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ざまぁしやがれください!
またも作戦失敗
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宝石おねだり作戦から2週間ほどが経ち、俺はとぼとぼと学生寮までの道を歩いていた。
「はあ…とんでもない事になってしまった」
すると、突然後ろから話しかけられた。
「ロンバードがため息つくなんて、珍しいね」
友だちのニールだ。
どうやら彼も学生寮へ帰るところらしい。
「あ、ニール…。
そうなんだよ、とんでもない事になってきちゃってさ」
ダリル様に怒られたその後の事。
防風ブレスレットの完成と共に、俺が「セルナ神聖国の依頼を受けて新しい魔法技術を開発した」…という話が学園中どころか各大使館レベルで伝わってしまった。
各国が「セルナ神聖国だけずるい」と抗議し、
それが外務大臣の耳に届き、
俺は外交局から3時間程説教され、
別に新しい技術ではないことを必死でプレゼンしたけど通じなかった。
俺はクレアの話を聞いて、軽くお助けする程度の気持ちで作っただけなのに…
何でこんな目に合うかね?
その上、宝石の本に載ってたからティユダイトもブラドゥイトも高級品…かと思ったら、意外に手頃なお値段でおねだり作戦の効果も薄そうだし。
宝石に明るくなさすぎて、何でもお高いと思ってた俺が悪いんだけどさ…せめて宝石じゃなくてパワーストーンとか天然石とかいう名前が付いてれば、こんなことには…。
「はぁ……」
それでも俺の行いが国際問題になりかけた事で、狙い通り(?)に王宮の偉い人たちが「アレを王子の婿にして大丈夫か」と騒ぎ始め、作戦は成功しかけたのだけど…。
それもたった半日ほどで、王様の
『だからこそ手元に置いておくのだろう?』
…という一言で終了した。
まさか王様が出てくると思わなかった俺は恐れおののいた。
そして気が付いた。
「…より旅に出づらくなった…」
「はは、ロンバードらしいね。
そうそう、ドラーク帝国からも要望来てるよ!
俺お金預かってるし、必要なものは言ってね」
「うん、知ってる…。
このぶんじゃ夏休みは魔術塔から出られなさそうだなぁ」
俺は事態を収束させるため、仕方なく「友好国からの要望があれば、宝石及び資材の提供と引き換えに魔法ブレスレットを開発する」という仕事を請け負うことになった。
そしたらめっちゃ注文来た。
気分はジュエリーデザイナー…って、そんな良いもんじゃないけどな。
でもそう思わないとやっていられない量だ。
「へえ…あとどこから来てるの?」
「クレアとこのセルナ神聖国…は、終わってるから、あとは…
サリュール先輩んとこのサリル王国と、
レドモンド君とこのアデア王国と、
カナデ君ちのサラシナ国と…」
順番はあみだくじで決めた。
正直どれが簡単でどれが難しいとかも現時点で判断付かないしな。
「学園の留学生は全員じゃん」
「うん、まあ…そうなんだよね」
必要な資材は、学園の留学生たちを通して発注することになった。
そしたら何故か、留学生を寄越していなかった国からも半ば強引に留学生が来ることになった。
というわけで、学生寮にご迷惑をお掛けする謝罪をしに、菓子折り…よりも、飴を持ってこいとの事だったので、昨日夜なべして魔法飴を瓶いっぱいに作った。
眠い…。
「だからこんな所を歩いてたんだね」
「そう、謝罪行脚…。
帰ったらまた飴作らないといけないしさ、大変だよ」
「飴って、時々ロンバードがくれるあれ?」
「そう、あれ…」
何かさあ、よくよく聞いたらみんな母国では王族とか公爵とか、そんなんばっかりでさ。
クレアも神聖国で2番目に権力を持ってるっていう枢機卿の息子なんだって。
そんなんさぁ…事前に言っといてよ…。
俺が情報収集した外国の文化や風習の中に、貴族の名前は入ってないんだから!
「むしろ何で知らなかったの…?」
「うっ、それは…。
いや、身分高そうだな~とは思ってたよ?
だけどそこまでだとは思わないじゃん!
『俺は枢機卿の息子だぞ!』とか言っといてくれたらさあ…」
「そんな事言うやつ送り込んだら、それこそ国際問題じゃん」
「ううっ、ツッコミが正論すぎるっ…」
それでもニールと会話しつつ歩くと、何となく気楽になってきた。
そろそろ学生寮だ、さっさと謝ってすっきりしよう…
「色んな国で困ってる人の助けになるんだもん、やる気出さなきゃね」
「あはは…もう前向きになったね、さすが」
「ま、何事も切り替えが大事…あ」
向こうに見える学生寮、その門前に、おじさんが立っているのが…見えた。
「どうしたの?」
「…外務大臣がいる」
「……は?」
何で来るんだよ!
今日は謝罪だけって、言ったじゃんかぁ!!
「はあ…とんでもない事になってしまった」
すると、突然後ろから話しかけられた。
「ロンバードがため息つくなんて、珍しいね」
友だちのニールだ。
どうやら彼も学生寮へ帰るところらしい。
「あ、ニール…。
そうなんだよ、とんでもない事になってきちゃってさ」
ダリル様に怒られたその後の事。
防風ブレスレットの完成と共に、俺が「セルナ神聖国の依頼を受けて新しい魔法技術を開発した」…という話が学園中どころか各大使館レベルで伝わってしまった。
各国が「セルナ神聖国だけずるい」と抗議し、
それが外務大臣の耳に届き、
俺は外交局から3時間程説教され、
別に新しい技術ではないことを必死でプレゼンしたけど通じなかった。
俺はクレアの話を聞いて、軽くお助けする程度の気持ちで作っただけなのに…
何でこんな目に合うかね?
その上、宝石の本に載ってたからティユダイトもブラドゥイトも高級品…かと思ったら、意外に手頃なお値段でおねだり作戦の効果も薄そうだし。
宝石に明るくなさすぎて、何でもお高いと思ってた俺が悪いんだけどさ…せめて宝石じゃなくてパワーストーンとか天然石とかいう名前が付いてれば、こんなことには…。
「はぁ……」
それでも俺の行いが国際問題になりかけた事で、狙い通り(?)に王宮の偉い人たちが「アレを王子の婿にして大丈夫か」と騒ぎ始め、作戦は成功しかけたのだけど…。
それもたった半日ほどで、王様の
『だからこそ手元に置いておくのだろう?』
…という一言で終了した。
まさか王様が出てくると思わなかった俺は恐れおののいた。
そして気が付いた。
「…より旅に出づらくなった…」
「はは、ロンバードらしいね。
そうそう、ドラーク帝国からも要望来てるよ!
俺お金預かってるし、必要なものは言ってね」
「うん、知ってる…。
このぶんじゃ夏休みは魔術塔から出られなさそうだなぁ」
俺は事態を収束させるため、仕方なく「友好国からの要望があれば、宝石及び資材の提供と引き換えに魔法ブレスレットを開発する」という仕事を請け負うことになった。
そしたらめっちゃ注文来た。
気分はジュエリーデザイナー…って、そんな良いもんじゃないけどな。
でもそう思わないとやっていられない量だ。
「へえ…あとどこから来てるの?」
「クレアとこのセルナ神聖国…は、終わってるから、あとは…
サリュール先輩んとこのサリル王国と、
レドモンド君とこのアデア王国と、
カナデ君ちのサラシナ国と…」
順番はあみだくじで決めた。
正直どれが簡単でどれが難しいとかも現時点で判断付かないしな。
「学園の留学生は全員じゃん」
「うん、まあ…そうなんだよね」
必要な資材は、学園の留学生たちを通して発注することになった。
そしたら何故か、留学生を寄越していなかった国からも半ば強引に留学生が来ることになった。
というわけで、学生寮にご迷惑をお掛けする謝罪をしに、菓子折り…よりも、飴を持ってこいとの事だったので、昨日夜なべして魔法飴を瓶いっぱいに作った。
眠い…。
「だからこんな所を歩いてたんだね」
「そう、謝罪行脚…。
帰ったらまた飴作らないといけないしさ、大変だよ」
「飴って、時々ロンバードがくれるあれ?」
「そう、あれ…」
何かさあ、よくよく聞いたらみんな母国では王族とか公爵とか、そんなんばっかりでさ。
クレアも神聖国で2番目に権力を持ってるっていう枢機卿の息子なんだって。
そんなんさぁ…事前に言っといてよ…。
俺が情報収集した外国の文化や風習の中に、貴族の名前は入ってないんだから!
「むしろ何で知らなかったの…?」
「うっ、それは…。
いや、身分高そうだな~とは思ってたよ?
だけどそこまでだとは思わないじゃん!
『俺は枢機卿の息子だぞ!』とか言っといてくれたらさあ…」
「そんな事言うやつ送り込んだら、それこそ国際問題じゃん」
「ううっ、ツッコミが正論すぎるっ…」
それでもニールと会話しつつ歩くと、何となく気楽になってきた。
そろそろ学生寮だ、さっさと謝ってすっきりしよう…
「色んな国で困ってる人の助けになるんだもん、やる気出さなきゃね」
「あはは…もう前向きになったね、さすが」
「ま、何事も切り替えが大事…あ」
向こうに見える学生寮、その門前に、おじさんが立っているのが…見えた。
「どうしたの?」
「…外務大臣がいる」
「……は?」
何で来るんだよ!
今日は謝罪だけって、言ったじゃんかぁ!!
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