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 築き上げてきたものが、他者の悪意によって瓦解していくとき、人は自分の無力さを思い知るのだ。
 幸せな家庭を築いたはずだった。所詮それが砂上の楼閣であることを、疑いもしないまま。
 確かに笑い合っていたはずなのに。
 確かな愛情を育んでいたはずなのに。
 今はもう家族の顔すら、ノイズに塗れて判然としない。

『今日、午後二十時半ごろ、家屋に強盗が押し入り、金品を盗まれた事件が発生しました。なお、犯人は逃走中とのことで――』

 ザザッ……

 ザザザッ…………


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