46 / 545
第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ
第六話 豹と熊(12)
しおりを挟む
「サイラス!」
無茶をするな、という思いを込めてデュランが叫ぶ。
が、
「せぇやぁっ!」
その忠告を無視するかのように、サイラスは再び気勢を響かせながら踏み込んだ。
「っ!」「ぐっ!?」
一筋の剣閃が二つの赤い華を咲かせる。
二つの影はそれぞれに防御の型をとっていたが、それらを容易く打ち破る力強さ。
そして凄まじく速い。振り終わるまで剣筋が見えない。
が、
「……っ!」
動作が停止したように見えるその振り終わりの瞬間、サイラスは斬られた影達と同じように顔を歪めていた。
体の内部で大量の光の粒子を反応させ、強い力を得る。それは単純で強いが、同時に出力を上げすぎれば己の体を痛めるという至極単純な欠点も抱えている。
サイラスの顔はその痛みに歪められていた。
されど、
「破アァッ!」
サイラスはその痛みを振り払うかのようにさらに体を動かした。
サイラスの心はある一つの目的にとらわれていた。固執していた。
それは挟撃の破壊。
挟撃も包囲も同じ。一点を大きく崩せばそこを突破口に出来る。
そのために前へ。
「ゥ雄ォッ!」
敵を切り崩しながらさらに踏み込む。
ただひたすら前へ、前へ。
無茶をするその背中をデュランとフレディが守る。
この時、サイラスは思った。
あの時も、こうしていれば良かったのでは無いか、と。
この二人があの戦いにいれば、結果を変えられたのではないか、と。
ゆえにサイラスは一切振り返ること無く、包囲を崩すためだけに剣を振るい続けられた。
だが、理由はそれだけでは無かった。
デュランは感じ取れていた。
既にサイラスの体が限界を少し超えてしまっていることを。
止まったら二度と動けなくなる、そんな恐怖がサイラスの中にあるのを。
されど、その無茶は遂に一つの成果を生み出した。
挟撃を受けている者達の姿がサイラス達の目に映ったのだ。
合流出来るところまで切り込んできたということ。
だから直後、サイラスはようやく後方の確認をした。
デュランとフレディに襲い掛かっている影達の数は、その密度はまばらに見えた。
なぜなら、今も先頭集団からの援護射撃が続いているからだ。
これならばいける、サイラスはそう思った。だから叫んだ。
「こっちだ!」
その声に導かれるように、兵士達は動き始めた。
二枚の左右の盾が一つの集団になり、移動を開始する。
だが、その動きを黙って影達が見過ごすわけが無かった。
退路を塞ぐように立ちはだかる。
「邪魔だっ!」
それをサイラスが斬り払う。
だが、数においては影達のほうが圧倒的。
いくらサイラスが限界を超えた力を出しているといっても、サイラス一人ですべて払える数では無い。
なので、どうしても足止めされる者達がいる。
その足止めが細かな渋滞を生み、撤退速度に個人差が生じ始める。
ゆえに、集団の形は丸型から伸び、細長い棒状に変化していった。
影達からの妨害を受けているため、盾達が守っていた集団とは合流する気配を見せず、全体の形は二本の線から成るV字型に。
その交わっていた根元部分も間も無く切り離され、部隊は二つに。
そしてこの変化は影達にとって有利に働いてしまった。
救出対象の陣形が棒状に変化してしまったことで、先に包囲を抜け出た先頭集団からの射線が減ってしまったのだ。
影達は棒状に伸びた部隊を盾にするように立ち回っている。
ゆえに、射線をつくるために先頭集団は移動を開始。
だが、当然その移動を別の影達が邪魔しにかかる。
その妨害によって先頭集団は散り散りになり始め、その形は扇形に変化。
妨害を振り切った者達は援護射撃を再開するも、その弾数はまばら。明らかに先よりも火力が少ない。
ゆえに状況は変わらず。
「疾ッ!」
だからサイラスは状況を再び変えるべく、仲間達を射線に対しての障害物に利用している影達に果敢に攻撃を続けていた。
が、直後、
「その覇気と気勢、大将首とお見受けする!」
一人の男の堂々とした声が場に響いた。
射線が減って安全地帯が増えた、その事実は一人の強者を場に踏み込ませる隙となってしまったのだ。
突如サイラスの前に現れ、声を上げ始めたその男は、
「我は熊のニコライ! いざ尋常に勝負!」
名乗りを上げ、サイラスに向かって踏み込んだ。
が、
(なに?!)
サイラスはニコライに対して背を向け、別の影に向かって斬りかかった。
その無防備な背中に爪を食い込ませんと踏み込むが、
「っ!」
デュランの爪とフレディの大盾に阻まれる。
サイラスは守ってくれている二人を一瞥すらせず、ニコライに背を向けたまま前へ。
だからニコライは気付いた。
(我を出来るだけ無視して、味方の救出を優先するつもりか!)
それは正解であり、サイラスは真似しているだけであった。
サイラスは街中で豹の一族にやられたのと同じ戦法をやり返しているだけなのだ。
そしてその選択も正解であった。
目的は味方の撤退の援護であって、強者と戦うことでは無いのだから。
だが、名乗りを上げたのに相手にされないという事実は、やはり怒りを生んだ。
「なめるなぁっ!」
怒りの混じった声をサイラスの背にぶつけるニコライ。
しかしそれでもニコライの前に立ち塞がるのはデュランとフレディのみ。
あくまでもこちらを出来るだけ無視するつもりのようだ。
(ならば!)
無視出来ないようにしてやろう、ニコライはそんな心の声を響かせながら踏み込んだ。
無茶をするな、という思いを込めてデュランが叫ぶ。
が、
「せぇやぁっ!」
その忠告を無視するかのように、サイラスは再び気勢を響かせながら踏み込んだ。
「っ!」「ぐっ!?」
一筋の剣閃が二つの赤い華を咲かせる。
二つの影はそれぞれに防御の型をとっていたが、それらを容易く打ち破る力強さ。
そして凄まじく速い。振り終わるまで剣筋が見えない。
が、
「……っ!」
動作が停止したように見えるその振り終わりの瞬間、サイラスは斬られた影達と同じように顔を歪めていた。
体の内部で大量の光の粒子を反応させ、強い力を得る。それは単純で強いが、同時に出力を上げすぎれば己の体を痛めるという至極単純な欠点も抱えている。
サイラスの顔はその痛みに歪められていた。
されど、
「破アァッ!」
サイラスはその痛みを振り払うかのようにさらに体を動かした。
サイラスの心はある一つの目的にとらわれていた。固執していた。
それは挟撃の破壊。
挟撃も包囲も同じ。一点を大きく崩せばそこを突破口に出来る。
そのために前へ。
「ゥ雄ォッ!」
敵を切り崩しながらさらに踏み込む。
ただひたすら前へ、前へ。
無茶をするその背中をデュランとフレディが守る。
この時、サイラスは思った。
あの時も、こうしていれば良かったのでは無いか、と。
この二人があの戦いにいれば、結果を変えられたのではないか、と。
ゆえにサイラスは一切振り返ること無く、包囲を崩すためだけに剣を振るい続けられた。
だが、理由はそれだけでは無かった。
デュランは感じ取れていた。
既にサイラスの体が限界を少し超えてしまっていることを。
止まったら二度と動けなくなる、そんな恐怖がサイラスの中にあるのを。
されど、その無茶は遂に一つの成果を生み出した。
挟撃を受けている者達の姿がサイラス達の目に映ったのだ。
合流出来るところまで切り込んできたということ。
だから直後、サイラスはようやく後方の確認をした。
デュランとフレディに襲い掛かっている影達の数は、その密度はまばらに見えた。
なぜなら、今も先頭集団からの援護射撃が続いているからだ。
これならばいける、サイラスはそう思った。だから叫んだ。
「こっちだ!」
その声に導かれるように、兵士達は動き始めた。
二枚の左右の盾が一つの集団になり、移動を開始する。
だが、その動きを黙って影達が見過ごすわけが無かった。
退路を塞ぐように立ちはだかる。
「邪魔だっ!」
それをサイラスが斬り払う。
だが、数においては影達のほうが圧倒的。
いくらサイラスが限界を超えた力を出しているといっても、サイラス一人ですべて払える数では無い。
なので、どうしても足止めされる者達がいる。
その足止めが細かな渋滞を生み、撤退速度に個人差が生じ始める。
ゆえに、集団の形は丸型から伸び、細長い棒状に変化していった。
影達からの妨害を受けているため、盾達が守っていた集団とは合流する気配を見せず、全体の形は二本の線から成るV字型に。
その交わっていた根元部分も間も無く切り離され、部隊は二つに。
そしてこの変化は影達にとって有利に働いてしまった。
救出対象の陣形が棒状に変化してしまったことで、先に包囲を抜け出た先頭集団からの射線が減ってしまったのだ。
影達は棒状に伸びた部隊を盾にするように立ち回っている。
ゆえに、射線をつくるために先頭集団は移動を開始。
だが、当然その移動を別の影達が邪魔しにかかる。
その妨害によって先頭集団は散り散りになり始め、その形は扇形に変化。
妨害を振り切った者達は援護射撃を再開するも、その弾数はまばら。明らかに先よりも火力が少ない。
ゆえに状況は変わらず。
「疾ッ!」
だからサイラスは状況を再び変えるべく、仲間達を射線に対しての障害物に利用している影達に果敢に攻撃を続けていた。
が、直後、
「その覇気と気勢、大将首とお見受けする!」
一人の男の堂々とした声が場に響いた。
射線が減って安全地帯が増えた、その事実は一人の強者を場に踏み込ませる隙となってしまったのだ。
突如サイラスの前に現れ、声を上げ始めたその男は、
「我は熊のニコライ! いざ尋常に勝負!」
名乗りを上げ、サイラスに向かって踏み込んだ。
が、
(なに?!)
サイラスはニコライに対して背を向け、別の影に向かって斬りかかった。
その無防備な背中に爪を食い込ませんと踏み込むが、
「っ!」
デュランの爪とフレディの大盾に阻まれる。
サイラスは守ってくれている二人を一瞥すらせず、ニコライに背を向けたまま前へ。
だからニコライは気付いた。
(我を出来るだけ無視して、味方の救出を優先するつもりか!)
それは正解であり、サイラスは真似しているだけであった。
サイラスは街中で豹の一族にやられたのと同じ戦法をやり返しているだけなのだ。
そしてその選択も正解であった。
目的は味方の撤退の援護であって、強者と戦うことでは無いのだから。
だが、名乗りを上げたのに相手にされないという事実は、やはり怒りを生んだ。
「なめるなぁっ!」
怒りの混じった声をサイラスの背にぶつけるニコライ。
しかしそれでもニコライの前に立ち塞がるのはデュランとフレディのみ。
あくまでもこちらを出来るだけ無視するつもりのようだ。
(ならば!)
無視出来ないようにしてやろう、ニコライはそんな心の声を響かせながら踏み込んだ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
ラグナ・リインカーネイション
九条 蓮
ファンタジー
高校二年生の海堂翼は、夏休みに幼馴染と彼女の姉と共に江の島に遊びに行く途中、トラックの事故に巻き込まれてしまい命を落としてしまう。
だが彼は異世界ルナティールに転生し、ロベルト・エルヴェシウスとして生を受け騎士団員として第二の人生を歩んでいた。
やがてロベルトは18歳の誕生日を迎え、父から貰ったプレゼントの力に導かれてこの世界の女神アリシアと出会う。
彼女曰く、自分は邪悪なる者に力を奪われてしまい、このままでは厄災が訪れてしまうとのこと。
そしてアリシアはロベルトに「ラグナ」と呼ばれる力を最期に託し、邪悪なる者から力を取り戻してほしいとお願いして力尽きた。
「邪悪なる者」とは何者か、「厄災」とは何か。
今ここに、ラグナと呼ばれる神の力を持つ転生者たちの、旅路の記録をここに残そう。
現在なろうにおいても掲載中です。
ある程度したら不定期更新に切り替えます。
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。
アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。
だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。
それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。
しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦
*主人公視点完結致しました。
*他者視点準備中です。
*思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる