「お前のような奴と結婚できない」と婚約破棄された聖女は新しい幸せを探します

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翌日、私とカイトは街を散策することにした。彼はこの街が初めてということもあって興味深そうに周りを見ている。そんな姿も可愛くて私はクスッと笑ってしまった。


「どうした？」


「なんでもありませんよ」


そう言って誤魔化すと、私たちは手を繋いで歩いた。彼の手を握るだけで幸せな気持ちになるのだから不思議だ。


（このままずっと一緒にいたいな……）


そんなことを考えていると、一人の男性が私たちに話しかけてきた。


「そこのお二人さん！ちょっといいかい？」


男性は40歳くらいのおじさんだった。眼鏡をかけており、優しそうな印象を受ける。


「うちはアクセサリー専門なんだ！見て行かないかい？」


そう言われて私たちは男性が経営しているお店に入ることにした。店内には様々な種類のアクセサリーが並べられており、どれも綺麗で目移りしてしまうほどだった。


「ほら、これなんかどうだい？君によく似合うと思うけど」


男性はそう言うと赤い宝石のついたネックレスを取り出した。値段もお手頃だったので私はそれを買うことにした。


「まいどあり！」


男性は嬉しそうに笑うと袋に商品を入れて渡してくれた。


「お似合いですね。きっと彼氏さんも喜んでくれますよ」


店員さんはそう言うと私とカイトを見比べた。すると、カイトは照れたように顔を赤くする。


「ち、違う！俺たちはそんな関係じゃ……」


「おやおや、それは失礼しました。ですが、お二人の雰囲気を見れば分かりますよ」


店員さんはニコニコと微笑んでいた。なんだか恥ずかしくなって私も赤面してしまう。


（私ったら何を考えてるの！）


自分の中に芽生えた感情を自覚して戸惑ってしまう。これが恋というものなのだろうか？


「クロエ……行くぞ」


カイトが私の手を引っ張って歩き出す。その横顔を見ると胸がドキドキした。


「次は服屋だな」


カイトは楽しそうに歩くと、私の手を引くようにして歩き始めた。私は彼に付いていくように歩く。


（手を繋ぐのってこんなにドキドキするんだな……）


そんなことを思いながらも彼の体温を感じることができて嬉しかった。


「この服とか似合いそうだな」


カイトは私に服を差し出してきた。青色のワンピースでとても可愛らしいデザインだ。


「あら、いいわね」


私は早速試着することにした。姿見の前でくるりと回りながら自分の姿を確認する。


（似合ってるかな？）


不安になりながらも待っていると、カイトが私を見て微笑んでくれる。その笑顔を見ると胸が高鳴った。


（カイトさんが好きだな……）


私は改めて自分の気持ちを確認した。彼と一緒にいると幸せな気持ちになるし、もっと側にいたいと思ってしまうのだ。


「可愛いよ、クロエ」


彼は優しく頭を撫でてくれる。それだけで心が満たされていく感じがした。


「ありがとうございます」


私は彼に笑ってみせると、そのままレジへと向かったのだった。その後も私たちは色々なお店を回ったりしながら楽しい時間を過ごした。そして、夕方頃になると私たちは宿に戻ることにした。


「今日は楽しかったね」


私はカイトに寄り添いながら話しかける。彼は優しく微笑んでくれた。その笑顔を見ると心が温かくなる気がするのだ。


（ずっと一緒にいたいな……）


私は心の底からそう思うのだった。