嵐は突然やってくる

白うさぎ

文字の大きさ
上 下
64 / 307
第二章 翔の仕事

しおりを挟む
「廉くん、警察の人来たから起きようか・・・」
翔さんが体をゆすってくる。
でも、眠気が勝ってしまってクマに埋もれる。
「廉くーん?かわいいし、眠たいのもすっごくわかるんっすけどこのあと衣装合わせとかあるし・・・とにかく起きてほしいっす!!」
「廉くん、ほら起きてぇ~メロンソーダあるよ?」
「・・・・」
子供じゃない。メロンソーダごときじゃ眠気を取るに決まってる。
文さん手作りのタオルケットをさらに被る。
夏の冷房から避けるタオルケットの中ってなんでこんなに気持ちいいのだろう。
「よっぽど眠たいんでしょうね。」
だれか知らない声に笑われてるし、なんかすっごく視線を感じる。
クマの後ろに移動して手の隙間から見てみる。
「ん・・・・けいさつ・・・?」
なんか俺今年だけで警察に事情聴取されるの何気に2回目。
1回目は福岡のプチ家出の時。2回目は原因俺じゃないのにな・・・。 
「起きた?そこではなす?」
「いいの・・・・?」
「うん、たぶんいいと思うよ。廉くんが好きなところで。」
たぶん発作が起きないようにの配慮だろうな。普通ならちゃんと座ってだもん。まぁ座ってはいるけど、クマの後ろだからな。
「こんにちは。白山廉さんであってますね?」
「はい・・・。」
やっぱりなんだかこっちが悪い事している気分。
「どうして、廉さんは一人でここにいたんですか?」
「俺は人の怒鳴り声とかそういうのダメだから・・・・。あの時は怒鳴り声が聞こえたから俺はいっても迷惑かける。発作が起きないように最善を尽くすのが俺にできることだったから・・・。」
「そうですか。」
そのあとも淡々と事情聴取をされた。
あとは非常口まで行く途中のこととか、機動隊とのアイコンタクトや携帯での会話とか。
一通り聞かれたら30分ほどで俺は解放されて、翔さんが少し話しを聞かれていた。


「はい、メロンソーダ。」
「ありがとうございます・・・」
「頑張ったね。」
「はい・・・」
文さんからメロンソーダを渡されコクコクと飲み干す。
氷をガリガリかみ砕いて、ごちそうさまと手を合わせてまたクマの元へ戻る。
翔さんも話が終わったらしい。
「廉くん、父さんから電話だよ」
「直人さん?」
電話を替わると確かに直人さんの声だった。
『廉くん、どうもないかい?』
「はい。落ち着くスペースができてて、そこで事情聴取を受けたので。」
『よかった。心配でそわそわしちゃって。でも、無事終わったならよかったよ』
「心配おかけしました」
『いいんだよ。僕は君の親なんだから。心配するのは当たり前だよ。』
「ありがとうございます・・・。」
『この後も何かあったら遠慮せず電話するんだよ』
「はい」
直人さんと翔さんの心配性はそっくりだな・・・と思った。
「さ、廉くん衣装を確認しようね」
「はぁい。」
30着試着するらしい・・・。なんか事前に聞いてたのより増えた気がするんだけど!?と思いながらもすべて試着していった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ご飯を食べて異世界に行こう

compo
ライト文芸
会社が潰れた… 僅かばかりの退職金を貰ったけど、独身寮を追い出される事になった僕は、貯金と失業手当を片手に新たな旅に出る事にしよう。 僕には生まれつき、物理的にあり得ない異能を身につけている。 異能を持って、旅する先は…。 「異世界」じゃないよ。 日本だよ。日本には変わりないよ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女男の世界

キョウキョウ
ライト文芸
 仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。  再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。  男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。  彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。 ※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~

釈 余白(しやく)
ライト文芸
 今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。  そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。  そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。  今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。  かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。  はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。

「今日でやめます」

悠里
ライト文芸
ウエブデザイン会社勤務。二十七才。 ある日突然届いた、祖母からのメッセージは。 「もうすぐ死ぬみたい」 ――――幼い頃に過ごした田舎に、戻ることを決めた。

カフェの住人あるいは代弁者

大西啓太
ライト文芸
大仰なあらすじやストーリーは全く必要ない。ただ詩を書いていくだけ。

処理中です...