僕たちが幸せを知るのに

茜琉ぴーたん

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Capitolo3…Perdita di perdita

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 その後は姉と待ち合わせて帰り、しかし様子がおかしいので話を聞けば「今夜ホテルに行く」とのことでセックスについてのアドバイスを求められた。

 そんなの男に任せれば良いじゃんと思いきや、姉はクマさんに「経験豊富な女だ」と吹いているらしい。

 僕は出来る限りの提案をして彼女の幸運を祈り、門限前に帰宅したその様子を見るにおそらく成功したのだと想像する。


 さてそっちは後々深掘りするとして僕の方はどうしようか。

 トレジャーハントみたいな感覚でシラトリさんを見つけて糾弾きゅうだんしたい、あわよくばセックスでヒィヒィ言わせて溜飲りゅういんを下げたい。

 だいたい彼女のスケッチブックには僕の裸体や顔のアップなどのいちじるしく卑猥ひわいな個人情報が詰まっているのだ。

 あれを作品に落とし込むならモデルの僕に許可のひとつも取るのが礼儀だろう。

 さしずめあのスケッチブックは人質みたいなもの、彼女自身が「お灸」と言っていたんだからそれを公開されるのはリベンジポルノに近しいものがある。

 そうだ僕はあのスケッチを破棄させるために彼女を探そう。

 そして交換条件にセックスさせてもらおうかな、馬鹿なガキの僕はそれを大義名分としてシラトリさんを捜索する理由とした。


 さて、どうやってシラトリさんを探すか。

 人間の記憶力は本当に当てにならないもので、元々他人に興味の薄い僕の脳みそは日を追うごとに彼女の顔や服装なんかの記録をぽいぽいと棄ててしまっていてあれから1週間経った今、もうそのシルエットもおぼろげだ。

 大学の敷地に入れないことはないが一番遭遇率の高い事務棟は人目があって下手な行動は取れない。

 徒歩で通勤する職員もいるようだがほとんどは自家用車だろうから門で張るのも難しい。

 ちなみに姉はクマさんを探しに来た時は守衛所で入校証を貰って正攻法を使ったそうで僕もそうするつもりだが、僕のビジュアルではどうしても目立つから短日で決めねば怪しまれるかもしれない。

 留学生ぶるのもありだけど少ないと聞いているし秋から突然金髪外国人が通い出したら不自然だ。

 身分証の提示を求められたら最悪高校にチクられて大ごとになるかも…さすがにこんなことで親を呼び出されたりはしたくないのだ。



つづく
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