104 / 304
第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
出発
しおりを挟むイフリート討伐の日がやって来た。
茜を初め召喚者10人。
アルファを筆頭にアルファ直轄の騎士たち100名で討伐部隊が組織された。
討伐部隊の雄姿を見ようと多くの者が見送りに集まった。
その中にはグレーコ2世、宰相マストンは勿論、第二王子のベルファもいた。
「可愛い~~ お姉さん、かまって上げたくなっちゃう」
「ショタコン、キモ~~~」
「煩いわね。ブラコンに言われたくは無いわ!!」
「ショータはいいのね。ベルファ王子に鞍替えするのね、この尻軽女は」
「将太君は別よ!!」
茜と理紗の口げんかをしているとベルファ王子がアルファの元へ寄ってきて。
「兄上、お気をつけて。あまり無理をなさらないでください。
兄上にもしものことがあったら、この国は大変な事に成ります。
けして、危険な事はしないでください。
旅の無事をお祈りしています」
ベルファは14歳になったばかりなのだが理紗がキャーキャー言うのも分かるような可愛い美少年だった。
兄のアルファは武門に優れ、弟ベルファは学問に優れており、ベルファは兄が王位に付いたとき影から支えるのが夢なのだ。
「ベルファ、私に何かあってもお前がいる限りファイレル国は安泰だ。
行ってくる!!」
「兄上、けして、けして無理はしないでください。
どうか騎士団並びに異世界からの召喚者のみなさん、兄をよろしくお願いします。
旅の無事をお祈りしております」
と言って茜たちに頭を下げるのであった。
そして、一行は城下を出発した。
馬に乗ったアルファの元へ馬の乗った加奈がやって来た。
実は加奈はこう見えても良いところのお嬢様で乗馬なども巧みにこなせるのだ。
召喚された中で唯一騎乗ができた。
茜も試してみたのだが馬に乗るとあまりの恐怖のためか馬は暴れるどころか一歩も動くことが出来なかったのだ。
「良い弟君ですね。アルファ王子」
「私なんかより弟が次期王になったほうが国民も喜ぶと思っています」
「そんなことないんじゃないのですか。アルファ王子より強い騎士はそう多くは無いでしょ。国の強さの象徴じゃないですか」
「王が強いことより民が幸せのほうがもっと価値がありますよ。
ベルファはあの年で様々な政に参加しているのですよ。
私があの年のころは剣を振る事しか考えていませんでしたからね」
「良いお兄さんですね。私は一人っ子だから羨ましいですわ」
と加奈は答え碧を思い出していた。
加奈にとって兄弟と言って想像するのは碧と茜であった。
色々茜には問題があるが・・・・いや、問題しか無いが二人のお互いを思う気持ちは美しいと思っている。
茜の事を『ブラコン!』と言って注意するが私のほうが実は『ブラコン』なのかもしれない。
その頃、馬車の中では
「平内、はい!」
と言って茜がドーナツ型クッションを平内に渡していた。
「あ、あ、ありがとう。白田さん」
と赤くなっている平内であった。
「それは試作品みたいな物だからダメなところがあったら言ってね。改良するから」
「い、い、いいよ。悪いから」
「悪くないわよ。
『困っている人がいたら助ける!!』
これ、お兄ちゃんの格言だから」
「あ、ありがとう」
「ひゅ~~ひゅ~~~、お兄ちゃんはいいのかな?」
茜がキッ!!と茶化した織田を睨む。
「茜ちゃんは器用よね~ ドーナツ型のクッションだって簡単に作っちゃうんだもん」
「茜はいいお嫁さんになるよな」
「さすが、詩織に千代!分かってるじゃない~~い」
「白田って料理や掃除も得意なんだろう・・・・・で、美人といえば美人なんだけど・・・・・
何か恋愛対象にならないんだよな」
「うん、美人なんだよな。確かに。でも・・・・・ダメなんだよな」
「藤吉!明石!、それは誉めているのか?ケンカを売っているのか? どっち?」
「けして、ケンカなど売っておりませんから」
「右に倣って」
と背筋を伸ばし答えた藤吉と明石であった。
「お前たちが職業取ったから私は無職になっちゃったじゃないか!! もう、恥ずかしい」
「いや、白田、お前、職業なんて関係ないじゃないか!」
「そう、織田のいうとおり」
「藤吉、『封印』が使えるのは勇者だけだから。
私が勇者を取っていれば、みんなはお城でのんびり出来たでしょ。
みんなを巻き込むことも無かったのに。
織田ーーーー!お前が諸悪の根源だ!!」
「え~~~~~!」
「お前だけは死ぬほどこき使うからな!
他のみんなが討伐にに参加しなくてもお前だけは首に縄をつけても連れて行くからな!
美人で良妻賢母な私と一緒で嬉しいだろ!」
ニヤリと茜は笑った。
「は、はい。死んでしまうほど嬉しいです」
「奴隷の首輪とかないかな?」
「茜ちゃん、物騒よ」
「白田さま。それだけはご勘弁を。この織田、白田さまの忠実な僕となりますから。何卒何卒」
と茜は口だけの奴隷を手に入れた。
0
お気に入りに追加
781
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。
黒ハット
ファンタジー
前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる