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本気のざまぁを見せてやる!
魔術師は結婚を断りたい 11
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北端の石碑との違いは、石の切れ方だった。
「…ヒビが入ってるだけで、完全に切り離されてるわけじゃないみたいですね」
「ということは、この石碑は問題ない?」
「いや大ありです。
大きな力が加わればポッキリ…だから、修繕の方法を考えないと…ですね」
ヒビに接着剤を流し込んで固める、それしか今のところ解決方法は無い。
ただ、北の石碑と同じやり方は出来ない…
うーーーん。
「治癒魔法で元に戻ったら良いのにな…」
「出来るんですか?」
「いや、出来ないです…これが木だったら出来るかも…うん?」
そうだ、代わりの石が来るまで倒れなければそれでいいわけだから、無理に修復じゃなくてもいいんだ!
「このまま倒れないように、蔓で固めるほうが早そうですね」
「蔓で?それで結界に影響は出ないんですか?」
「出ない様に固めます、ただ…」
「ただ?」
「ちょっと、問題はあります。
ですので、是非とも第9騎士団のお力を貸して頂きたいのですが…」
「ええ、それは構いませんとも。
その為にここに来ておりますから」
団長さんはそう言って、にっこりと微笑んだ。
***
第9騎士団は「大きな手柄より小さな実績」をモットーにする、少し変わった騎士団だ。
大きな魔物を倒しに行く騎士団が消耗しないように先行して中~小型魔物を蹴散らしたり、魔物を狩った後の死骸の片付けや壊れたものの修繕なんかをしてくれる部隊で、農村や小さな町では「ダイクさん」と呼ばれて親しまれている。
そんな縁の下の力持ち騎士団に、俺はどうやってこの石碑を地面に固定するかをまず説明した。
「まず最初に、蔓を探して一部を採取します。
次に、植物魔法を使い、その蔓でこの石を雁字搦めにして固定します。
最後に、その蔓から魔力を抜いて完成…
なのですが」
「ですが…?」
「蔓が魔力を持っている間は、魔力集積回路の動作を阻害してしまいます。
つまり結界がゆるむ…という事です」
そこまで説明すると、団長さんはまたもニッコリ笑って言った。
「ではその間の村の警護と、ロンバード様と石碑の警護、蔓の用意…他に何かありますかな」
「いえ、後は特に無い…と、思います」
さすがダイクさん、俺の説明からやるべきことを瞬時に理解してくれたらしい。
「かしこまりました。
他に何かありましたら随時お申し付け下さい…
さーて、やるぞー!」
「「おー!」」
そうして第9騎士団は数人が森の中へ、半数が村の方へと動き、石碑には団長さんだけを残して散って行った。
そしてものの数分で蔓が集められ、森から帰ってきた騎士たちはそのまま石碑の周りへ広がり…
「さすが、仕事が早いですね」
「この程度なら大したことはありませんよ」
「蔓もちょうど良い太さと柔らかさですし…」
「用途が分かっておれば当然ですよ」
当たり前のように色んな種類の蔓を持ってきてくれる第9騎士団の有能さ…
「さて、この蔓をどうすればよろしいかな?」
「石の周りを囲むように置いて…ああ、ここからは俺がやりますから、警護をお願いいたします」
「ふむ、こだわりがあるのですな?」
「分かります?」
そう、配置には少し気を遣わないといけない。
蔓でプレートに傷が付かないように…強化されているとはいえ、植物の力は大きいからね。
「さて、それでは…いきます」
俺は気合いを込めて、蔓に魔法をかける……
「…ヒビが入ってるだけで、完全に切り離されてるわけじゃないみたいですね」
「ということは、この石碑は問題ない?」
「いや大ありです。
大きな力が加わればポッキリ…だから、修繕の方法を考えないと…ですね」
ヒビに接着剤を流し込んで固める、それしか今のところ解決方法は無い。
ただ、北の石碑と同じやり方は出来ない…
うーーーん。
「治癒魔法で元に戻ったら良いのにな…」
「出来るんですか?」
「いや、出来ないです…これが木だったら出来るかも…うん?」
そうだ、代わりの石が来るまで倒れなければそれでいいわけだから、無理に修復じゃなくてもいいんだ!
「このまま倒れないように、蔓で固めるほうが早そうですね」
「蔓で?それで結界に影響は出ないんですか?」
「出ない様に固めます、ただ…」
「ただ?」
「ちょっと、問題はあります。
ですので、是非とも第9騎士団のお力を貸して頂きたいのですが…」
「ええ、それは構いませんとも。
その為にここに来ておりますから」
団長さんはそう言って、にっこりと微笑んだ。
***
第9騎士団は「大きな手柄より小さな実績」をモットーにする、少し変わった騎士団だ。
大きな魔物を倒しに行く騎士団が消耗しないように先行して中~小型魔物を蹴散らしたり、魔物を狩った後の死骸の片付けや壊れたものの修繕なんかをしてくれる部隊で、農村や小さな町では「ダイクさん」と呼ばれて親しまれている。
そんな縁の下の力持ち騎士団に、俺はどうやってこの石碑を地面に固定するかをまず説明した。
「まず最初に、蔓を探して一部を採取します。
次に、植物魔法を使い、その蔓でこの石を雁字搦めにして固定します。
最後に、その蔓から魔力を抜いて完成…
なのですが」
「ですが…?」
「蔓が魔力を持っている間は、魔力集積回路の動作を阻害してしまいます。
つまり結界がゆるむ…という事です」
そこまで説明すると、団長さんはまたもニッコリ笑って言った。
「ではその間の村の警護と、ロンバード様と石碑の警護、蔓の用意…他に何かありますかな」
「いえ、後は特に無い…と、思います」
さすがダイクさん、俺の説明からやるべきことを瞬時に理解してくれたらしい。
「かしこまりました。
他に何かありましたら随時お申し付け下さい…
さーて、やるぞー!」
「「おー!」」
そうして第9騎士団は数人が森の中へ、半数が村の方へと動き、石碑には団長さんだけを残して散って行った。
そしてものの数分で蔓が集められ、森から帰ってきた騎士たちはそのまま石碑の周りへ広がり…
「さすが、仕事が早いですね」
「この程度なら大したことはありませんよ」
「蔓もちょうど良い太さと柔らかさですし…」
「用途が分かっておれば当然ですよ」
当たり前のように色んな種類の蔓を持ってきてくれる第9騎士団の有能さ…
「さて、この蔓をどうすればよろしいかな?」
「石の周りを囲むように置いて…ああ、ここからは俺がやりますから、警護をお願いいたします」
「ふむ、こだわりがあるのですな?」
「分かります?」
そう、配置には少し気を遣わないといけない。
蔓でプレートに傷が付かないように…強化されているとはいえ、植物の力は大きいからね。
「さて、それでは…いきます」
俺は気合いを込めて、蔓に魔法をかける……
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