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Ep.2 基地から回収された記録(2)

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 隠す理由が無いゆえに、受付の男は即座に口を開いた。

「よくは知らないが、正体不明のゴーストシップが見つかったらしい」

 幽霊船、それは男の興味を引くには十分すぎるほどの言葉だった。

「ゴーストシップだって? なんだよそれは。詳しく聞かせてくれよ」

 これに、受付の男は少し困った顔を見せ、その理由と共に答えた。

「いや、そう言われてもなあ。さっきも言ったとおり、俺もよく知らないんだよ」

 それでも男は食い下がった。

「知ってることだけでいいからさ。教えてくれよ」

 受付の男はしぶしぶといった感じで口を開いた。

「……謎の信号を発信し続けている謎の船がいくつか見つかったんだよ」

 その答えに男の興味はさらに煽られた。

「謎の信号ってのはどういう意味なんだ?」
「言葉通りだよ。救難信号なのかどうかすら分からない、ってことさ。未知の言葉かもしれない。だから宇宙人の船だって言う奴もいる」

 だったらなんで幽霊船なんて呼ばれてるんだ? 清掃員の男が心に浮かんだその疑問をぶつけるよりも早く、受付の男は答えた。

「妙なのは、こっちからの呼びかけにはまったく反応しないってことだ。だからゴーストシップなんて呼ばれてるらしい」

 受付の男は神妙な面持ちでそう言ったが、清掃員の男は対照的な表情をしていた。
 興奮が止まらない、そんな感じであったがゆえに、

「じゃあ、俺はそろそろ時間だから、先に帰らせてもらうぞ」

 付き合うのが億劫になった受付の男は強引に会話を終わらせた。

「ええ、もう帰るのか?」

 清掃員の男は当然のように不満を漏らしたが、

「ちゃんと契約通りに仕事はやったからな」

 受付の男は勤務時間という契約を盾にした。

「でも、まだ交代のやつが来てないぞ?」

 それでも男は食い下がろうとしたが、

「そんなの知らん。そいつが遅刻したのが悪いんだ。俺は帰る」

 受付の男は悪びれもせずに受付の席を立った。
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