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第四章
ハサミ女 9
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白昼夢の広間を出て、次に案内されたのは、天井が見えない古い蔵のような場所だった。上から下までびっしりと、古びた大判の本が詰まっている。並んでいるのは本ばかりなのに図書館というよりかは蔵のように感じたのは、明かりが薄暗いせいだろう。
「ここは?」
「ここは《呪文書の蔵》。白昼夢の広間の延長線上にある部屋で、九宇時家が代々管理している。九宇時の人間の許可があれば、他の退魔屋も入る事が出来る」
「これも夢って事……?」
「そう、夢。ただし今度は持ち帰りが可能」
持ち帰り? 一体どういう意味だろう。
「次の課題は、武器の調達」
「武器……。でもほら、包帯があるでしょ、あの、変身したあとの」
「包帯では祓いが出来ない。我留羅をビデオにするのは危険過ぎるしね。……そうだ、変身後の名前も決めておかないと。本名を我留羅に知られると、それを逆手に取られて呪詛かけられる事もあり得るからね」
退魔屋をやるわけじゃないけどね、と那美は付け加える。
「ここにある本は皆、呪文を唱えるだけで発動出来る呪文書ばかり。あらゆる国の伝説や神話を元に、歴代の退魔屋や魔術師たちが、その効能を比較的簡単に扱えるように開発したものなの。《実体なき術式の本》って呼ばれていて、ここで本を一読すると、その術者の精神に術が登録され、使う事が出来るようになる」
「アプリみたいな感じ?」
「そう。まさしくそんな感じ。アプリだから、自分の中に入れればその分容量を食う。同じ人間がいくつも術をインストールする事は出来ないし、術と術者の相性によっては本を読む事さえ出来ない」
言いながら、那美はおもむろに一冊の本を手に取り、ぱらぱらとページをめくっていく。
「例えば、これは稲妻の書。名前の通り、唱えれば稲妻を発生させる事ができる。作者は北欧の魔術師、ルーンマスター。本来はルーン文字が必要な魔術を短い呪文で行使出来るようにしてある。……読んだ。見ていて」
本を閉じ、那美は右手の中指と親指をぎゅっと押し付け合わせて、軽く目を閉じる。
「輝け!」
パチン! と指が鳴り、打ち合わせた指から稲妻が迸る。だが想像していたよりも、音は小さく、閃光もそれほど眩くはない。さながらテレビの音量を大きめにしていた程度の迫力だ。
「こんな感じ。まあでも、これは術と私の相性が悪い。インストールしたままだと、私自身の魔力の循環が悪くなるし、術も十全な効果を発揮できない。なので、この術は本の中に返しておく」
むん、と那美が本を持つ手に力を込めると、ぎゅるん、というような音がして本の中に、エネルギーのようなものが戻った。
「ここは?」
「ここは《呪文書の蔵》。白昼夢の広間の延長線上にある部屋で、九宇時家が代々管理している。九宇時の人間の許可があれば、他の退魔屋も入る事が出来る」
「これも夢って事……?」
「そう、夢。ただし今度は持ち帰りが可能」
持ち帰り? 一体どういう意味だろう。
「次の課題は、武器の調達」
「武器……。でもほら、包帯があるでしょ、あの、変身したあとの」
「包帯では祓いが出来ない。我留羅をビデオにするのは危険過ぎるしね。……そうだ、変身後の名前も決めておかないと。本名を我留羅に知られると、それを逆手に取られて呪詛かけられる事もあり得るからね」
退魔屋をやるわけじゃないけどね、と那美は付け加える。
「ここにある本は皆、呪文を唱えるだけで発動出来る呪文書ばかり。あらゆる国の伝説や神話を元に、歴代の退魔屋や魔術師たちが、その効能を比較的簡単に扱えるように開発したものなの。《実体なき術式の本》って呼ばれていて、ここで本を一読すると、その術者の精神に術が登録され、使う事が出来るようになる」
「アプリみたいな感じ?」
「そう。まさしくそんな感じ。アプリだから、自分の中に入れればその分容量を食う。同じ人間がいくつも術をインストールする事は出来ないし、術と術者の相性によっては本を読む事さえ出来ない」
言いながら、那美はおもむろに一冊の本を手に取り、ぱらぱらとページをめくっていく。
「例えば、これは稲妻の書。名前の通り、唱えれば稲妻を発生させる事ができる。作者は北欧の魔術師、ルーンマスター。本来はルーン文字が必要な魔術を短い呪文で行使出来るようにしてある。……読んだ。見ていて」
本を閉じ、那美は右手の中指と親指をぎゅっと押し付け合わせて、軽く目を閉じる。
「輝け!」
パチン! と指が鳴り、打ち合わせた指から稲妻が迸る。だが想像していたよりも、音は小さく、閃光もそれほど眩くはない。さながらテレビの音量を大きめにしていた程度の迫力だ。
「こんな感じ。まあでも、これは術と私の相性が悪い。インストールしたままだと、私自身の魔力の循環が悪くなるし、術も十全な効果を発揮できない。なので、この術は本の中に返しておく」
むん、と那美が本を持つ手に力を込めると、ぎゅるん、というような音がして本の中に、エネルギーのようなものが戻った。
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