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計画 ①
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アレクはあの後ぐっすりと眠ってしまい、朝まで起きなかった。
後からヒューゴ様に聞いた話では、アレクは小さい頃から眠りが浅く、こんなに熟睡している姿を見るのはもう10年ぶりだそうだ。
そういう僕も家族がみんな殺されてしまってから熟睡できなかったけど、アレクが隣にいてくれると懐かしい感じがして、とっても安心して眠ることができた。
そんな話をヒューゴ様にすると、ある提案をされた。それは今日一日、アレクの予定を白紙にして僕と一緒に過ごせるようにしてくれるとのこと。
なんて素敵な提案なんだろう!そこで僕は『本当のアレクを知ってもらおう』作戦を決行することにした。
「本当に城下に行くのか?」
昼食を食べた後、僕とアレクはいつも乗る豪華な馬車ではなく、貴族が一般的によく使っている馬車に乗り込み、城下に向かった。
「そうだよ。行きたいところがあるんだ」
「それならクロエと行けばいいんじゃないのか?」
僕はアレクとのお出かけは楽しみなのに、アレクはそうでもなさそう。
「僕はアレクと行きたいの。アレクは僕と行きたくないの?」
「そりゃ行きたいけど、俺といたら街の人は怖がって、誰も話かけてきてくれないぞ」
「みんながアレクのことを怖がっているのは、本当のアレクを知らないから。でも今日、本当のアレクを知ってもらう。だから宮殿に帰る頃には、街の人は僕みたいに、みんなアレクのことが大好きになるよ」
力強く言ったのに、やっぱりアレクは不安そう。
「人が持つ印象なんて、そんなすぐに変わるものじゃない」
やっぱりアレクはあの噂で心を痛めている。
「それをなんとかするのが、側室の仕事だよ」
僕は力を込めて言った。
これは僕の任務だ。そしてこの任務には『計画』と『自然さ』が必要とされる。
今日、僕はアレクのために人肌脱ぐぞ!
後からヒューゴ様に聞いた話では、アレクは小さい頃から眠りが浅く、こんなに熟睡している姿を見るのはもう10年ぶりだそうだ。
そういう僕も家族がみんな殺されてしまってから熟睡できなかったけど、アレクが隣にいてくれると懐かしい感じがして、とっても安心して眠ることができた。
そんな話をヒューゴ様にすると、ある提案をされた。それは今日一日、アレクの予定を白紙にして僕と一緒に過ごせるようにしてくれるとのこと。
なんて素敵な提案なんだろう!そこで僕は『本当のアレクを知ってもらおう』作戦を決行することにした。
「本当に城下に行くのか?」
昼食を食べた後、僕とアレクはいつも乗る豪華な馬車ではなく、貴族が一般的によく使っている馬車に乗り込み、城下に向かった。
「そうだよ。行きたいところがあるんだ」
「それならクロエと行けばいいんじゃないのか?」
僕はアレクとのお出かけは楽しみなのに、アレクはそうでもなさそう。
「僕はアレクと行きたいの。アレクは僕と行きたくないの?」
「そりゃ行きたいけど、俺といたら街の人は怖がって、誰も話かけてきてくれないぞ」
「みんながアレクのことを怖がっているのは、本当のアレクを知らないから。でも今日、本当のアレクを知ってもらう。だから宮殿に帰る頃には、街の人は僕みたいに、みんなアレクのことが大好きになるよ」
力強く言ったのに、やっぱりアレクは不安そう。
「人が持つ印象なんて、そんなすぐに変わるものじゃない」
やっぱりアレクはあの噂で心を痛めている。
「それをなんとかするのが、側室の仕事だよ」
僕は力を込めて言った。
これは僕の任務だ。そしてこの任務には『計画』と『自然さ』が必要とされる。
今日、僕はアレクのために人肌脱ぐぞ!
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