【完結】偽りの花嫁 〜すり替えられた花嫁は冷血王子から身も心も蕩けるほどに溺愛される〜

葉月

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重なり合う ①

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 僕とアレクが結婚し、ハイネを養子に迎えいれると決めた次の日。
 僕たちは皇帝陛下に報告に向かった。陛下は僕たちの決断を快く承諾してくださり、晴れて僕達は婚約した。 

 いつもは陛下の隣にあった皇后の席はもうなく、皇后の側近がナーシャ様殺害とアレク殺害未遂を白状し、皇后とマティアスは牢獄に閉じ込められ、まもなく裁判にかけられるとのことだった。


 アレクの傷は2ヶ月の安静を言い渡されていたけど、「鍛錬を怠ると体が鈍る」とアレクはすぐに体を鍛え始め、1ヶ月経った頃には傷はほぼ完治し、ハイネに稽古をつけるほどになっていた。

 それと並行して、僕たちの結婚式の準備も行われていった。珍しい食材や珍しい調度品が集められ、各国の王に招待状も贈られる。

 僕とアレクとハイネの婚礼衣装は、宮廷のお針子とティナとの共同で作られ、宮廷の人々と城下の人たちのとの交流ができた。

 僕たちの周りで、たくさんの人たちの輪が広がり、たくさんの笑顔が増えていっていることが嬉しかった。



 そして結婚式当日。

 朝早くから式ははじまり、夜遅くまで開かれていたパーティーが終わると、僕とアレクは途中に寝てしまったハイネを、ベッドまで連れて行きそっと寝かせ部屋を出た。

「きょ、今日の結婚式、凄かったね」
「ああ」
「あんなにたくさんの人が来てくれるなんて、思わなかった」
「そうだな」
「ハイネも朝から張り切ってて、可愛かったし」
「本当に」
「そ、それじゃあ……僕たちも寝よっか」
「……」
 それまで僕の言葉に返事をしてくれていたアレクが、急に黙った。
「アレク?」
 名前を呼んだ途端、身体をを抱き寄せられ口付けされる。

 壁に体をを押しやられ、アレクは大きな手で僕の後頭部をしっかりと押さえ、より深く口付けをする。
 ぬるりと口内に入ってきたアレクの舌が、僕の舌を絡めとる。その一瞬で、体の力が全て抜け切ってしまうような快感。
 誰が通るかわからない廊下。もしかしたらハイネだって起きてくるかもしれない。だが、
「ン……ン、んんっ…」
 甘い声が漏れてしまった。

 何度口付けをされても、頭に霧がかかったように何も考えられなくなってくる。
 上顎を尖らせた舌でくすぐられると、一気に身体に熱が帯びてきた。
 ねだるように舌を突き出すと、アレクは微笑み舌を絡め取ってくれる。

 くちゅりくちゅりと唾液が混ざり合う音が、廊下に響く。
 息もできないほどの深い口付けで、意識が飛びそうになる。そうしてアレクはようやく深い口付けから解放してくれ、ぐったりしている僕を抱き上げ、寝室にかった。
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