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第六章 国造り編

第48話 魅了強奪

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 私は夜会へ出席する為に、同伴するトラパーネとアネロと一緒にタッタリア商会へ向かった。

 タッタリア商会に到着したけど、会場となるホールへは貴族が先に入場するらしく、私達は平民なので外で待つ事になった。人混みの中では周りの視線が集中する恐れがあるので、帽子を深く被って目立たないようにした。

「ハルカ様を招待しておいて、このような場所で待たせるとは、ロベルトは殺すべきですね」
「パーネ、物騒な事を言っちゃダメだよ。まぁ、最終的には殺しちゃうけどね」
「ハルカ様にトラパーネ様、その内容の話は〚以心伝心〛でお願いします……」

 私とトラパーネが、小声とはいえ物騒な会話をしていたので、アネロは冷や汗を掻きながら話を遮った。その後は無難な話をして時間を潰していると、やっと平民の招待者の入場となった。

(本当に階級って面倒だね)

 私はホールへ入場するタイミングで、深く被っていた帽子を取ってホールへ歩いていく。通路を通ってホールを目指していると、ロベルトを見つけたので声をかけると、ホールへエスコートすると言うので腕を組んで移動する。

『ハルカ、ロベルトの〘魅了〙を強奪したけど、魅了にかかってなかったみたいで、解除する必要もなかったよ。ロベルトは魅了を失ったから、魅了にかかってた人は元に戻ったよ』
『ありがとう』

 ロベルトの〘魅了〙を強奪したけど、私は魅了にかかってなかったみたい。まぁ、ロベルトの魅了にかかってた人達が、解除されて元に戻ったからいいかな。

 ホールへ中へエスコートされると、自分の物のように自慢をするので、その傲慢な心を『ポッキリ』とへし折ってやった。

 唖然とするロベルトを置き去りにして、ストーナー公爵とアンティーク家具を見に行くと、その場でオーダーメイド家具の注文を取り付ける事ができた。ストーナー公爵との話の後も、他の上位貴族達が私の元へやってきて、次々と商談の予約を受けたので、明日からはオーダーメイド家具の商談で忙しい毎日になりそうだ。
 
 夜会を終えてファミリアへ帰ろうとすると、ロベルトが秘書と執事の2人に必死に取り繕ってる姿が見えた。魅了が解けた事で正気に戻ったからタッタリア商会を辞めるんだね。

 横目でロベルトの方を見て、心の中で思い切り笑いながらファミリアへ帰って行ったの。
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