馬鹿でミーハーな女の添い寝フレンドになってしまった俺の話。

茜琉ぴーたん

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 そして度々湧いてはじわじわと大きくなっている感情があり、モヤモヤの原因となっているそれは…長岡との間に生じる「不公平感」であった。
 遥は長岡に口で奉仕して抜いてあげるということをするが、長岡からは何もしてくれはしない。それは元々が遥の方から襲い掛かった・頼んだという経緯があるからなのだが、もうここまで回を重ねると彼女から頼んでさせて貰っている訳でもなく、酒を呑んだ後のそれこそルーティンとなって自然と長岡は腰を緩めだすのだ。
 「私だって気持ち良くして貰いたい」、頼めば「じゃあ出て行け」と言われてしまうだろう。
 居心地の良いこの空間を捨ててひとり暮らしに戻るのが寂しくていけない、遥は休みの日にこっそりと自慰行為に励んで気を紛らわしていた。
「…直樹はさ、エッチしたいと思わない?私じゃなくて、店とか……しばらく行ってないでしょ?」
「あー、そうだな、んー……ハルカの口が気持ちいいから満足しちまってんだよな…お前が留守の時はAVでオナニーしてるよ」
「そう、嬉しいけど……フクザツ…」
「なに、溜まってんの?」
 コーラをズビズビ飲み切って大きくゲップをして、長岡はニタニタと遥の顔を覗き込む。
「お行儀悪いな……ん…そりゃ…私だってしばらくエッチしてないんだもん…うずうずしちゃうよ」
「ふーん……バイブでも買ったら?」
「…自分で動かすのってなんか違うの……それとも買ったら遊んでくれる?」
「………それも腕が要りそうだな…変なとこ突いてケガされたくねぇし」
「あっそ…」
何を準備したって遊んではくれないね、かと言って誰でもいいわけじゃないのに…欲求不満の遥は単語から具体的な想像をしてしまいもじもじと腰をよじって体に刺激を与えた。
「ローター持ってんだろ、ちょちょっとシろよ」
「…シてるけど…そういうことじゃないの、スキンシップなの、」
「ふーん?」
「ねぇ直樹…何もしなくていいから、手だけ貸して?」
「え、さすがに触れねぇよ?」
長岡は両手を挙げて降伏ポーズをとり、責めるつもりも参加する意思も無いことを示す。
「添えてくれるだけでいいの、お願い…いつもフェラしてあげてるじゃん」
 確かに最近は慣習化してしまって良くなかったか、借りは借りとして認識している長岡は
「………どうやって?」
と両手を膝の上に下ろした。
「来て、」

 遥は私物入れからいつぞやのピンクローターを持ち出して、
「寝転んで、後ろからハグして……うん、手をここ、当てて、体には触れないでしょ?」
と壁際を向いて寝て背中を長岡へ預ける。
 そして男の大きな手を自身の手の甲へ載せてローターの振動部を握り、部屋着のズボンの中へ差し込んで…ズボンの上からコロコロとショーツのクロッチ部分へと誘導する。
「うん…」
「スイッチ入れるね、動かなくていいから、私の手に添えてくれるだけでいいから」
「ん…好きにしろよ」
 カチッと音がすると間接的に振動が手に伝わってきて、その指の動きから陰部への沈む深さが感じ取れる。
 挟み込んだ遥の脚もぴくんとうずいてすりすりと布が擦れて、
「ぁ……ん……」
と電話でしか聞いたことのない喘ぎ声が漏れ始めた。
「…エロいな…」
「ん…ん…」
「ハルカ、色っぽい…」
 鼻先を遥の耳の後ろに当てて匂いを嗅いで、そこもぴくんと強張れば簡単に長岡の股間も元気になり彼女の尻に圧をかける。
「ん…ほんとぉ…?」
「うん…勃っちまった…んー……なぁ、どこに当ててんの?」
「な…え…?」
「どこ?これどこだよ」
 布と遥の手を介しての感触ではおそらく柔らかい膣口の上か、小刻みな動きの方向と角度からそんなことが窺い知れた。
「んっ……おま◯こ、の、とこ…」
「穴の上がいいの?」
「そこ、と…あ…クリトリスの、とこ…んッ♡あ、」
 少し上方向に誘導してやると比較的硬い盛り上がりに当たる感触がして、臆せず進めば遥は首を伸ばして顎を仰け反らせる。
「こっちな、ハルカのクリちゃんか…ん、脚ピンしてんのな、かわいい」
「あ♡直樹ッ…もっと、喋ってぇ、」
「ん?言葉責め好きなの?エロいねぇ、ハルカ♡」
「ふゥ♡直樹ぃ、あ、きもちい、なおき、」
 名前を呼ばれると跳ね上がる興奮と信頼。愛しさ…いや、これは欲と情だろう、愛が分からない男はこの心拍の高潮だって彼女由来のものにできない。
「ん、ケツ借りるぞ、」
 長岡は手は遥を追いながらも腰は自分の意思で尻肉へ擦り付けて、上がってきた息は紅く染まった小さな耳へと送り込む。
「あ、あ♡」
「イくときは言えよ、なぁ、ん?」
「あふ…い、きそォ、」
「ん、早いのな、ハルカ、リモコンも貸せ、」
「あ、あ、んッふ…ア、あ♡なお、き♡」
 空いた手でローターのリモコン部を奪いつまみを指先の感覚でいじって、強弱の波で遥はさらに艶かしく鳴いた。
「かわいい…ハルカ、強いのと弱いの、どっちが好き?」
「あ、よわい、のぉ、」
「ほんと?最弱でいいのな?」
「あ、直樹ッ…もっと…もうちょっと、強く、」
「これくらい?ん?ハルカ、」
 長岡の指に踊らされて全ての主導権を委ねて、尻さえもぱんぱんのモノを押し付けられて。いっそそれを挿れて欲しいのに、遥は狂おしく大きなため息をついてその時を待つ。
「ん、あ、きもち、い、なおきッ♡」
「ん、俺もきもちい」
「なおきィ、なおきッ♡あ、あ、」
「黙ってイくなよ、ハルカ、あ?」
「イく、」
「ん、俺の腕の中でイけ、なぁ♡」
「イっぢゃう、直樹ッ♡イく、イくぅ、ゔ、ゔ♡♡♡」
 脈動のように陰部をくすぐる振動に耐えかねて、腕の中でびくんびくんと魚のように跳ねて…遥はじきにくったりとしてローターをズボンから引き抜いた。

「あ…はぁ……あー…やばぁ…」
「すげぇ反るのな…顎打っちまった…イテェ」
「ごめ…ん…直樹…キス、したい、ん、」
「ん」
 目を閉じてくりくりとダイヤルを回してスイッチを切って、体ごと回した遥の紅い紅い唇を喰む。
「ッは…直樹ぃ、なおき…もぉ…エッチ…私だってシたいぃ」
「他で見つけろ、んでここから巣立って行けよ」
「ケチ!」
「馬ァ鹿」
「減るもんじゃなし!」
「責任が増すんだわ、できるか」
久々の問答に長岡はくくと笑い、涙目の遥に自分からキスをして体を離した。

「ふー…そうだ、お前…今度の送別会出るんだろ?酔った勢いで誰か関係持っちまえよ」
「えー…みんな彼女いるし…話したこと無い人とは席も一緒にならないし」
「とりもってやるよ、フリーの奴もいるだろ」
 年度いっぱいで会社を離れる者を送る会、異動・退職も含めての店総出での宴会が月末に予定されている。
 事務方と販売店側と整備部と、全く顔を合わしたことのないスタッフもいるのでもしかしたら未開の有望株が見つかるかもしれないが。
「近場でミスったら今後働けない……次の合コンで決めるもん…」
「大手銀行マンね、気張れよ…ちょいトイレ」
「うん…ごはん片付けるね」
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