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カイトと旅をしてから1週間ほどが経った。彼はとても頼りになる人で、どんな時でも私を助けてくれる。


「クロエ、そろそろ休憩しよう」


「はい、そうですね」


カイトは優しく微笑んで私を気遣ってくれる。そんな気遣いも嬉しかった。


(この人の側にいればきっと幸せになれる)


そんな予感があった。


「ほら、水だ」


「ありがとうございます」


カイトから水の入ったコップを受け取ると口に運んだ。冷たい水が喉を潤す感覚はとても心地良かった。


「美味しいですわ」


「それは良かったな」


カイトはクスッと笑った。その笑顔を見ると胸が高鳴る。


(ああ……やっぱりこの人が好き)


私は自分の気持ちを再認識した。彼と一緒にいるだけで幸せになれる、彼が笑っていてくれれば私も笑える。そんな気がした。


「そろそろ街が見えてきたぞ」


カイトの言葉を聞いて私は前方に視線を向ける。そこには大きな街があった。


「あそこで一泊しよう」


「分かりました」


私は彼に手を引かれながら街の中へと入って行った。


「いらっしゃい」


宿屋に入ると、1人の男性が私たちを出迎えてくれた。40歳くらいの優しそうなおじさんだった。


「1泊したいのですが空いていますか?」


「ええ、大丈夫ですよ。お2人様ですね」


おじさんはそう言うと部屋の鍵を取り出した。私たちはそれぞれお金を払って部屋に入った。


「ふぅ……」


2人部屋で一息つくと、カイトが話しかけてくる。


「疲れてないか? クロエ」


彼は心配そうに私を見つめる。その瞳を見ると心が温かくなった気がした。私は彼の頭を撫でる。


「大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございます」


私がそう言うと彼は照れ臭そうに笑った。そんな姿も可愛らしいと思う。


「夕食まで時間があるから風呂に入ってきたらどうだ?」


「そうですね……ではお先に失礼しますわ」


私は荷物を置いて部屋にあるお風呂へと向かった。湯船に浸かると疲れが取れていくような気がした。


(気持ちいいな)


そんなことを考えながらボーッとしていると、ガチャリとドアが開く音がした。どうやら誰か入ってきたらしい。


「えっ!?」


思わず声を上げると、そこには裸になったカイトの姿があった。


「な、何をしてるんですか!?」


「何って風呂に入ろうと思って……」


彼は平然と答える。確かにお風呂は混浴の場合も多いが……。


(でも、ここで裸を見られるのは恥ずかしい)


私は顔を真っ赤にしながら彼を見つめる。すると、カイトは私の横に入ってきた。そして私を抱き寄せる。彼の体温を感じて私はドキドキしてしまった。


「カ、カイトさん?」


「背中流してやるよ」


「えっ!?」


驚く暇もなく彼はスポンジを泡立てると私の背中を洗い始めた。


「ほら、じっとしてろ」


そう言ってカイトは私の背中を洗う。ゴツゴツした手が背中に当たり、くすぐったいような気持ちいいような感覚に襲われる。


(ひゃん!)


変な声が出そうになって必死に我慢する。私は羞恥心でいっぱいになりつつもされるがままになっていた。


「流すぞ」


しばらくすると彼がそう言ったので、私は湯船に浸かる。そして、カイトが私を追いかけてお風呂に入ってきた。


(ううっ……恥ずかしい)


狭いお風呂に2人で入っているため距離が近い。肌と肌が触れ合いそうなくらいだ。


(でも嬉しいかも)


彼とくっついていられる時間が幸せだった。それに彼の温もりを感じられて安心するのだ。


「クロエは綺麗だな……」


唐突にそんなことを言われてしまったので私はドキッとした。


「そんなことありませんわ……」


私は恥ずかしくなって俯いた。すると、カイトの手が私の胸に触れる。


「ひゃっ!」


突然の出来事に驚きの声を上げてしまう。彼はそのまま私の胸を揉み始めた。


(ど、どうしてこんなことを……)


私は混乱しつつも抵抗はしなかった。むしろもっと触ってほしいと思っている自分がいることに気づく。


(私……どうしてしまったんだろう?)


自分の身体の変化に戸惑いを覚えるが、不思議と嫌な気持ちはしなかった。むしろ嬉しいと思う気持ちがある。


(そっか……これが恋なんだ)


私は自分の感情の正体を知った気がした。彼といると心が安らぐし、ドキドキする。彼のことを考えると幸せな気持ちになるのだ。


「そろそろ上がるか」


風呂上がりの後、私たちは夕飯を食べることにした。テーブルの上には美味しそうな料理が並んでいる。


「いただきます」


私たちは手を合わせて食事を始めた。料理はどれも美味しくて夢中で食べてしまう。


「美味しいな」


「ええ、とっても」


食後、私たちは部屋に戻ってベッドに横になっていた。外はすっかり暗くなっており、窓から見える景色は綺麗だった。


(綺麗な景色……)


カイトさんも隣で窓の外を眺めていた。そんな彼の横顔を見つめながら私は幸せを感じていた。


(今が人生で一番楽しいかもしれない)


そんなことを考えているとカイトが話しかけてきた。


「なあクロエ……」


「はい?」


「キスしてもいいか?」


そう言って彼は私の頬に触れてきた。その目は真剣そのもので、冗談を言っているわけではないことを悟る。


(えっ……!?)


私は戸惑ってしまったが、すぐに覚悟を決めた。そして、目を閉じて受け入れる準備をする。彼はゆっくりと近づいてくると、優しく口づけをした。触れるだけの軽いものだったけど、とても幸せな気持ちになった。


「好きだ……クロエ」


彼が耳元で囁くように言った言葉にドキッとする。心臓が高鳴って苦しいくらいだった。


「私も好き……大好きです」


私は彼に抱きついて想いをぶつけた。彼は優しく笑って私を抱きしめてくれる。私たちはそのまま一夜を共にした……。
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