんだよね・・・。
「廉くん痛いところある?どこにぶつかった?」
「・・・・っ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「ちょっと翔君に聞いた方がいいわね。」
「百々ちゃん一人で周れるなら回ってきてもいいのよ?せっかく来たんだし。」
「ここにいる!!廉ちゃんも一緒じゃなきゃヤダ!」
「廉くんはちょっとこれ以上は周るの厳しいかもしれないから、翔と周っておいで。」
「・・・・。」
沈黙が続き、翔さんが到着した。

「スタッフの人が対応変わってくれたよ。とりあえず診察したけどただの打ち身だね。自業自得だよ。」
「翔、父さんたち何も状況がわからないんだ。説明してくれる?」
「ジュース持った子が走り回ってて、廉くんに正面から突っ込んできたんだよ。痛いって声出てたからたぶんお腹痛いんじゃないかな?ジュースは紙コップだからそんなに衝撃はなかったと思う。」
「百々ちゃん?翔君と廉ちゃんのお着替え買ってきてくれない?」
「うん・・・。」
「ごめんね、翔君お願いしてもいいかしら。ついでにもうお土産かっておいで。」
「あ、百々ちゃん病院のみんなにもほしいから何か適当に100個くらいになるように買ってきてくれるかな?お金は翔に言えばいいから。」
「だと思った。」
翔さんは笑いながら百々に「行くよ。」と声をかけた。

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