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しおりを挟む「あ、ナツ、ごめん、泣かないで」
「泣いて、ねぇっ…」
「ごめん、元カレなんかじゃないよ、ウソ、ごめん」
「そう、なのか」
垂れて来た鼻水を啜って、真秋の顔を見上げる。
真秋は済まなそうな表情で、でも少し嬉しそうだった。
「木南とは大学で連むようになって、何となく雰囲気でそうなのかなって感じるようになって。お互いに物理的な距離感を詰めるようになって…でも、相容れなかった」
「なんで?」
「木南も、タチなんだよ。体だけが全てじゃないからそれで上手く行く人もいるだろうけど。僕は自分からグイグイ行きたいタイプでね、木南もそうだった。だから噛み合わないというか…恋愛にはならなかった」
なるほど、木南の強気でのらりくらりな感じは真秋とは合いそうにない。
良くて悪友、似た者同士と言えば真秋は怒るかもしれない。
「そっか」
「2人でハッテン場とか行って出逢い求めたり、親友といえば親友だけど…ちょっと世間的なそれとは種類が違うかも」
「合コンに繰り出す戦友、みたいな?」
「あー、そんな感じなのかも。恋愛にアグレッシブなんだけど、アイツのナンパとかやり方が好きじゃないっていうか…連絡も長らく取ってなくてね、仕事先で会ってビックリしたなぁ…独立はまだ考えてないらしいんだけど、動く時には相談させてって言われたよ」
ならその時はうちに来るのかな、まさか「一緒に経営しよう」なんて言い出さないだろうな。
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