【完結】ざまぁは待ってちゃ始まらない!

紫蘇

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向かえ!大団円

スパダリの段取り力

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毛布にくるまって草の上で寝ていると、通信用腕輪が反応した。

「ロンバード、もう大丈夫だ。
 バレンとその一味は捕まった。
 王都にはいつ戻っても問題無い」
「そうですか!…良かった」

ビゼーさんと第30騎士団の皆様が無事に任務を果たしてくれたらしい。
異能の餌食にならないか心配したけど、取り越し苦労だったみたいで良かった!

「だから、そろそろ衣装合わせを…」
「いや、それなんですけど…どうしても、東端の石碑にもう一度行かなきゃいけなくて」
「は?何故だ」

通信用ブレスレット越しでも分かるくらい不機嫌そうな声…
でもなぁ、こればっかりは俺も譲れないし。

「いや、何故…と言われましても、魔物が東と南の間の結界をぶち抜いてしまったんですから、東の石碑をもう一度確認しないと駄目でしょ?」
「……そうか、分かった」
「終わったらすぐ帰ります、すみません」
「空を飛んで行くのか?」
「いや、馬車で…出来る限り早く送って貰います」

もう、魔力を補給できる物は何も持っていない。
だからなるべく魔力は温存…
東には竜がいるし、念の為。

「そうか、分かった…気をつけてな。
 愛してるよ、ロンバード」
「はい、俺も…愛してます、ダリル様」

そうして通信は切れた。
ブレスレットを嵌めたところがじんわり温かい気がして…

少し、泣けた。

***

朝日が眩しくなって目を覚ますと、レドモンド君がスープを作っていた。

「ごめん、朝の準備まで…」
「いや、どう考えてもロンバード君とヨーク殿の方が消耗していたからな。
 結局グリフォンも倒さなくて済んだし」

お馬さんももう起き出して草を食べている。
ヨークさんはまだ寝ている…

「暫く寝かせておこう、今は体を休める事に集中した方が良い」
「…そうだね」

ヨークさんは強い。
だけど、俺より魔力量は少ない。
それでも箒バイクを飛ばしてきてくれて、俺を乗せてくれて。
その上、あれだけの魔法を使ったら…疲れるに決まってる。

レドモンド君がスープの味見をする。
どうやら味が決まったらしく、器によそって俺に渡してくれる。

「…うまい!」

朝のエネルギー補給にぴったりの、お芋と干し人参のスープ。
細切りの干し肉からいいお出汁が出てる!
この粒々は…ソバの実かな?

「やっぱり料理上手だね、レドモンド君!」
「煮込むだけのものに上手いも何も…」
「いや、あるよ、ある。絶対ある!」

とにかく美味いのでガツガツ食う。
そんな俺を見てレドモンド君が爽やかに笑う。

「我々の準備が済んでもまだ寝ているようなら、ヨーク殿はこのまま馬車で寝かせて…
 ロンバード君は、私と御者席に」

と、レドモンド君がそこまで言った時、

「……うーん、……おはよぉ」
「あっ、ヨークさん起きたの?」
「…うん、いい匂いするから…腹が減って」

恥ずかしかったのか顔を赤くするヨークさん。
どうやら眠気より食い気が勝った、らしい…?
そんなヨークさんを見て、レドモンド君がニコニコと笑いながら言った。

「はは、それならスープは大盛りにしておこう」
「…パンも食いたい」
「ではパンも焼くとするか」

レドモンド君は火から鍋を降ろすと、ごそごそと野営袋を探って金網と大きなパンを一つ取り出し、鍋の代わりに金網をセットしてパンを食べやすいサイズに切り分けて並べる。
それからヨークさんのスープを器いっぱいによそって、自分の器にもよそうとちょうど鍋が空になる。

「ほら、先にスープ」
「あ…ありがと」

そして焼いている途中のパンを一つ取り、それで鍋に付いたスープを拭って口の中へほうり込む。

「こうすると鍋を洗う手間も省けるだろ?」
「おお…なるほど」

動きに無駄が無い…!
料理上手な人は段取りが違うな。

「さて、今後の旅程だが…
 あの馬車は見ての通り2頭立ての2人乗りだからスピードも出る。
 だから出来る限り飛ばしていこうと思うが、時々馬を休ませてやらないといけないんだ」

道には詳しくないから、交代で案内も頼みたい…と言いながら、パンを裏返すレドモンド君。
つまり、次の休憩場所までどちらかが御者台に乗って、どちらかが馬車で休むって事だな…ふむふむ。

「なら、最初の案内は俺がやるよ。
 ここから東端までにいくつか村がある。
 そこの宿屋ならうまやもあるし、休憩するには丁度いい」
「そうだね、途中の村でも異常が無かったかどうか聞き込みしないといけないから、その間に馬とレドモンド君は休憩してもらって…」
「分かった、それで行こう」

と、そんな話をしていたらパンが美味しそうな香りを立て始めた。

「ほら、パンも焼けたぞ!
 これを食べたら出発だ」

そう言ってレドモンド君は俺とヨークさんにパンを渡し、自分もパンを一切れ口に入れ、野営の片付けをし始めた。

全ての段取りが完璧すぎて、俺とヨークさんはただその動きを見つめていた…。


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