8 / 45
七話 濡れ衣を晴らすために
しおりを挟む
「リリーさん!もう一曲弾いて~」
「私、英雄の行進がいい!」
「それは昨日歌ったでしょ。今日は違うのがいいよ」
子供たちの元気な声が微笑ましい。
教会兼孤児院、セラス教会にお世話になってから一ヶ月が経とうとしていた。
来た当初は体調を崩してしまい、ベッドで一日を過ごすことが多かったが、昨日までゆっくり休むことができたおかげで、今は元気に動けている。
現在は孤児院の広間にある、古いピアノを子供たちにせがまれて弾いている最中だ。
貴族令嬢の手習い程度に弾ける実力だが、子供たちにとても喜ばれている。
純粋な瞳を向けられると、ピアノを弾く指が弾んでしまう。
「オーウェン、剣の稽古をつけてくれよ!」
「俺は体術がいい!」
「わかった、わかった。仕事が一段落したらな。ほら、水をこぼすなよ」
シャンドリー卿と、男の子二人が水バケツを持って入ってきた。台所に向かっている。
シャンドリー卿の怪我はすっかり良くなったらしく、現在は雑用などを率先して行っているらしい。子供の扱いも上手くて、見かける度に子供たちと楽しく接している様子を見る。
一人の男の子に肩車をしたら、ほとんどの子供に「自分にもやって」とせがまれて、長い時間肩車をさせられていたわ。
最後には「勘弁してくれ~」って、大の字で倒れていた。微笑ましかったわね。
彼は……誰にでも優しい人だ。
昨日、体調が回復し、彼に面会を申し込むと、彼はすぐに私を訪ねてきた。
「お体は大丈夫ですか?」
「何か必要な物はありませんか?」
など、私を気遣うばかりだった。
エドワードと私の問題に巻き込んでしまったことを謝ると「奥様が悪いのではないのだから、謝らないで下さい」と、彼のほうが恐縮していた。
そして……彼もシャンドリー子爵家から除籍されていた。
伯爵家から追い出され、大聖堂へ向かい『二人とも貴族ではないから』と入ることを拒否されたとき、薄々……そうだろうと感じていた。
本当に申し訳ない……
彼は──
「母は子爵家の平民メイドでした。幼い頃は奥様や兄妹たちに『使用人の子』と虐げられ、貴族の生活などしたこともありません。剣術も冒険者ギルドの無料稽古で覚えた程度です。唯一子爵家の名前があって良かったことは、成人前の十二歳のときにローゼンタール伯爵家の騎士団採用試験を特別に受けられたくらいですかね。もちろん、試験を受ける権利を得ただけで、採用試験は実力を認められたからですよ。
本当は……冒険者になりたかったのですが、母に反対されたんです。冒険者はその日暮らしで安定しないし、全て自己責任なので、実力のない冒険者は命を落としたり、体に障害を残すものが多いですからね。まあ……その母も十五を迎える前に他界したので、子爵家にも、伯爵家にも未練はないので気にしないで下さい」
──と、笑って話してくれた。
そして、
「奥様はこれからどうするのですか?」
私のことばかり心配してくるのだった。
「私のことは気にしないで。これからどうするかは……まだ決めていないけど、ローゼンタール伯爵家に戻りたいとは思わないわ」
「離婚を受け入れるということですか?」
「ええ。ただ、離婚を受け入れるんじゃないわ。私が離婚をしたいの」
こんな仕打ちをされて、彼と寄りを戻したいなんて思わないわ。子供を育てる上で、『父親』がいた方が経済的・子供の心情的に良いのはわかる。
でも、あんな父親はいらない。
「この子と二人で生きていくわ」
胸に抱くアリアに優しく微笑むと、アリアはじっと私の顔を見つめる。
「この子を幸せにする。そのためにも、不名誉な濡れ衣を晴らしたい。ただ、どうすれば良いかわからないけど」
我ながら無計画な考えだと、苦笑いが漏れる。
そもそも、王都全体を敵に回しているような状態で、平民になった身で何ができるかしら……
「それなら、力になれると思います」
「え?」
「知り合いに、こういった問題に強い、弁護士の友人がいるんです」
シャンドリー卿の申し出に驚いた。
彼が協力してくれると考えていなかったからだ。
「それは……助かるわ。でも……」
また彼に迷惑をかけてしまう。
「自分も、やられっぱなしは性に合いません」
彼は悪戯っ子のように笑った。
「自分たちをハメたヤツの顔を拝みたいじゃないですか。そんでもって、その鼻っ柱を叩き折りたいです。伯爵家にも、子爵家にも未練はありませんが、慰謝料くらいガッツリもぎ取りたいって思ってます。奥様はどうですか?」
お人好しなイメージが定着していたシャンドリー卿の意外な言葉にあっけにとられたけど、同時に面白くなってしまった。
ギャップかしら?
うん、そうね。
「フフッ」
「あれ……何か変なことをいいましたか?」
「いいえ。そうじゃないの。ただ、面白いなって思って」
「面白い?」
「ええ。シャンドリー卿は寡黙な人だと思っていたし、今回のことではお人好しな一面ばかり見ていたから、『慰謝料をガッツリもぎ取りたい』ってなんだかギャップが大きくて。ふふっ、ごめんなさい」
私がクスクス笑っていると、シャンドリー卿もつられて笑いだした。
「シャンドリー卿が言うように、私も『慰謝料をガッツリもぎ取りたい』わ。お金さえあれば、どこでだって子育てはできると思うの。それこそのどかな田舎にでも行って、空気の良い環境で子育てするのも悪くないわ」
「あー、それはいいですね。のんびり魚釣りをして、取った魚はその場で捌いて塩焼きで食べる。最高ですね」
「まあ、素敵だわ!」
少年のような笑顔を見て、また知らなかったシャンドリー卿の一面を知れて笑顔がこぼれる。
「そのためにも、証拠と仲間を集めないといけませんね。俺の方は弁護士の友人と、王宮騎士団にいる友人、冒険者ギルド長に事情を話して秘密裏に調査をします。奥様も誰か力になってくれる人はいませんか?」
「力になってくれる……実家も秘密裏に調査してると思うけど、表立って接触はできないわ。兄の奥さんの実家、ハーバイン商会なら話を聞いてくれると思うけど、こちらも直接接触するわけにはいかないわ」
「ハーバイン商会とは、すごいところに繋がりがありますね」
「え?」
「ハーバイン商会は、冒険者内で一目置かれている情報屋ですよ」
「そうなの?」
普通の商会だと思ってた……
「いや、裏情報とかじゃないですよ。景気の良い店、今後値が上がりそうな商品、人気が出そうな物、場所など、おそらく細かな統計を取り情報を売っている店です。ハーバイン商会が次に人気が出るって発表した商品は必ず売れるので、その素材を冒険者たちは早めに採取しに行ったりします。ハーバイン商会の情報を知っているか知らないかで、冒険者内の稼ぐ額に大きな差が出るんですよ」
「へぇ~」
確かに、マディヤ姉さんは博識だし、プレゼントに流行する直前だった柑橘系の香水を贈られたことがあったわ。
「友人を通して連絡を取ってみましょう。ハーバイン商会なら良い情報を得られるかもしれません」
「ええ。急いで商会への手紙を書いて渡すわね」
「ありがとうございます」
こうして、私たちは不名誉な濡れ衣を晴らすために動き出すことにした。
その前に、この事態がおさまるまで教会に居させてほしいとシスター・ハンナに話すと、快く承諾してくれた。
その際『お互い貴族籍を抜けているのだから、呼び方を改めた方が良いのではないかしら?』と言われ、それもそうだと思い、私はシャンドリー卿を『オーウェンさん』と呼び、彼は奥様から『リリーシアさん』と呼び方を変えることになった。
かくして、濡れ衣を晴らすために、私たちは動き出したのだった。
「私、英雄の行進がいい!」
「それは昨日歌ったでしょ。今日は違うのがいいよ」
子供たちの元気な声が微笑ましい。
教会兼孤児院、セラス教会にお世話になってから一ヶ月が経とうとしていた。
来た当初は体調を崩してしまい、ベッドで一日を過ごすことが多かったが、昨日までゆっくり休むことができたおかげで、今は元気に動けている。
現在は孤児院の広間にある、古いピアノを子供たちにせがまれて弾いている最中だ。
貴族令嬢の手習い程度に弾ける実力だが、子供たちにとても喜ばれている。
純粋な瞳を向けられると、ピアノを弾く指が弾んでしまう。
「オーウェン、剣の稽古をつけてくれよ!」
「俺は体術がいい!」
「わかった、わかった。仕事が一段落したらな。ほら、水をこぼすなよ」
シャンドリー卿と、男の子二人が水バケツを持って入ってきた。台所に向かっている。
シャンドリー卿の怪我はすっかり良くなったらしく、現在は雑用などを率先して行っているらしい。子供の扱いも上手くて、見かける度に子供たちと楽しく接している様子を見る。
一人の男の子に肩車をしたら、ほとんどの子供に「自分にもやって」とせがまれて、長い時間肩車をさせられていたわ。
最後には「勘弁してくれ~」って、大の字で倒れていた。微笑ましかったわね。
彼は……誰にでも優しい人だ。
昨日、体調が回復し、彼に面会を申し込むと、彼はすぐに私を訪ねてきた。
「お体は大丈夫ですか?」
「何か必要な物はありませんか?」
など、私を気遣うばかりだった。
エドワードと私の問題に巻き込んでしまったことを謝ると「奥様が悪いのではないのだから、謝らないで下さい」と、彼のほうが恐縮していた。
そして……彼もシャンドリー子爵家から除籍されていた。
伯爵家から追い出され、大聖堂へ向かい『二人とも貴族ではないから』と入ることを拒否されたとき、薄々……そうだろうと感じていた。
本当に申し訳ない……
彼は──
「母は子爵家の平民メイドでした。幼い頃は奥様や兄妹たちに『使用人の子』と虐げられ、貴族の生活などしたこともありません。剣術も冒険者ギルドの無料稽古で覚えた程度です。唯一子爵家の名前があって良かったことは、成人前の十二歳のときにローゼンタール伯爵家の騎士団採用試験を特別に受けられたくらいですかね。もちろん、試験を受ける権利を得ただけで、採用試験は実力を認められたからですよ。
本当は……冒険者になりたかったのですが、母に反対されたんです。冒険者はその日暮らしで安定しないし、全て自己責任なので、実力のない冒険者は命を落としたり、体に障害を残すものが多いですからね。まあ……その母も十五を迎える前に他界したので、子爵家にも、伯爵家にも未練はないので気にしないで下さい」
──と、笑って話してくれた。
そして、
「奥様はこれからどうするのですか?」
私のことばかり心配してくるのだった。
「私のことは気にしないで。これからどうするかは……まだ決めていないけど、ローゼンタール伯爵家に戻りたいとは思わないわ」
「離婚を受け入れるということですか?」
「ええ。ただ、離婚を受け入れるんじゃないわ。私が離婚をしたいの」
こんな仕打ちをされて、彼と寄りを戻したいなんて思わないわ。子供を育てる上で、『父親』がいた方が経済的・子供の心情的に良いのはわかる。
でも、あんな父親はいらない。
「この子と二人で生きていくわ」
胸に抱くアリアに優しく微笑むと、アリアはじっと私の顔を見つめる。
「この子を幸せにする。そのためにも、不名誉な濡れ衣を晴らしたい。ただ、どうすれば良いかわからないけど」
我ながら無計画な考えだと、苦笑いが漏れる。
そもそも、王都全体を敵に回しているような状態で、平民になった身で何ができるかしら……
「それなら、力になれると思います」
「え?」
「知り合いに、こういった問題に強い、弁護士の友人がいるんです」
シャンドリー卿の申し出に驚いた。
彼が協力してくれると考えていなかったからだ。
「それは……助かるわ。でも……」
また彼に迷惑をかけてしまう。
「自分も、やられっぱなしは性に合いません」
彼は悪戯っ子のように笑った。
「自分たちをハメたヤツの顔を拝みたいじゃないですか。そんでもって、その鼻っ柱を叩き折りたいです。伯爵家にも、子爵家にも未練はありませんが、慰謝料くらいガッツリもぎ取りたいって思ってます。奥様はどうですか?」
お人好しなイメージが定着していたシャンドリー卿の意外な言葉にあっけにとられたけど、同時に面白くなってしまった。
ギャップかしら?
うん、そうね。
「フフッ」
「あれ……何か変なことをいいましたか?」
「いいえ。そうじゃないの。ただ、面白いなって思って」
「面白い?」
「ええ。シャンドリー卿は寡黙な人だと思っていたし、今回のことではお人好しな一面ばかり見ていたから、『慰謝料をガッツリもぎ取りたい』ってなんだかギャップが大きくて。ふふっ、ごめんなさい」
私がクスクス笑っていると、シャンドリー卿もつられて笑いだした。
「シャンドリー卿が言うように、私も『慰謝料をガッツリもぎ取りたい』わ。お金さえあれば、どこでだって子育てはできると思うの。それこそのどかな田舎にでも行って、空気の良い環境で子育てするのも悪くないわ」
「あー、それはいいですね。のんびり魚釣りをして、取った魚はその場で捌いて塩焼きで食べる。最高ですね」
「まあ、素敵だわ!」
少年のような笑顔を見て、また知らなかったシャンドリー卿の一面を知れて笑顔がこぼれる。
「そのためにも、証拠と仲間を集めないといけませんね。俺の方は弁護士の友人と、王宮騎士団にいる友人、冒険者ギルド長に事情を話して秘密裏に調査をします。奥様も誰か力になってくれる人はいませんか?」
「力になってくれる……実家も秘密裏に調査してると思うけど、表立って接触はできないわ。兄の奥さんの実家、ハーバイン商会なら話を聞いてくれると思うけど、こちらも直接接触するわけにはいかないわ」
「ハーバイン商会とは、すごいところに繋がりがありますね」
「え?」
「ハーバイン商会は、冒険者内で一目置かれている情報屋ですよ」
「そうなの?」
普通の商会だと思ってた……
「いや、裏情報とかじゃないですよ。景気の良い店、今後値が上がりそうな商品、人気が出そうな物、場所など、おそらく細かな統計を取り情報を売っている店です。ハーバイン商会が次に人気が出るって発表した商品は必ず売れるので、その素材を冒険者たちは早めに採取しに行ったりします。ハーバイン商会の情報を知っているか知らないかで、冒険者内の稼ぐ額に大きな差が出るんですよ」
「へぇ~」
確かに、マディヤ姉さんは博識だし、プレゼントに流行する直前だった柑橘系の香水を贈られたことがあったわ。
「友人を通して連絡を取ってみましょう。ハーバイン商会なら良い情報を得られるかもしれません」
「ええ。急いで商会への手紙を書いて渡すわね」
「ありがとうございます」
こうして、私たちは不名誉な濡れ衣を晴らすために動き出すことにした。
その前に、この事態がおさまるまで教会に居させてほしいとシスター・ハンナに話すと、快く承諾してくれた。
その際『お互い貴族籍を抜けているのだから、呼び方を改めた方が良いのではないかしら?』と言われ、それもそうだと思い、私はシャンドリー卿を『オーウェンさん』と呼び、彼は奥様から『リリーシアさん』と呼び方を変えることになった。
かくして、濡れ衣を晴らすために、私たちは動き出したのだった。
2,541
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。
ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?
白雲八鈴
恋愛
我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。
離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?
あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。
私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる