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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十七話 地獄の最後尾(36)
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直後、ぼやけた視界の中で――いや、意識がもうろうとしているだけなのか――わからないが、とにかく女が空中で動いているのを感じ取った。
逆立ちのような宙返りで自分のアゴを蹴り上げ、そのまま空中で体を捻って槍を振ろうとしている? そう思えた。
だからフレディは続けて叫んだ。
動け、動け! と、鈍くなった体に向かって叫んだ。
のたうちまわろうとするかのようにフレディはもがいた。
されど脳震盪によって全てが歪んでいる。動けているかどうかすらよくわからない。
直後、
「っ!」
ぼやけた感覚でもわかるほどの衝撃が両手に走った。
だが、
(かる、い?)
その一撃はそう思えた。
突きの連打の時のほうがまだ重かった、そう思えるほど。
そして軌道が変に思えた。
まるで下から叩き上げられたかのよう。
さらに、背中がひっぱられているような感じもする。
(あ……? これって、まさか?)
そしてフレディはようやく気付いた。
自分は水平に放たれたなぎはらいを受け流したのだろう、と。
それが下から叩かれたように感じたのは、自分が背をおもいっきりそらしたからだ。
そして背中がひっぱられているように感じるということは――
(まずいまずいまずい!)
自分は後ろに倒れつつある! それしかありえない!
ふんばって立ち直るのはもう無理だ。
ならば受身! 後方宙返りの要領でやるしかない!
そう叫ぶと同時にフレディは地を蹴った。
だが、フレディの脳機能はまだ安定していなかった。
ゆえに、
(まて、これは……飛びすぎだ!)
フレディの足は加減を間違えた。
真後ろに、地に水平に吹っ飛ぶような勢い。
どうする!? 混乱した意識と感覚の中で再びフレディはもがいた。
とりあえず頭を防御するように両腕を回し、背中から転がって落ちれるように体をひねる。
直後、
「ぐっ!」
フレディの背中に衝撃が走った。
フレディの平衡感覚はいまだ不安定であったが、それが地面では無いだろうことがわかった。
屋台に背中から激突した? そう思った直後に地を蹴ったような音が前方から響いた。
見ると、女は防御魔法を展開しながら距離を取っているのが目に入った。
嵐が来る。回避不能。
どうすればいい? 何が出来る?!
フレディが心の中でそう叫んだ瞬間、「ガリ」という音が左手から響いた。
力んだ指先がひっかいた音。
ぶつかった屋台を無意識のうちに掴んでいたようだ。
瞬間、
(これだ!)
ひらめいたと同時にフレディはその屋台を抱きしめるように掴んだ。
やれるという確信はあった。
爪で引っかいた時の手ごたえからだ。
少し動いた、わずかに揺れた、そう感じた。
ならば持ち上げられる、そう思ったと同時にフレディはそうしていた。
逆立ちのような宙返りで自分のアゴを蹴り上げ、そのまま空中で体を捻って槍を振ろうとしている? そう思えた。
だからフレディは続けて叫んだ。
動け、動け! と、鈍くなった体に向かって叫んだ。
のたうちまわろうとするかのようにフレディはもがいた。
されど脳震盪によって全てが歪んでいる。動けているかどうかすらよくわからない。
直後、
「っ!」
ぼやけた感覚でもわかるほどの衝撃が両手に走った。
だが、
(かる、い?)
その一撃はそう思えた。
突きの連打の時のほうがまだ重かった、そう思えるほど。
そして軌道が変に思えた。
まるで下から叩き上げられたかのよう。
さらに、背中がひっぱられているような感じもする。
(あ……? これって、まさか?)
そしてフレディはようやく気付いた。
自分は水平に放たれたなぎはらいを受け流したのだろう、と。
それが下から叩かれたように感じたのは、自分が背をおもいっきりそらしたからだ。
そして背中がひっぱられているように感じるということは――
(まずいまずいまずい!)
自分は後ろに倒れつつある! それしかありえない!
ふんばって立ち直るのはもう無理だ。
ならば受身! 後方宙返りの要領でやるしかない!
そう叫ぶと同時にフレディは地を蹴った。
だが、フレディの脳機能はまだ安定していなかった。
ゆえに、
(まて、これは……飛びすぎだ!)
フレディの足は加減を間違えた。
真後ろに、地に水平に吹っ飛ぶような勢い。
どうする!? 混乱した意識と感覚の中で再びフレディはもがいた。
とりあえず頭を防御するように両腕を回し、背中から転がって落ちれるように体をひねる。
直後、
「ぐっ!」
フレディの背中に衝撃が走った。
フレディの平衡感覚はいまだ不安定であったが、それが地面では無いだろうことがわかった。
屋台に背中から激突した? そう思った直後に地を蹴ったような音が前方から響いた。
見ると、女は防御魔法を展開しながら距離を取っているのが目に入った。
嵐が来る。回避不能。
どうすればいい? 何が出来る?!
フレディが心の中でそう叫んだ瞬間、「ガリ」という音が左手から響いた。
力んだ指先がひっかいた音。
ぶつかった屋台を無意識のうちに掴んでいたようだ。
瞬間、
(これだ!)
ひらめいたと同時にフレディはその屋台を抱きしめるように掴んだ。
やれるという確信はあった。
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少し動いた、わずかに揺れた、そう感じた。
ならば持ち上げられる、そう思ったと同時にフレディはそうしていた。
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