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翌日、ギルドに行くと受付嬢が出迎えてくれた。
「あ、おはようございます!」
「おはようございます」
挨拶を交わすと、早速依頼を探すことにした。
「あなたがカイトね?」
突然名前を呼ばれ振り向くと、そこには美しい女性が立っていた。年齢は10代半ばだろうか? 長い金髪をなびかせながら微笑んでいる姿はまるで女神のようだった。
(誰だこの人……?)
困惑していると、彼女は自己紹介を始めた。
「私はエレナ・エヴァードというの。よろしくね」
そう言って手を差し出してきたため握手を交わした後、俺は尋ねた。
「あの、どうして俺を知っているんですか?」
すると彼女は微笑みながら答えた。
「もちろん知ってるわよ? だってあなたは有名人だもの」
「有名人?」
「そうよ。だってあなたはドラゴンやベヒーモスといったSランク魔獣を倒すことができる冒険者として有名だからね。しかもその実力は折り紙付きだと聞いているわ」
「なるほど……」
確かにそう言われると納得できる部分もあるな……。まあ、実際に倒したのは俺じゃなくてシロなんだけどね……。
「それで、俺に何か用ですか?」
「ええ、実はお願いがあるの」
「お願い?」
首を傾げると、彼女は真剣な表情で言った。
「私とパーティーを組まないかしら?」
「えっ!?」
突然の申し出に驚く俺だったが、彼女は話を続けた。
「実は私ね、ずっと前からあなたと一緒に冒険したいと思っていたの」
(そんな素振りなかったけどな……)
そんなことを考えていると、エレナさんは言葉を続けた。
「でもなかなか言い出せなくて……でも今回ようやく決心がついたのよ! だからお願いできないかしら?」
断る理由はない。むしろこっちからお願いしたいくらいだ。
「こちらこそよろしくお願いします」
俺が了承すると、エレナさんは嬉しそうな表情を浮かべた後、俺の手を握った。
「ありがとう! これからよろしくね!」
さっそくオーク討伐の依頼を受けて出発することになった。
「じゃあ行きましょうか」
エレナの言葉に頷くと、俺たちは目的地へと向かった。道中は特に問題もなく進むことができたが、目的地である森に着いた途端、エレナさんが立ち止まった。
「どうかしましたか?」
不思議に思って尋ねると、彼女は深刻そうな表情を浮かべたまま答えた。
「実はね……最近この森でオークが出没しているという噂を聞いたんだけど……」
(なるほど……それで不安になっているということか)
「大丈夫ですよ。いざとなったら俺が守りますから」
安心させるために笑いかけると、彼女も微笑み返した。そして俺たちは森の中へと入っていった。
「あ、居たわよ!」
しばらく歩いているとエレナさんが声を上げた。指差す先には確かにオークがいた。こちらには気づいていないようで呑気に食事をしていた。
「よし、一気に片付けるぞ」
俺は剣を抜くとオークに向かって走り出した。しかしエレナさんが慌てて止めてきた。
「待って! ここは私にやらせてくれないかしら?」
「えっ!?」
困惑する俺に構わず彼女は詠唱を始めた。どうやら魔法を使うつもりのようだ。すると彼女の足元に魔法陣が現れたかと思うと、そこから炎が噴き出した!
「フレイム・バースト!!」
次の瞬間、凄まじい炎がオークを包み込むと一瞬で消し炭にしてしまった。
(す……すげぇ……!)
あまりの火力の高さに驚いていると、彼女は得意げに微笑んだ。
「どうかしら? 私の魔法もなかなかのものでしょう?」
「はい……正直驚きました……」
正直に答えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ふふっ♪ それじゃあ帰りましょうか」
突然、一際大きいオークが姿を現したかと思うと俺たちに向かって走ってきた。
「オークキング!」
オークキングは棍棒を振り上げて襲ってきた。慌てて避けようとするが間に合わない……! そう思った瞬間、エレナさんが俺を庇うようにして前に立った。そして杖を構えると魔法を唱えた。
「ウォーター・バレット!」
水の弾丸が次々と発射され、オークキングの体に命中する。しかしあまりダメージを負っている様子はなかった……
(そんな!)
驚愕していると、エレナさんは焦った表情を浮かべていた。どうやら魔力を使い果たしてしまったらしくフラフラになっているようだった。
(こうなったら俺がやるしかない!)
覚悟を決めると剣を構えた。そしてオークキングに向かって駆け出す!
「うおぉぉーーー!!」
雄叫びを上げながら斬りかかると、奴の棍棒が振り下ろされた!
(速いっ!)
咄嗟に躱そうとするが間に合わない……そう思った瞬間、目の前に黒い影が現れたかと思うと攻撃を防いでくれた。
「シロ!」
シロは俺を守るように立ち塞がると、鋭い爪をオークキングに放った。その一撃を受けた巨体は大きく仰け反った後、地面に崩れ落ちた。
「シロ……ありがとう」
礼を言うと、シロは嬉しそうに微笑んだ。
(それにしても凄いな……)
改めてシロの強さを実感したのであった──。
「あ、おはようございます!」
「おはようございます」
挨拶を交わすと、早速依頼を探すことにした。
「あなたがカイトね?」
突然名前を呼ばれ振り向くと、そこには美しい女性が立っていた。年齢は10代半ばだろうか? 長い金髪をなびかせながら微笑んでいる姿はまるで女神のようだった。
(誰だこの人……?)
困惑していると、彼女は自己紹介を始めた。
「私はエレナ・エヴァードというの。よろしくね」
そう言って手を差し出してきたため握手を交わした後、俺は尋ねた。
「あの、どうして俺を知っているんですか?」
すると彼女は微笑みながら答えた。
「もちろん知ってるわよ? だってあなたは有名人だもの」
「有名人?」
「そうよ。だってあなたはドラゴンやベヒーモスといったSランク魔獣を倒すことができる冒険者として有名だからね。しかもその実力は折り紙付きだと聞いているわ」
「なるほど……」
確かにそう言われると納得できる部分もあるな……。まあ、実際に倒したのは俺じゃなくてシロなんだけどね……。
「それで、俺に何か用ですか?」
「ええ、実はお願いがあるの」
「お願い?」
首を傾げると、彼女は真剣な表情で言った。
「私とパーティーを組まないかしら?」
「えっ!?」
突然の申し出に驚く俺だったが、彼女は話を続けた。
「実は私ね、ずっと前からあなたと一緒に冒険したいと思っていたの」
(そんな素振りなかったけどな……)
そんなことを考えていると、エレナさんは言葉を続けた。
「でもなかなか言い出せなくて……でも今回ようやく決心がついたのよ! だからお願いできないかしら?」
断る理由はない。むしろこっちからお願いしたいくらいだ。
「こちらこそよろしくお願いします」
俺が了承すると、エレナさんは嬉しそうな表情を浮かべた後、俺の手を握った。
「ありがとう! これからよろしくね!」
さっそくオーク討伐の依頼を受けて出発することになった。
「じゃあ行きましょうか」
エレナの言葉に頷くと、俺たちは目的地へと向かった。道中は特に問題もなく進むことができたが、目的地である森に着いた途端、エレナさんが立ち止まった。
「どうかしましたか?」
不思議に思って尋ねると、彼女は深刻そうな表情を浮かべたまま答えた。
「実はね……最近この森でオークが出没しているという噂を聞いたんだけど……」
(なるほど……それで不安になっているということか)
「大丈夫ですよ。いざとなったら俺が守りますから」
安心させるために笑いかけると、彼女も微笑み返した。そして俺たちは森の中へと入っていった。
「あ、居たわよ!」
しばらく歩いているとエレナさんが声を上げた。指差す先には確かにオークがいた。こちらには気づいていないようで呑気に食事をしていた。
「よし、一気に片付けるぞ」
俺は剣を抜くとオークに向かって走り出した。しかしエレナさんが慌てて止めてきた。
「待って! ここは私にやらせてくれないかしら?」
「えっ!?」
困惑する俺に構わず彼女は詠唱を始めた。どうやら魔法を使うつもりのようだ。すると彼女の足元に魔法陣が現れたかと思うと、そこから炎が噴き出した!
「フレイム・バースト!!」
次の瞬間、凄まじい炎がオークを包み込むと一瞬で消し炭にしてしまった。
(す……すげぇ……!)
あまりの火力の高さに驚いていると、彼女は得意げに微笑んだ。
「どうかしら? 私の魔法もなかなかのものでしょう?」
「はい……正直驚きました……」
正直に答えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ふふっ♪ それじゃあ帰りましょうか」
突然、一際大きいオークが姿を現したかと思うと俺たちに向かって走ってきた。
「オークキング!」
オークキングは棍棒を振り上げて襲ってきた。慌てて避けようとするが間に合わない……! そう思った瞬間、エレナさんが俺を庇うようにして前に立った。そして杖を構えると魔法を唱えた。
「ウォーター・バレット!」
水の弾丸が次々と発射され、オークキングの体に命中する。しかしあまりダメージを負っている様子はなかった……
(そんな!)
驚愕していると、エレナさんは焦った表情を浮かべていた。どうやら魔力を使い果たしてしまったらしくフラフラになっているようだった。
(こうなったら俺がやるしかない!)
覚悟を決めると剣を構えた。そしてオークキングに向かって駆け出す!
「うおぉぉーーー!!」
雄叫びを上げながら斬りかかると、奴の棍棒が振り下ろされた!
(速いっ!)
咄嗟に躱そうとするが間に合わない……そう思った瞬間、目の前に黒い影が現れたかと思うと攻撃を防いでくれた。
「シロ!」
シロは俺を守るように立ち塞がると、鋭い爪をオークキングに放った。その一撃を受けた巨体は大きく仰け反った後、地面に崩れ落ちた。
「シロ……ありがとう」
礼を言うと、シロは嬉しそうに微笑んだ。
(それにしても凄いな……)
改めてシロの強さを実感したのであった──。
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