60 / 88
2月・嫁が可愛いので激務も乗り越えられる
46
しおりを挟む1月中旬、本店と近隣店舗において久々の大規模な人事異動が告示され、2月頭から順次運用が始まった。
チーフフロア長の嘉島が西店の副店長へ、守谷が本店の黒物兼チーフフロア長へ就任し、さらにコーナー長の笠置唯も西店へ転勤するなど栄転と昇進が重なる。
嘉島は産休中の法人事業部所長・清里潤の代打・北店店次長の和田とのトレードで北店副店長になっていたのだが、潤の復帰を待たずに転勤が先に決められたため、空いたチーフのポストに守谷が上がることとなった。
おかげで先月末は10日に及ぶ管理職合宿で経営理念から社則、各種処理業務まで諸々のフローを叩き込まれ、帰宅してからも書斎に籠る毎日である。
フロア長になって8年目、チーフに昇進するだけでここまで長期の研修合宿は異例のことだ。
守谷は未来にも話さないが、副店長職への昇進が近いことを何となく察していた。
身に余る重責と上からの期待、疲労とプレッシャーで吐き気を催しながらも、出世への歓びをゾクゾクと感じながら日々を過ごしている。
嘉島が不在になってからレジのフロア長は暫定的に和田が法人所長と兼任、その他の異動もあって新たにPCフロア長に就任したのが西店でフロア長を務める小笠原奈々だった。
彼女は東京出身の34歳、172センチの長身とグラマラスな体型で歩く姿はモデルの様、整った顔は自信に満ちており大人の余裕を感じさせる。
勤続13年目の中堅で、本社が推している女性管理職プロジェクトによって任命され、今後の活躍が期待されているそうだ。
ちなみにだが、守谷が「ナナちゃん」と呼ぶのは特に深い意味は無く、「小笠原フロア長」が呼びにくいからとか親しみを込めてとか、そういったノリらしい。
その点に関しても、未来はもちろん不愉快に思っている。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
110
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる