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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!

ラスビア渓谷の館

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加奈の怪我は詩織のヒールのおかげで大事には至らず、歩くことも問題なく一行は渓谷の奥へ進むのであった。
しばらく進むと狼のモンスターの群れに出くわした。
茜はマシンガンを取り出し炸裂弾モードで群れに向かって撃つ

ズダダダダン ダダン
ズダダダダン ダダン

と渓谷に銃声が響き渡り命中した狼は破裂し、あっという間に殆どの狼は掃討された。
敵わないと察した数匹だけが尻尾を巻いて逃げ出すのであった。

「茜、容赦ないわね」
千代が言う。

「もう、手加減なんかしないわよ。行く手を遮る者は一掃あるのみ!」

「茜ちゃん、何でも倒しちゃうのはどうかと思うの。ある程度は選別はしよう」
と詩織に釘を刺された。

渓谷の奥へ奥へと進むと川の真ん中に小高い丘があり洋館がたっているではないか。

「あれだよね。どう見てもあれしか無いわよね」
と茜が言うと。

「だよね。あれ以外ありえないわね」
と加奈が反応する。

ウインレルから派遣された騎士も
「あの洋館で間違いありません」
と。

「どうしましょうか?パッと見たところ川の中央へ繋がる橋は無いのでいかがしますか?」
アルファが聞いてくる。

「あの洋館の主は空を飛べるということよね。私が一人で行ってこようと思うのだけど」

「茜一人じゃ、心配よね。私がついて行くわ」

「加奈、怪我、大丈夫?」

茜は内心、回復しているとはいえ怪我を負ったばかりの加奈を連れて行くのを躊躇うのであった。

「もう完全に回復しているから問題ないわよ。大丈夫!!
 話し合いになったら茜一人じゃ纏まる話も纏まらないでしょ」

「交渉が決裂したらプスッと! 行く手を遮る者は始末するのみ!!」

「あんたは何時から世紀末覇者になったのよ。いいから私を連れて行きなさい!!」

このときアルファを連れて行くと言うことも考えたのだがウインレル国の問題である以上、直接アルファが交渉に望む事は政治的にマズイと言う判断を加奈はした。

「ほら、茜!行くわよ! 早く!!」

「では早速、行ってきまーす」

と言うと飛空魔法を使い加奈を抱え洋館まで飛んでいった。




洋館に着くと

トントン
「ごめんくださ~~い」
と茜は扉をノックする。

トントントン

「悪魔の魔王さん、いないんですか~~」

トントントントン

「魔王さんは留守ですか?」

反応は無い。

ドンドン

ドアのたたき方も徐々に荒くなっていく。

「魔王さ~~ん、いないの!! 返事が無いようなら蹴破っちゃいますよ」

ドガーン

と言い終わらないうちにドアを蹴破った。

「おじゃまし~~す」

「茜、あんたね~・・・・・普通はドアノブを捻るでしょ!」
と顔を覆う加奈であった。

「返事が無いんだもん。 入るわよ!加奈!」

と洋館の中へ入る。

「なんかカビ臭いわね。換気くらいちゃんとしなさいよ」

「ホント、カビ臭いわね。埃も溜まっているようだし。茜、掃除魔法とか無いの?」

「無いわよ、そんな便利な魔法」

「使えないわね~~」
と茜に文句を言いながら館の奥へ奥へ入っていった。
すると館の奥に巨大な扉があった。

「あ~~~、ここね」
と言うと

コンコン

「入りますよ~~~」

ギギーーー

「こんにちは~ 異世界から来た白田 茜とマネージャーの雨宮 加奈が来ましたよ~」
部屋の中を見回すと奥に石で作りの棺が置いてあった。

「何? この魔王も吸血鬼なの?それともマミー?」

石棺に近づくと

ギギギリギリ

上蓋がゆっくりと開く。
茜は左手で加奈を庇うように後に下がらせ右手はタナの剣に手をかけた。

「誰だ、ワシの眠りを妨げる者は!」

ゴトン!

上蓋が地面に落ち棺の中から黒いモノが立ち上がった。

「うぎゃーーーーー ゴキ!! ゴキよーーー!!」

茜はパニックになりタナの剣を背中から取り出しゴキブリの頭を縦に斬り付けた。
ゴキブリの頭の部分を真っ二つに切裂いた。

「ウガーーー、痛いではないか!!
 昨今の女子オナゴは荒っぽいのー」
口の部分がウニョウニョと動く。

「キモーーーしゃべるな、下等生物!!キモーーー!!」

「う~~ん、美味、美味。そなたの嫌悪感は格別な味わいじゃの」

「しゃべるなーーー!」
と今度は水平にタナの剣をなぎ払う。
ゴキブリは咄嗟に避けたため腹の部分が切られただけで真っ二つにならずに済んだ。

「おい、やめろ。死んでしまうではないか!」

「しゃべるな!! 殺そうとしているのよ!!」

女子おなご、ちょっと待て!ワシが何か悪い事をしたか?そなたに斬られる謂れは無いぞ」

「ゴキは滅殺するのみ!!」

「ゴキブリにも人権があると思うが」

「無い!! そんなものある分けない!!」

と斬りかかる茜だがゴキブリはギリギリのところでかわすのであった。

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