59 / 86
9
59
しおりを挟む「そういえばね、公園にケルホイがいたの」
「はぁ…それは合コン参加者?」
ドライブスルーで持ち帰った昼食のハンバーガーにパクつきながら、長岡は記憶の中の奴の面影を探す。
「ううん、ナンパしてたっぽい。歩き回ってたよ」
「凝りねぇな…にしてもアグレッシブだねぇ」
「そういう経験の積み重ねでエッチが上達したんだろうね」
遥は体感済みのそれを思い出しつつ紙パックのミルクをちゅうと啜った。
「…そもそも…上手い下手ってのは…女の方から分かるもんなのか?」
「ん、分かるよ、私が思うのは技能じゃなくて運びの方だけど」
「はこび?」
「うん…展開って言うの?あーしてこーして、次はこーして、みたいな順番とか組み立てがスムーズだと上手いっていうか…慣れてるなって思う」
「そりゃヤリチンだから慣れてんだろ」
「詰まるところそういうこと…でもね、あたふたしながらいっぱいいっぱいになってるのも可愛いと思う」
「ふーん…」
なら俺は該当しねぇかな、そこまで素人じゃねぇし…長岡は口の中ぱんぱんにポテトを詰め込んでは咀嚼を繰り返す。
「直樹は?女の子のどんなとこが可愛いと思う?」
「可愛い…んー…顔」
「違う、仕草とか反応!」
「んー…尽くしてる感じ、一生懸命な感じが見えたらそう思うな…店でもさ、ルーティン化した熟れ感出されると萎えちまうな…事務的な感じ、ハイ次これ、みたいな」
「ふむ…恋人とも慣れたらそうなってくるんじゃないの?この前のリンちゃんみたいに」
それは昨年12月に自宅に呼んで遥とブッキングしてしまったデリヘル嬢のことである。
彼女をリピート指名している長岡はツボも具合も上手いこと把握され、リンへ絶大な信頼を置いているのだ。
「あー、あの子は確かに慣れたな、でも商売女としか見てねぇから心から可愛いとは思わねぇなー…リップサービスで言いはするけどよ」
「ふーん…」
「なに…抱かねぇぞ」
「うん…分かってるぅ……ふー…」
同棲を始めてふた月が過ぎ、遥は長岡に隠していることがあった。
添い寝で安息は得られるし家賃折半で家計は浮くし性処理をすることで褒めてもらえるし、精神の方は満ち足りているのだが、どうにもこのところ体が疼いていけないのだ。
彼女がセックスをしたのはケルホイ氏との昨年秋の一夜が最後で、以来自慰行為はあっても挿入を一切していない。
どうしたって抱いてくれない長岡との生活で我慢強さは鍛えられたものの、バイオリズムによっては急激に「シたい!」という衝動が爆発してしまうことがあるのだ。
なので昨夜の合コンも事と次第によってはホテルへ行ったって構わない、そんな気持ちで臨んでいた。
しかしどうも胡散臭いし遊ばれたくはないしで撤退、あの判断は自分でも正しかったと思っている。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる