92 / 296
第三章 二人の距離
・
しおりを挟む
翔は一人、直人に言われた通り空の墓参りにやってきた。
「・・・・」
綺麗な空の墓石にそっと触れる。
定期的に来ているお墓は新品同様の輝きを放っていた。
「空・・・また俺やっちゃった・・・。ハァ・・・」
鳥が鳴く声が墓地に響き渡る。
しばらく空のお墓の前で落ち込んでいると、隣の墓を参りに来た老夫婦に声をかけられた。
「お兄ちゃん大丈夫かい?」
「体調悪い?」
「・・・あ、いえ・・・。」
「若いのにきちんと墓参りするなんて偉いねぇ~」
「うちの孫はいっそこないよ」
そう言って笑う老夫婦。
「お兄ちゃんは墓に語りに来たのかな?」
「まぁ・・・そんなとこです。」
「そうか。お兄ちゃん今日の夜の天気がここで眠る人の君への答えだよ。」
「え・・・?」
「君が今夜の天気にどう思うかだ。まぁ、わしはこういっちゃなんだが少し霊感がある。だからお兄ちゃんが誰に会いに来たかはなんとなくわかるよ。見えるからね」
「あなたまたそんな話して~」
「かわいらしい顔の少年だね。」
そう言われて、号泣し始めた俺の背中をなでてくれる奥さん。
「でも少し・・・・まぁ今日の天気を見て君が感じるべきだな。」
「あの・・・また会えますか・・・あなたと。」
「わしとか?」
「はい・・・」
「なら、毎月5のつく日に私たちはここにきているから。」
「5のつく日。」
「そう。5のつく日。」
「わかりました・・・。」
空の好きなカラフルな花を供えて、その場を後にした。
その日の夜天気は―嵐だった。
あんなに昼は晴れていたというのに・・・。
20時から突然大雨となり雷までなり始め秋の嵐となっていた。
「空は・・・怒っているのか。俺を。」
久々に帰宅した自室のベッドで横になりながら窓の外へ視線をやる。
「空、ごめんな。こんな兄貴で。廉くんも百々ちゃんもごめん・・・。」
「謝るんならあんなこと廉ちゃんにしないでよ!!」
「百々ちゃん・・・。」
「ママから聞いた。廉ちゃんが大きいパニック起こしたって。せっかく百々が前は仲直りさせてあげたのに、また振出しどころかマイナスにしたのは翔さんだから。百々はもう助けないからね。廉ちゃんが一番大事だし。」
「ごめん・・・。」
「正直廉ちゃんには今の家庭環境は虐待を思い出させる最悪な環境だと思ってる。変わってくれないと本当に困るんだよね。」
「わかってる・・・。」
「わかってない。翔さんは今わかってるって言えばなんとかなると思ってる。そうじゃない。根本的にどう変わらなければならないかを考えて。じゃないと人は同じ過ちを繰り返すんだから。」
「・・・はい」
「じゃ、おやすみなさい」
百々は言いたいことだけ言って自室へ戻っていった。
「・・・・」
綺麗な空の墓石にそっと触れる。
定期的に来ているお墓は新品同様の輝きを放っていた。
「空・・・また俺やっちゃった・・・。ハァ・・・」
鳥が鳴く声が墓地に響き渡る。
しばらく空のお墓の前で落ち込んでいると、隣の墓を参りに来た老夫婦に声をかけられた。
「お兄ちゃん大丈夫かい?」
「体調悪い?」
「・・・あ、いえ・・・。」
「若いのにきちんと墓参りするなんて偉いねぇ~」
「うちの孫はいっそこないよ」
そう言って笑う老夫婦。
「お兄ちゃんは墓に語りに来たのかな?」
「まぁ・・・そんなとこです。」
「そうか。お兄ちゃん今日の夜の天気がここで眠る人の君への答えだよ。」
「え・・・?」
「君が今夜の天気にどう思うかだ。まぁ、わしはこういっちゃなんだが少し霊感がある。だからお兄ちゃんが誰に会いに来たかはなんとなくわかるよ。見えるからね」
「あなたまたそんな話して~」
「かわいらしい顔の少年だね。」
そう言われて、号泣し始めた俺の背中をなでてくれる奥さん。
「でも少し・・・・まぁ今日の天気を見て君が感じるべきだな。」
「あの・・・また会えますか・・・あなたと。」
「わしとか?」
「はい・・・」
「なら、毎月5のつく日に私たちはここにきているから。」
「5のつく日。」
「そう。5のつく日。」
「わかりました・・・。」
空の好きなカラフルな花を供えて、その場を後にした。
その日の夜天気は―嵐だった。
あんなに昼は晴れていたというのに・・・。
20時から突然大雨となり雷までなり始め秋の嵐となっていた。
「空は・・・怒っているのか。俺を。」
久々に帰宅した自室のベッドで横になりながら窓の外へ視線をやる。
「空、ごめんな。こんな兄貴で。廉くんも百々ちゃんもごめん・・・。」
「謝るんならあんなこと廉ちゃんにしないでよ!!」
「百々ちゃん・・・。」
「ママから聞いた。廉ちゃんが大きいパニック起こしたって。せっかく百々が前は仲直りさせてあげたのに、また振出しどころかマイナスにしたのは翔さんだから。百々はもう助けないからね。廉ちゃんが一番大事だし。」
「ごめん・・・。」
「正直廉ちゃんには今の家庭環境は虐待を思い出させる最悪な環境だと思ってる。変わってくれないと本当に困るんだよね。」
「わかってる・・・。」
「わかってない。翔さんは今わかってるって言えばなんとかなると思ってる。そうじゃない。根本的にどう変わらなければならないかを考えて。じゃないと人は同じ過ちを繰り返すんだから。」
「・・・はい」
「じゃ、おやすみなさい」
百々は言いたいことだけ言って自室へ戻っていった。
11
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる