【完結】偽りの花嫁 〜すり替えられた花嫁は冷血王子から身も心も蕩けるほどに溺愛される〜

葉月

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決意 ②

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「そ、そんなのダメだよ。殿下からお許しをもらっていないうえに、殿下がいない間に園庭には出歩くなんて、もってのほかだよ」
「いろいろなことを考えると、普通ならそうですよね。でも今日は殿下もいらっしゃらないので、黙っていたら大丈夫ですよ」
 周りに僕しかいないのに周りの様子を伺い、小声で話す。

「それにヒューゴ様に護衛を頼んでいますので、危ないめにもあいません」
 そういいながら、クロエは廊下にいたであろうヒューゴ様を部屋の中に引っ張り入れた。

「ね、ヒューゴ様、いいですよね」
 満面の笑みを浮かべながら、クロエがヒューゴ様を見上げる。
「……。今回だけだぞ」
 ヒューゴ様は大きなため息をつく。
「ほら、最強の護衛がつくのです。今が好機です!それにアフタヌーンセットもご用意しています。花々に囲まれながらのティータイム。素敵ですよ。ね、ユベール様、いきましょうって」
 クロエが僕の両手を掴み、ブンブンと上下に振る。

 行きたい。でも本当にいいのかな?
 でもまた誰かに迷惑をかけたりしないかな……?

 いつも冷静で的確な判断をされるヒューゴ様の様子が知りたくて、ちらりとヒューゴ様を見る。
「私も以前からユベール様には園庭で、季節を感じて欲しいと思っていたんです。私が護衛いたしますので、ご安心ください」
 あのヒューゴ様がいってくださっている。
「本当に行ってもいいんですか?」
「ええ、もちろん」
 ヒューゴ様がいうと、
「そうと決まれば出発です!」
 僕はクロエに手を引かれながらも、閉ざされ続けていた部屋のドアを開けた。
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