嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第三章 二人の距離

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翔さんとの面会当日。

「廉ちゃん、大丈夫だからね?ママと直人さんいるから。」
「翔はトイレのとこまでしか来ないからね。」
入口の流しの横にトイレがあるんだけど、今回はそこまでしか入らないって約束での面会になるらしい。
じゃないと俺がパニックになった時逃げ場がなくなりさらに混乱してしまうからとのことだ。
まぁそうなると思うよ、トイレまででも。
そして10時になった。

トントントンー

少しでも緊張が和らぐように音楽をかけてくれたのだが、それが聞こえなくなっているくらい俺にはノックの音が大きく聞こえた。
「失礼します。」
「おはよ、翔君」
「おはよう、翔」
「おはよ・・・。」
俺は窓の外を向いて何とか気を散らす。
「トイレの側のイスまで入って大丈夫よ。」
「うん」
少しの間、誰もしゃべらない時間になった。
「廉ちゃんね、最近はヨーグルト少し食べれるようになったのよね!」
「ヨーグルト・・・?そうなんだ、頑張ってるんだね」
『くそがき!!飯も自分で食えねぇのかよ!!』と頭の中で本当の父親が言っている映像が浮かび始めた。
「翔君は最近お仕事どう?」
「ちょっと最近は忙しいですね。またコンテストに出すもの考えたりしなくちゃで・・・」
『お前が仕事さぼってるせいで、俺の仕事が増えてんだよ!!』
あ・・・だめかもしれない・・・



「ギャー――――――――!!!!!!ハァハァハァ・・・・」


「廉ちゃん!!?大丈夫?何が怖かったかな?」
「廉くん大丈夫だよ、深呼吸しよう。」
俺の意識は今病室にはない。
出入り口に親父が立っているように見えていて、手にはカッターが見えている。
怖い・・・・。
ガクガク震える体。
「廉君ごめんね。無理させたね。」
そう言って体を直人さんが抱きしめてさすってくれていることで意識は病室へ戻り、翔さんに一度視線をやると傷ついた表情で立っていた。
「翔、今日の面会はもう終わろう。」
「・・・うん」
翔さんが部屋から出ていくのを確認し、母親に水を飲むように言われ今日はさすがにストローに口を付けた。





病室の外で翔はしゃがみ込んでいた。
あの日は冷静じゃなかったから廉がパニックになっても知らんぷりだったが、今日は冷静だ。
だからこそ自分のせいでパニックになったのだと思い知らされてしまいかなり落ちていた。
そこへ廉をなんとか落ち着かせた直人がやってきた。
「ちょっと裏で話そう。」
「うん・・・。」
院長室へ入りソファに腰をかける。
「自分がやったことの酷さを今更後悔か?」
「うん・・・・」
「正直廉くんを蹴った時俺はお前をぶん殴りたい気持ちだったよ。」
「ごめん・・・」
「廉くんにいつか言えたらいいな、その言葉。」
「うん。」
「二度と廉くんにも百々ちゃんにも手を出さないって誓えるか?」
「誓う・・・廉くんにもいつかちゃんと謝罪して許してもらえるように努力する・・・」
「くれぐれも廉くんのストレスにならないようにな。」
「うん・・・。」
「空の墓参り行って、怒られて来い。」
「わかった・・・」
おとなしく空の墓参りへと向かった翔の背中に「空、説教頼んだぞ・・・」と直人は小さくつぶやいた。
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