弓使いの成り上がり～「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした～

18

数日後、冒険者ギルドに顔を出すと、冒険者たちがわっと押し寄せてくる。


「ねえねえ、隠しダンジョンのこと聞かせてよ！」


「どうやって攻略したんだ！？ 教えてくれよ！」


冒険者たちは口々に質問を投げかけてくる。


「はいはい、皆さん。これ以上はカイトさんへの迷惑になりますから、質問はギルドでお願いしますね！」


セレナさんが間に入ってくれたので助かった……


「皆さん、すみません！ また今度ゆっくり話しますので」


俺は冒険者たちに声をかけると、受付へと向かった。すると、そこではセレナさんが待っていた。彼女は俺に向かって微笑むと言った。


「隠しダンジョンの攻略おめでとうございます！ 本当に素晴らしい功績ですよ！」


「ありがとうございます！ でもまだまだですよ」


俺は謙遜しながら答えると、彼女に尋ねた。


「ところで、何か新しい依頼はないんですか？」


「実は……お願いしたいことがありまして……」


セレナさんは申し訳無さそうな表情になると言った。俺は首を傾げる。


「どうしました？」


セレナさんは意を決したように口を開くと、こう告げた。


「実は、この近くにある村の領主様が行方不明になってしまったのです」


「領主様がですか？」


「はい……どうやら何者かに攫われてしまったようで……」


「それは一大事ですね……」


俺は深刻そうな表情を浮かべると、彼女に言った。


「わかりました！ 俺がなんとかしてみせます！」


「本当にありがとうございます！ お願いしますね！」


こうして俺は行方不明になった領主を探すことになったのだった……


◇


まずは情報を集めようと思い、酒場へと向かった。すると、そこには多くの冒険者たちが集まっていた。


「おい、聞いたか？ 領主様が行方不明になったってよ……」


「ああ、聞いたぞ。なんでも何者かに攫われたとか……」


「最後に領主様が目撃されたのは、村から少し離れた場所にある森だったそうだ……」


「あそこは凶暴な魔物が出るという噂もあるぞ……」


おそらくその森に領主様はいるのだろう。俺は冒険者たちに言った。


「その森に一緒に来てくれないか？ 領主様を救うために！」


「おお！ もちろんだ！」


「俺たちも協力するぜ！」


冒険者たちは快く引き受けてくれた……そして、俺たちは森へと向かうのだった……


◇


森の中に入ると、早速魔物たちが襲いかかってきた。しかし、そこは熟練の冒険者たちだ！ 彼らは見事な連携で魔物たちを倒していく。俺も弓を構えて矢を放つと、次々と魔物たちを仕留めていった。しばらく進むと、開けた場所に出た。そこには全長メートルを超える赤毛の熊がいた！


「グォオオオオオオオオオオオオオオッ！！！！」


鋭い爪を振りかざしてくるが、それを間一髪で避けると弓を構える。そして、光の矢を放った！


「【閃光の矢（ライトニング・アロー）】！」


光の矢が熊の体を貫く！


「グォオオオオオオオオオオオオオオッ！！！！」


熊は断末魔の叫びを上げると、その場に倒れ伏した……どうやら倒したようだ……すると、口から何かを吐き出した……


「領主様！ 大丈夫ですか！？」


冒険者の一人が駆け寄り、倒れた領主様を抱き起こす。どうやら命に別状はないようだ。


「うぅ……」


領主様は意識を取り戻し、ゆっくりと目を開く……そして、俺と目が合うと驚いたような表情を浮かべた。そして次の瞬間には涙を浮かべながら抱き着いてくる……俺は慌てて彼女を受け止めると優しく背中をさすった……


「よかった！ 無事だったんですね」


「本当にありがとう！」


領主様は泣きながら感謝の言葉を述べた。俺は笑みを浮かべると、こう言った。


「もう心配いりません。俺たちがついています！」


「ああ、君たちがいれば安心だ！ 本当にありがとう！」


こうして領主様は無事に保護された……俺たちは森を出ると、街へ帰ることにした……