嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第三章 二人の距離

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夢を見た。
まだ翔さんと口を聞いてた時の夢。
なんの会話があるわけでもなく、ただそばにいて仕事をして、百々と一緒に3人でご飯食べて映画見て一緒に寝ている夢。
でも、3人で寝てしばらくすると翔さんに起こされ手を引かれお風呂場に連れて行かれた。
そして、本当の親父がしたのと同じように頭を掴まれ湯船に沈められた。
こわい!!さっきまでのほほんとしてたのに!!
「廉くーん?一回起きようか。」
「・・・」
あ、夢だったんだ。
異様に喉が渇き汗だくになっていた。
「着替えたほうがいいね。今、夜中の3時だから、まだたくさん寝れるからね」
「・・・」
汗だくのパジャマを脱いで、予備のパジャマを着る。
スポーツ飲料を直人さんがコップに入れてストローを刺して渡してくれた。
けど手が震える。
「僕が持ってもいいかな?」
小さく頷いた。
持ってもらってどんどん飲んでいく。
「よし、これでやめとこうね?ゲーになるかもしれないから。」
コップいっぱい飲んだらおしまいになり、テーブルにコップを置いた直人さんが、いきなり抱きしめてきた。
「怖かったね。ごめんね。あいつのせいで。」
翔さんの名前を出さないのはパニックのきっかけを避けるためだろう。
抱きしめられたまま、ヨシヨシと背中を撫でられた。
次第に眠たくなり目を瞑った。


起きたら母親がそばにいた。
「起きた?直人さんから来てほしいって連絡が入ったのよ。」
「・・・」
「今は朝の6時前ね。百々ちゃんもいるわよ。」
目線を椅子に向けたら、百々が寝ていた。
なんだか深夜に呼び出したみたいで申し訳なくなった。
「百々ちゃん、何かを察知したのか昨日私と寝てたの。だから病院行ってくるねって起こして伝えたら行くって聞かなくって。」
事前にわかっていれば直人さんが別の部屋から予備ベッドを運んできてるのだが、突然だったからソファ椅子なんだろうな。
母親には伝わると思って、窓側に寄る。
「百々ちゃん寝かせてもいいの?」
小さく頷いた。
「ありがとう、廉ちゃんはやっぱり優しいわね。百々ちゃん?廉ちゃんが一緒に寝ていいって。」
「ぅん・・・ありがと・・・」
寝ぼけたままベッドに昇り布団にすっぽり入った。
「なんだか小さい頃みたいね」
二人そろって仰向けにくっついて寝るのは確かに小さい頃よくしていたかも・・・。
「廉ちゃん、水族館はもう少し後にしようね。やっぱりトラウマを引き起こしちゃいそうだから。その代わり遊園地に行く?」
「・・・・」
たぶんあのネズミのとこだよね。まぁいいけど・・・。
「百々ちゃんが最近行きたいってずっと言ってるし。」
百々の年だと行きたい年齢だよな・・・。
「明後日みんな休みとれそうだし、明後日に行こうか。廉ちゃんも気分転換しなくちゃね!」
あ~我が家恒例母親の思い付きで日程が決まる奴・・・。
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