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翌日、俺は暗黒の森の魔物を狩りにいくことにした。
「イケイケどんどんだよ! クロウ君!」
「なんでついてくんの?」
「クロウ君のいるところフィーナちゃんあり……だよ!」
「意味わからんのだが……」
「クロウ君はとっても強いから、きっと私を守ってくれるって!」
「はぁ……仕方ないな」
俺はため息を吐きながら、影鳥を飛ばし、暗黒の森を見下ろす。
「クマさん! でっかいクマさんがいるよ!」
「レッドベアーか……A級モンスターだな」
昔は手こずっただろうが、今はあの程度の魔物なぞ容易く倒せる。
「フィーナ、俺の後ろに隠れていろ」
「うんっ! クロウ君!」
俺は暗黒の森へ降りると、レッドベアーの前に出た。そして魔物に斬りかかる。そして一撃で仕留めたのだった……。
「す、すごい……」
フィーナが呆然とした様子でつぶやく。俺は倒したレッドベアーを【影収納】に収めると、フィーナのもとへ戻った。
「次だ」
【影探査】を使って、魔力の強い魔物の元へ行く。今度はS級モンスター、ベヒーモスを発見した。
「フィーナ、下がってろ」
「うんっ!」
俺はベヒーモスに斬りかかるが、難なく避けられる。そして口から火球を放ってきた。俺はそれを影刃でかき消すと、一気に接近する。そして……。
「影の型、三式【五月雨】」
無数の影の斬撃を繰り出し、魔物をバラバラにしたのだった……。
「次だ」
今度は、今まで以上にでかい気配を感じた場所へ行く。
「な、なんじゃありゃああああああああっ! や、山が動いてるよぉおおおおおおおっ!」
「……あれは、山亀(マウンテン・トータス)だな」
SS級の魔物だ。山のような巨体を持った、超弩級サイズの亀である。
「クロウ君、危ないよ!」
フィーナが叫ぶ。どうやら俺の身を案じているようだ。俺は彼女へ言った。
「心配するな、【身体能力・超々強化】」
身体能力を極限まで高めると、魔物へ向かっていく。そして……。
「影の型、奥義【影神】」
無数の影の斬撃を放ち、山亀(マウンテン・トータス)を切り刻んでいく。数秒後……そこには肉片と化した魔物の姿があったのだった……。
「クロウ君っ!」
フィーナが嬉しそうな表情で駆けてくる。そして俺の胸に飛び込んできた。
「すごいよやばいよ! あんな化け物を倒すなんて! さすがクロウ君!」
「あ、あぁ……」
俺は抱きつかれて、思わず戸惑ってしまう。
「次の獲物は……」
その時だった。影探査に反応があった。今まで感じたことのない膨大な魔力を感じる。
「フィーナ、危険だ。今すぐ村へ戻れ」
「え? どうしたの?」
「この反応……おそらく魔族だ」
「えっ……」
フィーナの表情が強張る。俺は彼女を安心させるように言った。
「俺がなんとかする、だから村へ戻れ」
「わ、わかった! 気をつけてね!」
フィーナは村に向かって走り出す。それを見送った後、【影探査】に引っかかった魔力の持ち主の元へ転移した……。
「弱い! 弱すぎる! S級冒険者はこんなものか!」
魔族と冒険者パーティーが戦っているようだ。
「くそ……! なんて強さだ……!」
よく見ると、1年前に俺を追放した冒険者たちだった。魔族は余裕の表情で冒険者たちを倒そうとする。
「くっ、このままでは……」
その時、俺は1年前の出来事を思い出した。俺を見下した元パーティーメンバーの姿と、フィーナの顔が重なって見えたのだ……。
「……っ! 影刃!!」
俺は魔族の首へ、影刃を放つ。魔族は間一髪で避けるも、頰に傷が入った。
「な、なんでお前が……ここに……」
「お前はこいつらの仲間か?」
「……違うが、似たようなもんだ」
「ほう……なかなかの逸材だな」
「お、おい逃げろ! お前のような雑魚がかなう相手じゃない!」
「……その必要はない。こいつはお前が倒す」
「なっ……!? 正気か!?」
俺は魔族に向かって、ゆっくりと歩き出す。
「人間風情が俺に真っ向勝負を挑むか。その度胸に免じて一撃で叩き潰してやろう!」
魔族は獰猛に笑うと、手に持った巨大な斧で俺に斬りかかってくる。ズドォンと地面にクレーターが出来上がる。
「所詮人間ごときに我らを倒せるはずなかろう」
誰もが思った、その時だ。
「なっ!?」
粉砕されていたのは斧のほうであった。斧は粉々に砕け、魔族が驚愕の表情で俺を見る。
「ば、馬鹿な!? 貴様なにをした!」
「何って……攻撃しただけだが?」
「俺の斧を砕くなんて、SSS級の冒険者でも不可能なはずだぞ!!」
「どうでもいいことだ」
俺は影刃を軽く振る。次の瞬間、魔族の首が胴体と別れを告げたのだった……。
「お前……こんなに強かったのかよ!?」
冒険者たちが呆気に取られながら俺を見る。
「色々あったけど俺たち仲間じゃないか、また戻って……」
言い終わる前に、俺はリーダーの顔面にパンチを入れてぶっ飛ばす。
「お、お前何をする!?」
「失せろ」
「えっ……」
「失せろと言っている、二度と来るな」
冒険者たちは唖然とした様子で俺を見たあと、何も言わず立ち去った。俺はフィーナのもとへ戻ったのだった……。
「イケイケどんどんだよ! クロウ君!」
「なんでついてくんの?」
「クロウ君のいるところフィーナちゃんあり……だよ!」
「意味わからんのだが……」
「クロウ君はとっても強いから、きっと私を守ってくれるって!」
「はぁ……仕方ないな」
俺はため息を吐きながら、影鳥を飛ばし、暗黒の森を見下ろす。
「クマさん! でっかいクマさんがいるよ!」
「レッドベアーか……A級モンスターだな」
昔は手こずっただろうが、今はあの程度の魔物なぞ容易く倒せる。
「フィーナ、俺の後ろに隠れていろ」
「うんっ! クロウ君!」
俺は暗黒の森へ降りると、レッドベアーの前に出た。そして魔物に斬りかかる。そして一撃で仕留めたのだった……。
「す、すごい……」
フィーナが呆然とした様子でつぶやく。俺は倒したレッドベアーを【影収納】に収めると、フィーナのもとへ戻った。
「次だ」
【影探査】を使って、魔力の強い魔物の元へ行く。今度はS級モンスター、ベヒーモスを発見した。
「フィーナ、下がってろ」
「うんっ!」
俺はベヒーモスに斬りかかるが、難なく避けられる。そして口から火球を放ってきた。俺はそれを影刃でかき消すと、一気に接近する。そして……。
「影の型、三式【五月雨】」
無数の影の斬撃を繰り出し、魔物をバラバラにしたのだった……。
「次だ」
今度は、今まで以上にでかい気配を感じた場所へ行く。
「な、なんじゃありゃああああああああっ! や、山が動いてるよぉおおおおおおおっ!」
「……あれは、山亀(マウンテン・トータス)だな」
SS級の魔物だ。山のような巨体を持った、超弩級サイズの亀である。
「クロウ君、危ないよ!」
フィーナが叫ぶ。どうやら俺の身を案じているようだ。俺は彼女へ言った。
「心配するな、【身体能力・超々強化】」
身体能力を極限まで高めると、魔物へ向かっていく。そして……。
「影の型、奥義【影神】」
無数の影の斬撃を放ち、山亀(マウンテン・トータス)を切り刻んでいく。数秒後……そこには肉片と化した魔物の姿があったのだった……。
「クロウ君っ!」
フィーナが嬉しそうな表情で駆けてくる。そして俺の胸に飛び込んできた。
「すごいよやばいよ! あんな化け物を倒すなんて! さすがクロウ君!」
「あ、あぁ……」
俺は抱きつかれて、思わず戸惑ってしまう。
「次の獲物は……」
その時だった。影探査に反応があった。今まで感じたことのない膨大な魔力を感じる。
「フィーナ、危険だ。今すぐ村へ戻れ」
「え? どうしたの?」
「この反応……おそらく魔族だ」
「えっ……」
フィーナの表情が強張る。俺は彼女を安心させるように言った。
「俺がなんとかする、だから村へ戻れ」
「わ、わかった! 気をつけてね!」
フィーナは村に向かって走り出す。それを見送った後、【影探査】に引っかかった魔力の持ち主の元へ転移した……。
「弱い! 弱すぎる! S級冒険者はこんなものか!」
魔族と冒険者パーティーが戦っているようだ。
「くそ……! なんて強さだ……!」
よく見ると、1年前に俺を追放した冒険者たちだった。魔族は余裕の表情で冒険者たちを倒そうとする。
「くっ、このままでは……」
その時、俺は1年前の出来事を思い出した。俺を見下した元パーティーメンバーの姿と、フィーナの顔が重なって見えたのだ……。
「……っ! 影刃!!」
俺は魔族の首へ、影刃を放つ。魔族は間一髪で避けるも、頰に傷が入った。
「な、なんでお前が……ここに……」
「お前はこいつらの仲間か?」
「……違うが、似たようなもんだ」
「ほう……なかなかの逸材だな」
「お、おい逃げろ! お前のような雑魚がかなう相手じゃない!」
「……その必要はない。こいつはお前が倒す」
「なっ……!? 正気か!?」
俺は魔族に向かって、ゆっくりと歩き出す。
「人間風情が俺に真っ向勝負を挑むか。その度胸に免じて一撃で叩き潰してやろう!」
魔族は獰猛に笑うと、手に持った巨大な斧で俺に斬りかかってくる。ズドォンと地面にクレーターが出来上がる。
「所詮人間ごときに我らを倒せるはずなかろう」
誰もが思った、その時だ。
「なっ!?」
粉砕されていたのは斧のほうであった。斧は粉々に砕け、魔族が驚愕の表情で俺を見る。
「ば、馬鹿な!? 貴様なにをした!」
「何って……攻撃しただけだが?」
「俺の斧を砕くなんて、SSS級の冒険者でも不可能なはずだぞ!!」
「どうでもいいことだ」
俺は影刃を軽く振る。次の瞬間、魔族の首が胴体と別れを告げたのだった……。
「お前……こんなに強かったのかよ!?」
冒険者たちが呆気に取られながら俺を見る。
「色々あったけど俺たち仲間じゃないか、また戻って……」
言い終わる前に、俺はリーダーの顔面にパンチを入れてぶっ飛ばす。
「お、お前何をする!?」
「失せろ」
「えっ……」
「失せろと言っている、二度と来るな」
冒険者たちは唖然とした様子で俺を見たあと、何も言わず立ち去った。俺はフィーナのもとへ戻ったのだった……。
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