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聖人様になる旅路
おおむね順調な前半戦
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毎度毎度光の力を暴走させつつも、内周の祠は半分ほど浄化できた。
最近ではむしろ暴走を望まれているような気もするので、結果オーライだ。
残りの祠も頑張って浄化と封印をしようと思う。
特に最後はラジオ体操をぶっ続けで1時間もやらなきゃならない。相当の体力が必要だと思うので、今から少しずつ食事の量を増やして…
増やせるなら…だけど。
実は、真剣にラジオ体操を続けたおかげか、ガリだった俺の体にもちょっと筋肉が付き始めたんだ。
トモアキ曰く「ラジオ体操は体の筋肉を全て使う理想的な体操」なんだとか…。
だったら俺も、トモアキほどの美ボディじゃなくてもいいから、ガリチビから何とか脱却したい。
今後も封印に関わらず続けて行こうと思う。
とりあえず飯は出された分全部食べて頑張ろう。
…さて、困ったのはミシェルだ。
毎朝俺を可愛いと褒めるのは収まったし、変にボディタッチしてくる事もなくなったけど、なんていうか…
俺の側から離れなくなった。
今もちゃんと側にいる。
困ったことに。
「はあ……」
なんせ、俺がミシェルから少しでも離れようものならそわそわと探しに来るのだ。
便所の中まで探しに来た時にはびっくりした。
幼児の後追いじゃないんだからさ…
何かこう、この人に限度って無いの?
その、もう、分かってんのよ。
ミシェルは俺の事が好き、だって…でもさあ。
何で?
何で俺なん?
俺、ミシェルと並んだら身長差がエグイくらいのチビッコだし。
顔もぱっとしないというか…薄味っていうか。
そりゃまぶたは二重だけど、それだけだよ?
鼻が高いわけでも無いし、まつげが長いわけでも無いし、黒目がちでも三白眼でもないよ。
ちょっと丸顔で、いつまで経ってもお店の人が中学生と間違うような…
成長期前な見た目で悪かったな!!
確かに、俺はヒゲも薄いし胸毛も生えてないけど…背も低いし…。
男らしくなくてすみませんね!
……なんて、頭の中で色々言っていると、ミシェルが急に話しかけてきた。
「あの、シゲル様」
「!!っ、どどどどうしたのみしぇる」
「シゲル様は、外周の祠での試練の為に、地元の娼館に協力を仰ぐことをお考えであると…」
「ああ、うん、相手がいないからね」
だってトモにそういうコトするのもされるのも……
何か違うんだもん。
何ていうの?愛し合ってる感を出すってのがさ。
友だち同士の会話ならいくらでも出来るよ?
けど、トモとキスするとか、イチャコラするとか、バックハグで乳繰り合うとか…
お互いに無理だと思う。
「マキタ様とでは、駄目なのですか」
「うん、無理だね」
そもそも、トモアキは女の子が好きなんだ。
なのに、今は緊急だからって、この国のみんなが困ってるからってそういう事を強要したら……
俺は大事なともだちを失ってしまう。
家事と介護で忙しくて、ただ家と学校を往復するだけだった俺に出来た、初めての友だち。
俺の家に来て、家事を手伝ってくれて。
妹の話し相手にもなってくれて。
空いた時間で宿題や勉強を見てくれて。
そうして、同じ高校へ入れるだけの学力をつけてくれたのも…トモだ。
トモアキは俺の恩人。
一生付き合っていく親友。
距離が遠くなる事があっても、多分…変わらない。
変わらず友だちで、久しぶりの再会でも普通に昨日の話をするくらいの特別な友だち。
「トモは俺の本当の友だちなんだ。
絶対に失いたくない友だちなんだ。
この世界が大変なのは分かってる。
その為にはこの友情も犠牲にすべきだってみんな言うかもしれない。
そうだとしても、どうしてもできない…
そのくらい大切な友だちなんだ」
トモアキは完全なヘテロだ。
つまり、男には性的欲求が湧かないという事だ。
ゲイの人が女の人に性的欲求が湧かないのと同じ様に。
トモアキと俺に絡んできた奴らはたくさんいたけど、男より女のほうがずっとましだったのも関係してるかもしれない。
女のほうは、トモアキにメイクやファッションを教われば、それを受け止めて生まれ変われる。
過去と決別して、馬鹿な執着心を捨てられる。
ちゃんとお礼も言うし、トモの美容の腕をいっぱい喋って、お店のお客も増やしてくれたし。
でも、男のほうは違った。
モテない見た目を変えてやろうとしても、それで近寄って来た女を馬鹿だ、とか、ビッチだ、とか言って、女より君が好きだとか言って、そうなった責任を俺に取らせようとして関係を迫って来たり…
その度にトモアキが助けてくれた。
嫌なはずなのに、彼氏役になってくれたりして…。
「もう、トモに嫌な思いをさせたくない。
だから、ここまでの旅の経費で余ったお金を貯めてあるんだ、それで何とかならないかな…って」
俺が固い決意を込めて言うと、ミシェルは真剣な顔で俺に聞き返した。
「それで、お菓子を買うのを我慢してたんですか?」
な、なんで急に……!
べっ、別に節約したのはお菓子だけじゃねーし!
子どもっぽくて悪かったな!
最近ではむしろ暴走を望まれているような気もするので、結果オーライだ。
残りの祠も頑張って浄化と封印をしようと思う。
特に最後はラジオ体操をぶっ続けで1時間もやらなきゃならない。相当の体力が必要だと思うので、今から少しずつ食事の量を増やして…
増やせるなら…だけど。
実は、真剣にラジオ体操を続けたおかげか、ガリだった俺の体にもちょっと筋肉が付き始めたんだ。
トモアキ曰く「ラジオ体操は体の筋肉を全て使う理想的な体操」なんだとか…。
だったら俺も、トモアキほどの美ボディじゃなくてもいいから、ガリチビから何とか脱却したい。
今後も封印に関わらず続けて行こうと思う。
とりあえず飯は出された分全部食べて頑張ろう。
…さて、困ったのはミシェルだ。
毎朝俺を可愛いと褒めるのは収まったし、変にボディタッチしてくる事もなくなったけど、なんていうか…
俺の側から離れなくなった。
今もちゃんと側にいる。
困ったことに。
「はあ……」
なんせ、俺がミシェルから少しでも離れようものならそわそわと探しに来るのだ。
便所の中まで探しに来た時にはびっくりした。
幼児の後追いじゃないんだからさ…
何かこう、この人に限度って無いの?
その、もう、分かってんのよ。
ミシェルは俺の事が好き、だって…でもさあ。
何で?
何で俺なん?
俺、ミシェルと並んだら身長差がエグイくらいのチビッコだし。
顔もぱっとしないというか…薄味っていうか。
そりゃまぶたは二重だけど、それだけだよ?
鼻が高いわけでも無いし、まつげが長いわけでも無いし、黒目がちでも三白眼でもないよ。
ちょっと丸顔で、いつまで経ってもお店の人が中学生と間違うような…
成長期前な見た目で悪かったな!!
確かに、俺はヒゲも薄いし胸毛も生えてないけど…背も低いし…。
男らしくなくてすみませんね!
……なんて、頭の中で色々言っていると、ミシェルが急に話しかけてきた。
「あの、シゲル様」
「!!っ、どどどどうしたのみしぇる」
「シゲル様は、外周の祠での試練の為に、地元の娼館に協力を仰ぐことをお考えであると…」
「ああ、うん、相手がいないからね」
だってトモにそういうコトするのもされるのも……
何か違うんだもん。
何ていうの?愛し合ってる感を出すってのがさ。
友だち同士の会話ならいくらでも出来るよ?
けど、トモとキスするとか、イチャコラするとか、バックハグで乳繰り合うとか…
お互いに無理だと思う。
「マキタ様とでは、駄目なのですか」
「うん、無理だね」
そもそも、トモアキは女の子が好きなんだ。
なのに、今は緊急だからって、この国のみんなが困ってるからってそういう事を強要したら……
俺は大事なともだちを失ってしまう。
家事と介護で忙しくて、ただ家と学校を往復するだけだった俺に出来た、初めての友だち。
俺の家に来て、家事を手伝ってくれて。
妹の話し相手にもなってくれて。
空いた時間で宿題や勉強を見てくれて。
そうして、同じ高校へ入れるだけの学力をつけてくれたのも…トモだ。
トモアキは俺の恩人。
一生付き合っていく親友。
距離が遠くなる事があっても、多分…変わらない。
変わらず友だちで、久しぶりの再会でも普通に昨日の話をするくらいの特別な友だち。
「トモは俺の本当の友だちなんだ。
絶対に失いたくない友だちなんだ。
この世界が大変なのは分かってる。
その為にはこの友情も犠牲にすべきだってみんな言うかもしれない。
そうだとしても、どうしてもできない…
そのくらい大切な友だちなんだ」
トモアキは完全なヘテロだ。
つまり、男には性的欲求が湧かないという事だ。
ゲイの人が女の人に性的欲求が湧かないのと同じ様に。
トモアキと俺に絡んできた奴らはたくさんいたけど、男より女のほうがずっとましだったのも関係してるかもしれない。
女のほうは、トモアキにメイクやファッションを教われば、それを受け止めて生まれ変われる。
過去と決別して、馬鹿な執着心を捨てられる。
ちゃんとお礼も言うし、トモの美容の腕をいっぱい喋って、お店のお客も増やしてくれたし。
でも、男のほうは違った。
モテない見た目を変えてやろうとしても、それで近寄って来た女を馬鹿だ、とか、ビッチだ、とか言って、女より君が好きだとか言って、そうなった責任を俺に取らせようとして関係を迫って来たり…
その度にトモアキが助けてくれた。
嫌なはずなのに、彼氏役になってくれたりして…。
「もう、トモに嫌な思いをさせたくない。
だから、ここまでの旅の経費で余ったお金を貯めてあるんだ、それで何とかならないかな…って」
俺が固い決意を込めて言うと、ミシェルは真剣な顔で俺に聞き返した。
「それで、お菓子を買うのを我慢してたんですか?」
な、なんで急に……!
べっ、別に節約したのはお菓子だけじゃねーし!
子どもっぽくて悪かったな!
応援ありがとうございます!
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