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第二章

そんなに簡単にバレるの!?

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 乙女ゲームの世界と言うか、ややこしいが『乙女ゲームの世界に現れた転生者が、攻略対象と恋に落ちる』という思い込みに対して、どう対処すれば良いか。
 ラウルさんと話してすっかり怒りや憤りが収まった私は週末、修道院に来てくれたエマと寄り添い部屋みでアリアについて話をした。

「あぁ……小説サイトで、人気でしたよね。悪役令嬢の恋物語……そういうのを読んでいれば、イザベル様のことを勘違いもするか……同じ転生者の私が、ユリウス様と婚約したから尚更ですよね」
「……今更だけど、エマは私のこと……殿下はともかくアレス様達と、そうなるって思ってた?」

 ラウルへの気持ちは明かさなかったが、彼と話して出たアリアへのある仮定(イザベルのことを攻略対象と恋愛関係になると思っている)についてエマに伝えた。
 実はラウルさんですら、私が攻略対象達とそうなる可能性を思っていたくらいなので、現世の私イザベル推しで、最初は殿下ユリウスとくっつけようとしたくらいだ。思えば、暴風雨アレス達から現世の私イザベルとの話を聞いて、萌えていたこともあった。
 けれど、私の質問に対してエマは「いいえ」と答えて言葉を続けた。

「確かに最初は、それはそれでありだと思ってましたけど……何年も付き合ってきた今なら、流石に解ります。アレス様達『は』イザベル様が好きですけど、イザベル様は……困った幼なじみって感じでしか、見てませんよね」
「そうなの……良かった。それこそ、何年も付き合いのあるラウルさんは、そうじゃないみたいだったから」
「男性だからですかね……と言うか」

 そこで一旦言葉を切って、不意にエマが思いがけないことを言ってきた。

「イザベル様の想いを勝ち取ってるのは、ラウル様ですよね?」
「えっ!?」

 それに誤魔化す前に声が上がり、自分の顔が赤くなったのが解った。闇魔法の壁でお互いの顔は見えないけど、私の声でエマには図星を刺された動揺が伝わったと思う。すごく嬉しそうな声で、エマは私に話しかけてきた。

「今まで無自覚でしたけど、ついに自覚したんですね!? おめでとうございますっ」
「や、あの……えっと、自覚はしたけど。修道士と修道女なんだから、だからって特に何もないわよ?」

 言いながら、胸が痛む自分は欲張りだと呆れるが――エマにとっては、そうじゃなかったらしい。

「そのことについては今後、考えるとして……まず! 普段、人の為にばっかり動こうとしているイザベル様が、自分の気持ちと向き合ってくれたことが嬉しいんです!」
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