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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
怠惰の魔王・フェネクシー
しおりを挟むゴキブリは既の所で鋭い斬撃を左右に交わしながら
「暴力反対! LOVE & PEACE!!」
と言うと碧の姿に変身した。
「お、お兄ちゃん、お兄ちゃん、会いたっかよ!・・・・・・・な分けないだろう!このゴキが!
お前は許さない!!お兄ちゃんの姿で私を惑わすなんて、絶対許さない!!」
と言うとタナの剣を振り回すのであったが先ほどと比べてキレがなかった。
偽物とはいえ兄を斬り捨てるのを躊躇のであった。
「待て、待て、ワシはそなたが喜ぶと思って、この姿に変身したのだ・・・・・だから、待て、待つのだ」
「あ~~~こいつはぶった斬りたい!!」
と茜は剣を振り回しフェネクシーに近づくのであった。
「わ、わ、悪かった。ワシが調子に乗りすぎたようだ」
「私たちの世界には『ゴメンで済めば警察はいらない』と言う格言があるのよ!!」
「待て、待つのじゃ。警察は知らないが、とにかく待つのじゃ!! ワシの話を聞け」
「とりあえずこの魔王の言い訳を聞いてみたら。茜」
「じゃ、魔王、正座!!」
「はい」
としょんぼりしながら碧の姿のまま正座をする魔王・フェネクシーだった。
「お前、お兄ちゃんの姿、禁止。本来の姿に戻りなさいよ!
何故、お兄ちゃんの姿に正確に変身できたのよ!! 不愉快だわ!」
「それはワシのスキルなのじゃ。
相手の嫌がるもの、見たいもの、不愉快なもの、好ましいもの、と相手の潜在意識を読み取り変身したのじゃよ」」
というとフェネクシーは近世の王様が着る様な豪勢なローブを着たナマケモノの姿になった。
「えっ! あなた、ナマケモノなの?」
「まぁ、これがワシ本来の姿だな」
「ナマケモノが魔王になったの?」
「いや、ワシは悪魔じゃ。ナマケモノがワシに似ているのじゃ」
「ブラドーさんが『怠け者』と言っていたけど・・・・・・
『ナマケモノ』と言うオチなのかな?
ねぇ、そういうオチなのかな! フェネクシーさん!!
この世知辛い世の中、そういうのイラないんですけどね~」
と怒気を発しながらタナの剣の柄の部分で頭をグリグリする茜であった。
「痛い、痛い!
いや、ワシはそういうわけじゃないんだが・・・・・
文句はブラドーに言ってくれ!お主らブラドーにあったのか?」
と話題を変えるフェネクシーだった。
「ブラドーは元気にしておったか?」
「ヒルの魔王を倒してナイフ作っていたわよ」
「昔からあいつは自由人だからな。 でワシになんか用か?」
「ウインレルの王様からあんたをプスっと殺ちゃってって頼まれたのだけど」
「な、なんと!人間は恐ろしいの~ ワシがなんか悪いことをしたのか?
ワシはここで、ず~~~~~~~っと眠っているだけじゃろ。
それでも殺されなくっちゃならんのか?」
「魔王だから人類に災いを成すということで」
「お主、それは横暴だと思わないか? ワシは何もしていないのじゃぞ。
この渓谷の奥は魔族や亜人たちが沢山、住んでおるのじゃ。
人間も魔族もこの渓谷は簡単には越えられないようにワシの結界が施されているんじゃぞ。
だから人類と魔族の争いが激化しないのじゃ。
感謝されども恨まれるようなことはしてないぞ。
この渓谷が無ければ魔族は人類を滅ぼしに侵略を開始するぞ」
「あなたは良い魔王なの?」
「何が良くて何が悪いか分からないが、これでも人類を守っている魔王だと思うぞ」
「なんで人類を守るのよ! あんた悪魔でしょ!?」
「悪魔が生きていくには人間が必要なのじゃよ。
人類がこれ以上減ったらワシら悪魔も非常に困るのじゃ。
ワシは人間の負の感情が大好物なのでな」
「負の感情って何よ!」
「負の感情とは、恐怖や絶望、失望、悲しみ、嫌悪感などじゃ」
「嫌な魔王ねぇ~ やっぱりプスっと殺ちゃった方が人類のため何じゃない?」
「だからそういう短絡的な考え方は良くないと申しておるじゃろうが。
ワシがラスビア渓谷に結界を掛けているから魔族が人間界へ行きにくいのじゃぞ。
ワシが居なくなれば野心のある魔族は大挙して人間界へ押し寄せるのじゃぞ。それでも良いのか?」
「悪魔が一番性質が悪いように思うのだけど」
「悪魔も多くいるから人間に害をなすような者もいる。が、そういう悪魔は極少数だ。
魔族は悪魔以外にも沢山いるし、亜人種の中でも人類に仇をなす者も多いのじゃぞ」
「ちょっと魔王さん」
加奈が話に割り込んでくる。
「人間界の方に沢山、魔王がいるのはどうして?」
「それは、魔族界出身ではなく人間界で生まれた魔王もいるのじゃよ。
精霊が魔王化したイフリートや獣やムシなどの場合もあるな。
人間が魔王化する場合もあるのでな。リッチの魔王なんぞ殆ど人間が禁忌を犯してしまった場合じゃな」
「ブラドーさんのような魔王はどうなの?」
「ブラドーのように魔族界出身の者もいるのじゃが、あやつレベルの高位の魔王は結界なんて効かないのじゃよ。
平気で素通りしていくのでな。
が高位の魔王ほど人間との対立は望まない」
「ブラドーさんが言っていたけどあなたは最強の魔王と言うことだけど世界征服とか考えていないの?」
と加奈が聞くと。
「世界征服をしてどうするのじゃ?その後、どうやって統治していくのじゃ?
征服より統治することのほうが遥かに難しいのじゃぞ。
民を飢えさせてはいけない。
生活水準が落ちれば民衆は文句ばかり言う。
少しでもワシが隙を見せたらクーデターを起こす魔族もいるだろう。
低位の魔族は人間を憎しみ、人間は亜人たちを奴隷にしている。
そんな魔族、亜人と人類をどうやって融和させるのじゃ?
ワシはそんな面倒な事は願い下げじゃ。
『怠惰の魔王』と呼ばれているワシに汗水垂らして働けと言うのか?」
「人類なんか皆殺しにしちゃうんでしょ」
「そんな事するものか!そんな事をする者がいたらワシが許さん。
ワシは人間の負の感情を喰らって生きているのじゃ!!
人間がいなくなって一番困るのはワシなのじゃ」
「ごめんなさい。フェネクシー。あなたも人類の敵でないのね」
茜が言うと。
「勿論。ワシも人類との共存を望んでいるのじゃ」
というとフェネクシーは優しく微笑んだ。
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