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トリスタン11
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トリスタン11
それから、ポーリーンと毎日のように王都を歩き回った。
ポーリーンは、始終楽しそうにしていて、王立学園に行きたいと思わないのか少しだけ気になった。
「王立学園?行かないよ。だって、こういうところはたまに行くからいいんでしょ?」
やけにあっさりと「行かない」と言い出した。
後からサナから話を聞くと、カフェフルールで働いていた時に、何人もの男に口説かれて辟易としていたようだ。
「ところで、なんでこのペンダントはいつもと違う色なの?」
ポーリーンの質問に、いつもとは違う色のプレゼントだったから戸惑わせてしまった事に気がつく。
「これは、その、僕とポーリーンの瞳の色を混ぜた色なんだ」
「なるほど」
僕が質問に答えるとポーリーンは、「なーんだ」と、声を出して笑い出した。
その笑顔には屈託がなく、僕はどきりとした。
「私ったら、本当に早とちりで嫌になっちゃうわ。トリスタンが浮気なんてするはずがないのに」
ポーリーンがそう言ってしばらく声を出して笑い続けた。
「……僕の態度が悪かったから。そう思われても仕方ない。本当に申し訳なかった」
ポーリーンの手に自分の手を重ね合わせると、あからさまにサナが咳払いした。
「あの、さっさとケーキ食べて消えてくれますか?」
今日は、ポーリーンが行きたいと言っていたカフェフルールのケーキを食べに来ていた。
ようやくポーリーンの願いを叶える事ができて、僕は安堵した。
そして、卒業パーティーの日。
「……綺麗だよ。凄く、誰よりも」
「あ、ありがとう」
もっと、上手に褒めたいのに言葉が出てこない。
それなのに、ポーリーンは嬉しそうに微笑んだ。
「はいはい。ご馳走様です。さっさと行ってください!」
サナが僕のお尻を蹴ろうとして、慌ててパーティー会場へと向かった。
会場に到着すると、紫色の瞳をしたあの女子生徒が僕に声をかけてきた。
「トリスタン様!」
「あ、君は」
名前を思い出そうとして、聞いていない事に気がついた。
「あの、この方は!?私が」
「彼女が僕の婚約者のポーリーンなんだ。凄く可愛いだろう?」
慌てた様子の彼女に、僕は、ちゃんとポーリーンを紹介した。
あまり関わる事はないが、もしかしたら、どこかで縁ができるかもしれない。
「えっと、」
彼女はなぜか面食らった顔をしてした。
そうだ。ついでに、ちゃんと名前を聞こう。
「あ、今までありがとう。ところで、名前は?その、一度もお互い名前を名乗ってなかったよね」
彼女は少しだけ固まって、そして、ゆっくりと口を開いた。
「わ、私は……」
名前を聞きながら、僕は彼女の首に彼女の瞳と同じ色のペンダントがある事に気がついた。
やっぱり。都会の人はオシャレだと僕は思った。
次はポーリーンの瞳と同じ色のブローチでもプレゼントでもしよう。
「そのペンダント。君の瞳と同じ色でよく似合ってるね。今まで本当にありがとう!」
僕が彼女にお礼を言うと、「え、あ、はい」と、呆然とした様子で返事をしていた。
彼女と離れて、ポーリーンがずっと黙り込んでいる事に僕は気がついた。
もしかして、目移りしたと思わせたのかもしれない。
「あ、ポーリーン。あの人は、学園で毎日挨拶してくれた人なんだ。あの、別にやましい事なんてないんだよ」
僕が、何とも思っていない事を説明すると、ポーリーンは、しばらく唖然とした顔をして固まった。
「うん、うん。わかってるよ」
ポーリーンが、優しく微笑んだ。
「でもね。貴方はもう少し周囲を見た方がいいと思うわよ。なんだか、少し可哀想ね」
ポーリーンが何を言っているのかわからなくて、僕は首を傾げる。
「……」
それよりも。僕はトラヴィス達にポーリーンを紹介したくて、周囲を見渡した。
楽しいパーティーの時間はあっという間に終わった。
僕の態度でポーリーンに浮気をされていると勘違いさせてしまったけれど、ちゃんと謝って許してもらえて良かった。
これからは、そんな不安をさせないように気をつけて行動したい。
これからは、きっとずっと一緒だから、何かあってもお互いに腹を割って話していきたい。
~~~~
お読みくださりありがとうございます
正直、もう一話追加したい気持ちなんですけど
書く内容がないので、ここで完結させます
トリスタンは、最後まで紫の瞳の彼女の存在に気がつきませんでした
好きな人に、名前すら認知されてなかったって結構キツイですよね
愛情の反対は無関心と言いますけどその通りだと思います
感想、エールもらえるととても嬉しいです
それから、ポーリーンと毎日のように王都を歩き回った。
ポーリーンは、始終楽しそうにしていて、王立学園に行きたいと思わないのか少しだけ気になった。
「王立学園?行かないよ。だって、こういうところはたまに行くからいいんでしょ?」
やけにあっさりと「行かない」と言い出した。
後からサナから話を聞くと、カフェフルールで働いていた時に、何人もの男に口説かれて辟易としていたようだ。
「ところで、なんでこのペンダントはいつもと違う色なの?」
ポーリーンの質問に、いつもとは違う色のプレゼントだったから戸惑わせてしまった事に気がつく。
「これは、その、僕とポーリーンの瞳の色を混ぜた色なんだ」
「なるほど」
僕が質問に答えるとポーリーンは、「なーんだ」と、声を出して笑い出した。
その笑顔には屈託がなく、僕はどきりとした。
「私ったら、本当に早とちりで嫌になっちゃうわ。トリスタンが浮気なんてするはずがないのに」
ポーリーンがそう言ってしばらく声を出して笑い続けた。
「……僕の態度が悪かったから。そう思われても仕方ない。本当に申し訳なかった」
ポーリーンの手に自分の手を重ね合わせると、あからさまにサナが咳払いした。
「あの、さっさとケーキ食べて消えてくれますか?」
今日は、ポーリーンが行きたいと言っていたカフェフルールのケーキを食べに来ていた。
ようやくポーリーンの願いを叶える事ができて、僕は安堵した。
そして、卒業パーティーの日。
「……綺麗だよ。凄く、誰よりも」
「あ、ありがとう」
もっと、上手に褒めたいのに言葉が出てこない。
それなのに、ポーリーンは嬉しそうに微笑んだ。
「はいはい。ご馳走様です。さっさと行ってください!」
サナが僕のお尻を蹴ろうとして、慌ててパーティー会場へと向かった。
会場に到着すると、紫色の瞳をしたあの女子生徒が僕に声をかけてきた。
「トリスタン様!」
「あ、君は」
名前を思い出そうとして、聞いていない事に気がついた。
「あの、この方は!?私が」
「彼女が僕の婚約者のポーリーンなんだ。凄く可愛いだろう?」
慌てた様子の彼女に、僕は、ちゃんとポーリーンを紹介した。
あまり関わる事はないが、もしかしたら、どこかで縁ができるかもしれない。
「えっと、」
彼女はなぜか面食らった顔をしてした。
そうだ。ついでに、ちゃんと名前を聞こう。
「あ、今までありがとう。ところで、名前は?その、一度もお互い名前を名乗ってなかったよね」
彼女は少しだけ固まって、そして、ゆっくりと口を開いた。
「わ、私は……」
名前を聞きながら、僕は彼女の首に彼女の瞳と同じ色のペンダントがある事に気がついた。
やっぱり。都会の人はオシャレだと僕は思った。
次はポーリーンの瞳と同じ色のブローチでもプレゼントでもしよう。
「そのペンダント。君の瞳と同じ色でよく似合ってるね。今まで本当にありがとう!」
僕が彼女にお礼を言うと、「え、あ、はい」と、呆然とした様子で返事をしていた。
彼女と離れて、ポーリーンがずっと黙り込んでいる事に僕は気がついた。
もしかして、目移りしたと思わせたのかもしれない。
「あ、ポーリーン。あの人は、学園で毎日挨拶してくれた人なんだ。あの、別にやましい事なんてないんだよ」
僕が、何とも思っていない事を説明すると、ポーリーンは、しばらく唖然とした顔をして固まった。
「うん、うん。わかってるよ」
ポーリーンが、優しく微笑んだ。
「でもね。貴方はもう少し周囲を見た方がいいと思うわよ。なんだか、少し可哀想ね」
ポーリーンが何を言っているのかわからなくて、僕は首を傾げる。
「……」
それよりも。僕はトラヴィス達にポーリーンを紹介したくて、周囲を見渡した。
楽しいパーティーの時間はあっという間に終わった。
僕の態度でポーリーンに浮気をされていると勘違いさせてしまったけれど、ちゃんと謝って許してもらえて良かった。
これからは、そんな不安をさせないように気をつけて行動したい。
これからは、きっとずっと一緒だから、何かあってもお互いに腹を割って話していきたい。
~~~~
お読みくださりありがとうございます
正直、もう一話追加したい気持ちなんですけど
書く内容がないので、ここで完結させます
トリスタンは、最後まで紫の瞳の彼女の存在に気がつきませんでした
好きな人に、名前すら認知されてなかったって結構キツイですよね
愛情の反対は無関心と言いますけどその通りだと思います
感想、エールもらえるととても嬉しいです
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