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「…ハルカ、目覚まし鳴ってる…」

「ん…んー………おはよ」

「はよ…ねみぃ…」

 実に平和な日常。

 長岡ながおかは心穏やかに目覚めるこの毎日に慣れてしまい、長年連れ添った家族のようにはるかと接するようになっていた。

「ハルカ、谷間見えてる」

「やだ、見ないでよ」

「なら見せてんなよ」

こんなものはラッキースケベにも当たらない。

 ざっくりとしたニットの首元から覗いた遥の白い胸にも興奮せず、長岡は出勤準備を始めた。

「先出るわ、」

「ん、直樹なおきお弁当忘れてる、行ってらっしゃい」

「サンキュー」

 同じおかずを詰めた弁当を持たされて見送られ職場へ走る、なんてリア充のような生活か。

 しかしこれもあとひと月でお終い、出て行かれれば寂しいしつまらなくなるだろう。

 これは決して愛ではなくて情、馬鹿な妹の世話をしているようなそんな感覚だ。

 いつかは手の中から旅立つのだが行き先はしっかり知っておきたい、なんならこちらが指定したい、保護者の気持ちだと長岡はそう分析していた。
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